ブラフマン (BRAHMAN) @ 豊洲PIT 2015.05.24

結成20年で辿り着いた遥かなる高み
テキスト・レポート「結成20年で辿り着いた遥かなる高み」@ 豊洲PIT 2015.05.24

Brahman

 今年で結成20周年を迎えたブラフマン。1月から4月にかけて全29公演を行った「Tour Hands and Feet 7」の興奮もさめやらぬうちに、早くも今年2度目となるツアーを敢行。今回は、彼らが今までに訪れたことのないライブハウスを中心に、海外での公演も決定している。今ツアーで唯一となる関東公演は、2014年10月にオープンした豊洲PITで行われた。Power Into Tohokuの頭文字をとってPITと名付けられた同会場は、震災後から「東北ライブハウス大作戦」をはじめとする、復興支援活動に携わり続けている彼らにはあつらえ向きのステージだといえるだろう。

 会場内には、観客の期待と熱気が渦巻いていた。観客の大半がブラフマンのバンドTシャツを着ている。最前列の方では、ストレッチをしている人も目立つ。これらはブラフマンのライブではよく見られる光景だ。開演の時を今や遅しと待ちわびる会場に、ブルガリア民謡を使用したお馴染みのSEが流れると、観客が一気に前方へと押し寄せた。KOHKI(G)、MAKOTO(B)、RONZI(Dr)に続いて、TOSHI-LOW(Vo)がゆっくりとした足取りで登場。会場のボルテージは一気に沸点へと達した。ライブは「For One’s Life」で幕を開けた。会場の熱気を凌駕するほどの圧倒的なパワーで曲を繰り出すバンド。それに煽られるようにして、観客が次々と宙を舞う。続いて「ジ・オンリー・ウェイ」のイントロが流れると、バンドの背後に巨大なバックドロップが出現。歓声が絶叫に変わった。間髪入れずに、震災後のバンドを象徴する「賽の河原」や「露命」が演奏された。すでにライブでは定番の曲となっているだけあって、ステージ前では「待ってました!」とばかりにダイブの嵐が巻き起こる。フロアにライトが向けられると、後の方まで無数の拳が浮かび上がった。

 激しく点滅する照明の中で、見えない何かと戦うように躍動するTOSHI-LOWのシルエットが舞ったかと思うと、今度は真上から射し込む一筋のスポットライトが直立不動の彼を照らす。それぞれの曲をよりドラマチックに魅せる演出に感情が高ぶり、ペンを握る手に思わず力が入った。見る者の感情を揺さぶるのは、もちろん演出だけではない。「シー・オフ」や「アライヴァル・タイム」など、バンド初期から演奏されている曲から、7月に発売されるニューシングルに収録予定の「其限」や「終夜」まで、選曲の面でも多くの人に突き刺さるライブだ。スピードとパワーを緩めることなく歌い続けるTOSHI-LOWが客席に飛び込んだのは「覚醒」の時だった。ドッと押し寄せる観客に揉みくちゃにされながらも、一曲を歌い上げた彼は観客とタッチを交わしながら「いい試合だったよ、いい試合だった!どっちが勝ったかはわかんねぇけど!」と、会場の笑いを誘う。さっきまで壮絶なライブを繰り広げていた人と同一人物とは思えない、この絶妙なバランス感覚こそが、震災以降のブラフマンの特徴と言えるだろう。しかし、今回のライブでは今までのような長いMCはなく、2、3言発しただけで、すぐ次の曲へと雪崩れ込んだ。そこからは、もはやスプリント競技を見ているようだった。「フライング・ソーサー」や「アート・マン」といった勢いのある曲で一気に畳み掛け、最後はマイクを地面に叩きつけるようにしてステージを去った。

 最近のライブではラストを映像で締めくくるなど、余韻を残した終わり方が多かったが、今回は一切の余韻すら排除するような激しい幕切れとなった。会場にも一瞬戸惑いが漂ったが、その光景はまるで初期のブラフマンを見ているようでもあった。結成20周年を迎えて、ステージングの面では原点回帰したかのようにも見えるブラフマン。だが、背負うものが増えた彼らのライブは、当時よりも確実に研ぎ澄まされ、さらなる高みに達している。一切の無駄を排除しながらも、決してひとつの型に収まろうとしないブラフマンからは、今後とも目が離せない。

Brahman

Photos :
Tsukasa Miyoshi

Text :
Kohei Abe
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