ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズ(Noel Gallagher’s High Flying Birds) @ 日本武道館 2015.04.16

音楽の中へ
テキスト・レポート「音楽の中へ」 @ 日本武道館 2015.04.16

Noel Gallagher

「ドント・ルック・バック・イン・アンガー」のイントロが鳴った瞬間の歓声、そして合唱が始まる一連の流れは、もはやお約束ではあるけど、万単位の人たちの心をひとつにできる曲の力を存分に味わえる。それがサビに到達したとき、いつものようにノエルはマイクから離れて、歌声は会場の大合唱だけになる。そのときわれわれは音楽しかない空間にいて、音楽に包まれ、音楽の一部になったのだ。それは非常に幸福な時間だった。

 人混みの九段下駅を降りて、お堀に沿って歩くと、まだわずかに残っている桜の花びらが舞っていた。みんなは日本武道館に向かって歩いていく。途中、チケットを売ってほしいとの紙を持った人が何人か目につく。田安門をくぐると目の前に武道館の建物が現れる。いつもテンションが上がってくるのだ。

Noel Gallagher 席に着くとスレイドの「ハウ・ダズ・イット・フィール」が大音量で流れている。開演予定時刻の10分前、2階席から見下ろすアリーナ席はまだ埋まってない。外で待ち合わせをしたり、グッズを買ったり、看板を撮影したりしている。平日のせいか、仕事帰りらしい人が多い。リアルタイムで20歳くらいのときにブリットポップを聴いていた人は40歳だからそういう年齢層なのだ。ジェファーソン・エアプレインの「ハウ・ドゥ・ユー・フィール」がかかったあと、19時に武道館の公演では恒例の開演のアナウンスが流れる。19時を回ったころには座席もほとんど埋まり、ノエルの登場を待つばかりとなった。ドアーズの「ハロー、アイ・ラブ・ユー」のリミックスなどがかかり、19時10分、場内が暗くなり「シュート・ア・ホール・イントゥ・ザ・サン」が響き、バンドのメンバーが現れる。

 まずは「ドゥ・ザ・ダメージ」。ノエルがステージ中心に位置して、ステージ上手にキーボード、ギター、下手にベースとトロンボーン、トランペット、サックスから成るホーン隊、後方にドラムスという編成である。ステージ上に3台のスクリーン、背後に大きなスクリーンがあり、さまざまな映像が映し出される。

 スケールの大きさを感じさせる「エブリバディズ・オン・ザ・ラン」や「ユー・ノウ・ウィ・キャント・ゴー・バック」、オアシス時代の「モーニング・グローリー」を思わせる「ロック・オール・ザ・ドアーズ」、「ワンダーウォール」を思わせるイントロから中期ピンク・フロイドのようになる「リヴァーマン」、アコースティックでしっとりした「ザ・デス・ユー・アンド・ミー」「ドリーム・オン」「ザ・ダイイング・オブ・ザ・ライト」、ダンス・ビートな「バラード・オブ・ザ・マイティ・アイ」などオアシス時代とそん色ない曲が目白押しだった。ノエル・ギャラガーはオアシスの遺産を生かしつつ、しかしオアシス時代の貯金で活動しているのではないという絶妙なポジションを築いていた。オアシスから切り離してもひとりのシンガーであり、ソングライターである自立した姿を存分にみせつけた。

Noel Gallagher 本編で演奏されたオアシスの曲は「ドント・ルック・バック・イン・アンガー」を含めて4曲。ほぼ原曲通りの「ドント・ルック・バック・イン・アンガー」や「シャンペン・スーパーノヴァ」に対し、アコースティックでスローなアレンジに改造された「フェイド・アウェイ」、逆によりエッジが立った印象になった「ディグジーズ・ディナー」と変化球も投げてくる。その「ディグジー・ディナー」を受けて本編最後が「ドント・ルック・バック・イン・アンガー」。その頂きにどのように達するのかがノエルのライヴである。ノエル・ギャラガーのロックな面、ダンサブルな面、アコースティックな面、さまざまな面をみせて、一歩一歩階段を登るように気持ちを高めていくのだ。歓喜をもたらしたノエルたちは一旦ステージから去る。

 アンコールは、まず「イフ・アイ・ハッド・ア・ガン」。オアシス時代とは違ってノエルの優しく、弱い面がでたバラード。すぐれたシンガーソングライターであることを思いしらされる。次は「AKA…ホワット・ア・ライフ!」で客席をダンスさせ、最後はオアシス時代の曲で「マスタープラン」でしっとりと締めくくる。「ドント・ルック~」を最後にもってきて完全燃焼するのではなく、もっと聴きたいという余韻を残した終わり方で、このライヴは今年のフジロックにつながっていくことを感じさせる。また苗場で!

— set list —

Do the Damage / (Stranded On) The Wrong Beach / Everybody’s on the Run / Fade Away / In the Heat of the Moment / Lock All the Doors / Riverman / The Death of You and Me / You Know We Can’t Go Back / Champagne Supernova / Ballad of the Mighty I / Dream On / The Dying of the Light / The Mexican / AKA… Broken Arrow / Digsy’s Dinner / Don’t Look Back in Anger

— encore —
If I Had a Gun… / AKA… What a Life! / The Masterplan

Noel Gallagher

写真は、4月15日のものを使用しています。

–>フォト・レポート

Share on Facebook

Information

Photos:
Taio Konishi
taio@smashingmag.net
Web Site / Facebook /instagram
Taio Konishi's Works

Text:
Nobuyuki "Nob" Ikeda
nob@smashingmag.com
Facebook
Nobuyuki "Nob" Ikeda's Works

Write a comment