オーケー・ゴー (OK Go) @ 赤坂ブリッツ 2015.02.19

紙吹雪が幸福と共に降り積もる
テキスト・レポート「紙吹雪が幸福と共に降り積もる」 @ 赤坂ブリッツ 2015.02.19

Ok Go

 なぜ、紙吹雪が舞うだけで、気持ちがアガるのか。花見の季節に桜の花びらが舞うのをみて気持ちが高ぶるように、たまにしか雪が降らない地域では雪が降り始めると子どもたちが喜ぶように、なにか細かくひらひらしたものがたくさん舞い落ちる姿に興奮を覚えるものなのだ。オーケー・ゴーのライヴでは、始まりから終わりまで3曲に一回の割合で紙吹雪が舞った。アンコール最後の曲では、それまで大量の紙吹雪を降らせていたキャノン砲が故障したらしく、人手で撒いていたくらいだったのだ。

OK Go 赤坂ブリッツの1階フロアはほぼ埋まり、自分の周囲の男女比率は男3、女7くらいだった。始まる前は、カニエ・ウエストや、ディスクロージャーザ・キュアーロードなどが流れている。そして19時15分ころ客電が落ちて、ステージ中央にあるスクリーンに、さまざまな映画で「OK」や「GO」というセリフをいうシーンを続けて映し出されていく。おそらく最後はホラー映画の傑作『オーメン』のダミアン少年がスクリーンに登場(ダミアンつながりなんだろうか)の後、『セサミ・ストリート』や『マペット・ショー』でおなじみのカーミットがバンドを紹介してメンバーが現れる。

 中央にヴォーカル&ギターのダミアン・クーラッシュ、下手に主にベース&キーボードのティム・ノードウィンド、上手に主にキーボード&ギターのアンディ・ロス、中央奥にドラムスのダン・コノップカという編成である。ティムとアンディはマルチなミュージシャンでティムがギター弾いたり、ツイン・ベースの曲もあったし、パーカッションやコーラスもこなす。

 ライヴは「アップサイド・ダウン・アンド・インサイド・アウト」から始まる。いきなり大量の紙吹雪が舞う。シンセサイザーの派手な音とシンクロして華やかなオープニングだ。次の「ユア・ソー・ダム・ホット」はファウンテンズ・オブ・ウェインを思わせるパワー・ポップな曲である。

 もはや各レポートで周知になっているけど、通訳を呼んで質問コーナーが前半と後半に持たれた。

 例)Q:「女子高生は好きですか?」 A:「ハイスクールにいたときは好きでした」(ダミアン)

 Q:「フジロックはどうですか?」 A:「世界で一番のフェスだね。他は酔っ払いばかり」(ティム)

 Q:「バンドをやってなかったら何をしていますが」 A:「ブレイクダンスのチャンピオン」(ダミアン)「もっとオタクになってる」(アンディ)

 などなどダイレクトに英語で問う人もいたし、通訳を介している人もいた。質問者はほとんど女性。「この曲やらないのか」というようなダイレクトな質問もあった。

OK Go ライヴ中盤には、ダミアンがひとりフロアに降りてアコースティック・ギター1本で「ラスト・リーフ」を弾き語る。1コーラスまでは下手を向いていたけど、2コーラス目から逆を向いて演奏するサービスぶり。フロアのお客さんたちに足を踏み鳴らさせて、それをタブレットで録音し、バスドラム、拍手や「チィーッ」という声をそれぞれ録音していき、サンプリングした音でリズムのループを作り「ゲット・オーヴァー・イット」を演奏する。まあ、あまりに音がきれいなんで本当にその場で録音したものなのかなとは思うけど。

OK Go そして日本で撮影されたビデオが素晴らしい「アイ・ウォント・レット・ユー・ダウン」。どうやら撮影した監督も会場に来ていたようだ。当然盛り上がって本編は終了。
 
 アンコールの前にバンドが出したさまざまなビデオがスクリーンに映し出され、メンバーが登場し、80年代のプリンスを思わせる「ホワイト・ナックルズ」。「ジ・ワン・モーメント」を経て、最後は「ヒア・イット・ゴーズ・アゲイン」で締めくくる。演奏の前には中村獅童が観にきているといい、「歌舞伎はクールだ。観客にもルールがある」とダミアンは語り、ダミアンとティムで歌舞伎のまねごとをする。まあ、これが典型的な歌舞伎に対する勘違いで微笑ましかったのだけど(せめて掛け声は「オトワヤ〜」や「ナリコマヤ〜」ぽい感じにしてほしかった)。そして、「ヒア・イット・ゴーズ・アゲイン」なんだけど、ここまでカラフルでポップな曲をいろいろと聴かせて、最後は原点のパワー・ポップに戻るようなセットリストとなった。

 90年代の楽しさと80年代の華やかさを感じさせ、ゼロ年代らしいアイディアと最新のテクノロジーを上手に使いこなすセンスが融合して、その全部の要素が詰まっているのが話題になった「アイ・ウォント・レット・ユー・ダウン」でなのかなと思うのだ。それと、どの曲だったか、アンディがタンバリンを振ったあとで、振り向かないでタンバリンを後ろに放り投げて、控えていたスタッフがキャッチして、アンディの元に返すというのを繰り返していた。バスケットボールやサッカーのノールックパスである。これには何度も練習しないとうまくいかない。こういうことにこだわるのが、このバンドなのだなと感じることである。

 そして、彼らのプロモーション・ビデオみればわかるように、最新のテクノロジーを使っているのに手作り感がある。今は音楽にせよ、映像にせよ、コンピュータによる特殊な効果でいろいろ作ることができる。しかし結局、肉体が動かないと何も始まらないのだ。オーケー・ゴーは今の時代にバンドであること、バンドでないとできないことに対して意識的なバンドであり、人が動いて音楽が生まれアナログな効果でもアゲることができる。ライヴの場では、その気分を後押しする手段としてバンドがとったのが紙吹雪だったということなのだ。シンプルだけど、人々の気分を高揚させる。そして、それにはポップを解析して作り上げた音楽が根本にあるのだ。

— set list —

Upside Down & Inside Out / You’re So Damn Hot / The Writing’s On the Wall / Turn Up the Radio / I Want You So Bad I Can’t Breathe / Obsession / This Too Shall Pass / There’s a Fire / Last Leaf / Get Over It / I’m Not Through / Needing/Getting / Do What You Want / Skyscrapers / I Won’t Let You Down

— encore —

Fake It / White Knuckles / The One Moment / Here It Goes Again
Ok Go

–>フォト・レポート

Share on Facebook

Information

Photos:
Naoaki Okamura
naoaki@smashingmag.com
twitter
Naoaki Okamura's Works

Text:
Nobuyuki "Nob" Ikeda
nob@smashingmag.com
Facebook
Nobuyuki "Nob" Ikeda's Works

Write a comment