吉野寿 (イースタンユース / outside yoshino) 「自由っていうのは一番恐ろしいこと。それでも自由な方がいい」

Part 2:自由に生きたら、長生きってできねぇのかな?
インタビュー:「自由っていうのは一番恐ろしいこと。それでも自由な方がいい」Part 2:自由に生きたら、長生きってできねぇのかな? 2015.02.28

eastern youth, outside yoshino

Mag: 「テレビ塔」は他誌のインタビューで、吉村さん(ブラッドサースティー・ブッチャーズの吉村秀樹)を連想したと言われたことに対して、「ご想像にお任せします」とおっしゃっていましたが。

吉野: 今回もそう答えようと思っていました。追悼とか、そういうことではない。追悼とか嫌でさ。ナニナニに捧ぐ、みたいな。なんか俺、ムズムズしちゃってさ。曲自体も、よーちゃんのこと考えて作ったんじゃない。だけど変則チューニングを使って、ああいういうコードっていうこと自体が、よーちゃんから受け継いだものっていうかさ。子供の頃から見てきて、そこから俺が盗み取ったもの、染み付いたもの、骨身に刻んできたもの、あの頃の札幌のイメージ、そういうものが引っ張り出されてきたんだと思う。

 よーちゃんだけじゃなくて、俺たちの仲間、同じ年代の奴らが何人も死んでるわけさ。ちょっと普通じゃないくらいなんだけど、自由に生きてきた奴らばっかで、「結局自由に生きたら、長生きってできねぇのかな?」なんて思ったりして。そんな中で、とどめによーちゃんみたいな。「やっぱりそうか、俺たちダメか」みたいなさ。よーちゃんは誰よりも長く生きて、最悪なジジイになるべき、って思ってたけど、俺たちが自由に生きる代償ってそういうことか、って、すごいショックだった。でも、それが「テレビ塔」という曲と結びついているかっていうのは、はっきりしたことは言えません。

Mag: 「ナニナニに捧ぐ」が苦手とおっしゃいましたが、イースタンユースの曲はラブソングや特定の相手に向けた曲が、ほぼないように感じます。

吉野: ラブソングである曲は、ありますよ。いっぱい。ただ、「好きだ」とか「愛してる」って言わないだけで、ラブい曲はあるんですよ。ありますあります。ラブからきてる曲は、いっぱいあります。

Mag: 例えば、どの曲でしょうか。

吉野: それは内緒。でも、どんな解釈でも俺はいいと思う。自分が歌を作る時にはいろんな気持ちで作るけど、それが世に出てしまったら、聴いた人がどういう風に取ってもいいんじゃないかな。誰かのことを連想してもいいし。それでいいと思ってる。

Mag: 一方、「直に掴み取れ」では、他者の存在がワーッと入り込んできた感覚があります。

吉野: それはたまたまコーラスが入っているからじゃない?「1丁目2丁目3丁目」「朝焼け新宿行き倒れ」(※向井秀徳によるラップ)が入っているからじゃない?あの曲に関しては、野良犬みたいな人間たちの意思表明っていうか、ひとつのスローガンとかじゃなくて、みんなあっちゃこっちゃ向いて、バラバラ、グッチャグッチャの人たちなんだけど、でも自由に生きていくってことで意見がまとまっている。「冗談じゃねぇんだよ。勝手に生きていくんだよ」そういうひとつのまとまりっていうか、「方向が無い方向性」っていうか。矛盾しているけど、そういうものが出ればいいのかなって。押し付けられてたまるかよ、決められてたまるかよ、俺の人生なのによ、って思います。「ヤダヤダヤダヤダ! 従うか! アホかー!」っていう明るい感じになれば、と思いました。

Mag: 聴いていて、すごくカタルシスがありました。

吉野: あ、そうですか。

Mag: ちょっと泣きましたね。

吉野: えー? なんでー? この曲はいちばん最初にできた曲です。アルバムの中で。

Mag: ライヴで、メチャクチャ大きな声で歌いたいです。

吉野: 練習しなきゃ。だけどあれだね、ひでのり(向井秀徳)パートは、ひでのりがいないとできないなあ。俺では再現できないから、あのパートは。俺が「ハッー!」とか言えないでしょ。

Mag: 向井さん、呼んで欲しいですけどね。

吉野: やってほしい。そこだけシューッ!って出てきて、シューッ!と歌って、シューッ!と引っ込む、みたいな。あそこ肝っすよね。あれでグッと華やかになったっていうか、持って生まれた華みたいな。

 ヤツはなんか俺のこと見捨てないんだよね。定期的に会う機会がある。俺、ミュージシャンとの付き合いってほとんど皆無なんだけど、1年に1回か2回とかだけど、定期的に会っているのはヤツだけ。優しいヤツなんだと思う。

Mag: 二宮さんの脱退について、おうかがいします。数日前に二宮さんにお目にかかったとき、「発表されたとおりでございます」とおっしゃっていました。

吉野: その通りです。

Mag: 決まったのは、レコーディングが終わってからですか。

吉野: 年末、これからいろいろどうするよって打ち合わせしているときに。でもまあ、随分前から考えていたんだろうなっていうのはあった。驚かなかった。

Mag: 発表された瞬間、一気に注目が集まりましたね。

吉野:「これは解散だな」と思ったんだけど、「待てよ」と思ってさ。俺、本当にこれしかやってきてないし、20歳の頃にこのバンドを組んだんだけど、最早ライフワークなんですよ。で、さあ別のことやるかっていうふうに考えたときに、「あれ?ライフワークだったんじゃねぇのかよ?」って思い直したわけですよ。田森に「どうするよ。やるか?」って聞いたら、「やるならやるよ」って言うし。「じゃあ、やってみっか」って。それに「解散しました。あたらしくバンド組みます。で、ドラムは田森です」って言ったら、同じじゃないか? と思ったし、自分で作った曲なら過去のものでもやろうと思ったし、だったら別に、イースタンユースでいいんじゃないの?みたいな。「一緒じゃねぇんだよ」っていう人はいると思うけど、物事、いつまでも同じ状態っていうのはありえないし、その時その時で、生きていくしかないじゃん。だから、やることにした。なんと言われても、もう1回イチからやるよって。「まいったなあ」みたいな感じになっているけど、それでもまあ、他にやりたいこともないし、やれることもないし。

Mag: イースタンユースを続けると聞いて、ホッとした人もいると思います。

吉野: 今までの形はもう二度と戻らないわけですから、今までの形でなくてはダメだ、っていう風に捉えている人にとっては、事実上の消滅ですよ。だから、ここからもう一回、イチからやり直します。名前はそのまんまでも、別のバンドってとらえてくれていい。

Mag: 出雲大社にお参りもしましたしね。(※インタビュー前日、出雲でソロライヴがあった。出雲大社は縁結びの神様として名高い)

吉野: いいご縁があるんじゃないかな! 大国主神の銅像も、ちょっと学(※元fOULのベーシスト、平松学)に似ていたし。ベースの神様いるんじゃないかな? なんちて。ふははは。

 

–>Part 3:「もう一回出逢い直すのも、面白い」
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