モグワイ (Mogwai) @ 名古屋クラブクアトロ 2015.03.10

20年目の轟音ポストロック
テキスト・レポート「モグワイ (Mogwai)」@ 名古屋クラブクアトロ 2015.03.10

Mogwai

 もう3月だというのに雪が吹雪く夜となったポストロックの雄、モグワイの名古屋公演。客層は男性客が多く、会社帰りのサラリーマン、年配の人や着物を着た女性の姿も見える。ここにいる誰もが、人生の大切な一時をモグワイの音楽と過ごしてきたのだろう。7枚の傑作アルバムを生み出してきたバンドの結成20周年という時の流れを感じさせた。

 ほぼ定刻通りにメンバーたちがステージに登場し、スチュアート・ブレイスウェイトが「戻って来られて嬉しいよ!」と挨拶すると、歓声が上がった。それが静まるとすぐ曲が始まる。最新作『レイヴ・テープス』より「ハード・アバウト・ユー・ラスト・ナイト 」がオルゴールのような音色でスタートし、ゆっくりと、そして確実に重低音が響きだす。楽器が重ねられる度に音の厚みが増していき、観客は音のシャワーに身を委ねている。モグワイにしか作り出せない、唯一無二の世界へのトリップが始まった。

Mogwai

 曲が変わるごとに音の厚みが増していくように感じられた序盤には、数少ない歌モノである「トラベル・イズ・デンジャラス」も演奏された。あくまで歌声も重厚な世界観を織り成す楽器の一部だというようなさりげなさだが、それがとてもエモーショナルに感じられる名曲だ。そして4曲目の「ラノ・パノ」に入るあたりから、一気に圧倒的な迫力で轟音がクラブクアトロを満たしだした。身体中の水分が、ステージから発せられる分厚いサウンドに合わせて振動する。この感覚はクセになる。観客たちも首でリズムを取りながら、気持ちよさそうに体を揺らしていた。左右と中央に設置された『レイヴ・テープス』のジャケットと同じ六角形のオブジェが光り、さらに目がくらむほどのストロボがたかれると、もはや自分がどこにいるのか分からないほど、どっぷりモグワイの世界に浸っていた。

 「ウィー・アー・ノー・ヒア」で圧巻のラストを迎えるとメンバーがステージを去っていった。脳味噌がしびれるほどの轟音を全身に浴び、たまらず耳を塞ぐ観客もいる。アンコールの手拍子に応え、ビールを片手にメンバーたちが戻って来ると、アンセムともいうべき「ヘリコン・ワン」をプレイ。メロディアスな出だしから中盤にかけて激しくうねる重低音の波に、笑顔を浮かべる観客の姿が印象的だった。ラストには赤いライトが照らすなか「バットキャット」が演奏され、壮大なモグワイのライブが幕を閉じた。

 曲間のトークはなく、スチュアートが「ありがとう!」と言うのみで淡々と進んでいくシンプルなステージングがまた、彼らの音世界に入り込ませてくれた。その中で無心になりながら聞き入っている観客を見ると、どれだけモグワイの轟音サウンドに身を浸すのを楽しみに来ているのかがよく分かる。こんな体験はモグワイのライブでしかできないからだ。ライブが終了すると、耳が完全に轟音にやられてしまったことが分かったけれど、それもまたモグワイをライブで体感したことの証。雪の降る静けさのなか、余韻のような耳鳴りが妙に心地よかった。

– set list –

Heard About You Last Night / White Noise / Travel Is Dangerous / Rano Pano / Ex-Cowboy / Ithica 27/9 / The Lord Is Out Of Control / How To Be A Werewolf / Deesh / Remurdered / 2 Rights Make 1 Wrong / We’re No Here

– encore –

Helicon 1 / Batcat

–>フォトレポート

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Photos:
Yoshitaka Kogawa
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Text:
Natalia Emi "Paula" Hirai
paula@smashingmag.net
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