モノ (Mono) @ 名古屋アップセット 2015.01.18

至上の歓喜
テキスト・レポート「至上の歓喜」@ 名古屋アップセット 2015.01.18

Mono

 国内外で確固たる地位を築いたインストゥルメンタル・バンド、モノ(MONO)。彼等が昨年11月に2枚同時リリースした最新作『ザ・ラスト・ドーン』『レイズ・オブ・ダークネス』を引っさげ、全国ツアーを開催した。東名阪に仙台を含めた全4公演が組まれ、アルバムに参加したエンヴィ(envy)のヴォーカリストである深川哲也が、全公演に帯同する貴重なツアーとなっている。前日の1月17日には、阪神・淡路大震災からちょうど20年を迎えた大阪で公演を行い、音楽で光を分かち合った。

 厳粛な空気に包まれる中、新作からの「リコイル・イグナイト」を皮切りにライヴはスタート。黒を基調とした服装に身を包んだ4人は、ひとつの大きな物語を狂おしく繊細な表現で紡いでいく。2枚同時リリースとなった新作は『ザ・ラスト・ドーン』が光を、『レイズ・オブ・ダークネス』が闇をテーマに制作。これまで通りに静から動へと移り変わっていく手法が基本となってはいるが、ここ数作において顕著だったクラシックやオーケストラの要素が薄まり、4人による初期のバンド・サウンドへと回帰している。「リコイル・イグナイト」は特にその傾向を感じ、終盤における凶暴なノイズからは初期の楽曲「コム(?)」を思い出させるほどの怒りと激しさが伝わった。

 タカ(Taka)の指揮者のような素振りから導かれた「カナタ」はロマンティックな曲調で魅了し、「ピュア・アズ・スノウ」はエフェクターを駆使しての脅威的な音圧に戦慄が走る。光と闇、希望と絶望などの表裏一体のものを突き詰め、音楽に投影してきた者達だからこその表現力。これに多くの人々が圧倒されている。そういえば、開演前のBGMをこれまでに多かったクラシックやオペラを基調としたものから、コラプテッド(関西のハードコア・バンド)に変更していた事に驚いたが、人間の最も深い部分に響く音楽を創造するという点で、モノとコラプテッドは共通しているように思う。

Mono

 深川哲也(エンヴィ)を迎えての「ザ・ハンズ・ザット・トゥルース・ザ・トゥルース」では4人の重厚な演奏に、深川の体の内側から絞りだすような絶叫が交錯することで、混沌はさらに深まっていく。長年にわたって盟友として共に戦い、歩んできた者同士の共鳴に感情を激しく揺さぶられた方も多いだろう。モノはかつてオーケストラとの共演ライヴを披露しているが(筆者は09年の渋谷12年のフジロックを体験)、方法は違えど、このコラボレーションもまた異型の衝撃があった。終わりに「ありがとう」と感謝を述べた深川はこれでお役御免。タカ(Taka)と力強く握手を交わして去っていった。

 その後は「ホエア・ウィ・ビギン」「アッシュズ・イン・ザ・スノウ」と続き、「エヴァーラスティング・ライト」でライヴは締めくくられる。勇壮なフレーズに導かれ、まばゆいまでの光と至上の歓喜に満たされる最後は、何度体験しても感動的。終演後は、会場から感謝を込めた温かい拍手が送られる。その光景を少し照れ混じりの満足気な表情で見つめる4人。とても印象的であった。15年以上にも及ぶ誠実な表現の積み重ね、世界を渡り歩いてきた経験が凝縮された素晴らしいライヴは、こうして幕を閉じたのである。

 4月からは再びヨーロッパ・ツアーがスタート。音楽を通して生まれる喜びや感動を様々な人々と共有するために、モノはこれからも世界を冒険し続けるのである。

— set list —
Recoil, Ignite / Unseen Harbor / Kanata / Pure As Snow(Trails of the Winter Storm) / The Hands That Holds The Truth / Where We Begin / Ashes in the Snow / Everlasting Light

Mono

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Photos:
Yoshitaka Kogawa
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Text:
Takuya Ito
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