コーパス・グラインダーズ(Co/SS/gZ, Copass Grinderz) @ 東高円寺 二万電圧 2015.07.11

衝動の一点突破、爆音で全面展開
テキスト・レポート 「衝動の一点突破、爆音で全面展開」@ 東高円寺 二万電圧 2015.07.11

Copass Grinderz

 4月18日の新代田フィーバー以来のライヴ。前回の模様はレポートでお伝えしたとおりだが、このたび『録音鬼特別盤 ロクオンキ・エクストラ!ライブ・アクション 4.18』と題された、同公演のライヴ音源が発売された。アストロ・グラインターズ(As/SS/gZ)と、30年ぶりに一晩かぎりの復活を遂げたインダストリアル / ノイズ ・バンド、ホワイト・ホスピタルの演奏を封じ込めた2枚組CDである。

 ライヴ盤というと、観客の歓声と演奏が繰り返され、場の空気感が再現されたものを想像するかもしれない。あの日のステージは、たしかにレポートのとおりの笑いや楽しさが満載だった。一方、このCDで鳴らされるのは、拍手や歓声はそこそこに、コーパスの容赦なくヘヴィ&ラウドな轟音。ゼロ(Vo. Gt.)の咆哮。なによりもアストロ(ASTRO)による、ヒリヒリとした絶え間ないノイズが、全体に統一感を与え、音源としての完成度を高めている。音だけ聴くと、ステージで大地大介(Dr.)が「羽生結弦からの昇龍拳」を披露したとは思えないテンションである。コーパスとアストロは、単なる記録や記念としてのライヴ盤以上の、恐るべき作品をたった一晩の共演で生み出してしまった。必聴。

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 この日、コーパスはレッドシアー(REDSHEER)のファースト・アルバム発売記念ライヴの一番手として二万電圧のステージに登場した。SEのガンバスターマーチとともにマスクをつけた名越由貴夫(Gt.)とゼロは向かい合い、腕組みして仁王立ち。しょっぱなから、なつかしの『トップをねらえ!』ネタを放り込んできた。

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 ガンバスターマーチにギターノイズが重なり、マスコットガールのグラインダーズが金属バットを高く掲げ、「パルス・ゴースト」からスタート。「ニールヘル」が鳴れば、必然的に次の「あの曲」への期待が高まり、「行くぞ! コックアス・ブラインダーズ(CockAss Blinderz)!」とゼロがシャウト。

 終演後になぜ今日はこのバンド名だったのかとゼロにたずねたら、お客さんがCD店で上記のライヴ盤を予約した際、店員にバンド名を「コーカサス・グラインダーズ」と誤って書かれたことが発端とのこと。普段からバンド名なんて記号にすぎないと語っているゼロらしい。

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 ゼロのシャウトに大地が「コブラ!」と重ねて、あの一度聞いたら忘れないイントロになだれ込む。「コブラ」は、いつ聞いてもパーフェクトな必殺ナンバー。観客も、待ってましたとばかりに熱く迎える。終われば、ゼロと大地(Dr.)はハイタッチ。絶好調。基本的にはMCはほとんどなく、グイグイと次の曲へ進んでいくのだが、「マネー」の後には大地が「ナイスちょうだい!」か「ライスちょうだい!」を微妙な発音で口走り、お客さんが「ライス?」とザワザワして笑いが起こる。

 「J」では、大地に手渡されたドラムのスティックを使って、ゼロがステージ中央で牛丼をおもむろに食べはじめる。その牛丼はフロアのお客さんを巡り、完食となった。演奏中に1杯の牛丼を観客とシェアしたバンドがかつてあっただろうか。いや、ない。

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 「ロックンロール」からの後半も、やはりたたみかけるような轟音で爆走していく。「みんなが思ってる以上にドラムって大変なんだよ…」とMCで吐露する大地。その傍で、ゼロは米粒が鼻の中に入ってしまったらしく、「まだこっちに(米粒が)いるんだよ」と顔面をムズムズさせている。自由すぎる。

 ラスト2曲は初披露の新曲と、重厚な「アンサー」。最後にゼロが境めぐみ(Dr.)のドラムセットをなぎ倒し、解体。大地が床に転がったバスドラムを担ぎ上げて終了。ゼロは興奮冷めやらぬ様子で、雄叫びをあげるのだった。

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 持ち前のユーモアで随所にネタをちりばめ、グラインダーズの存在でセクシーさと華やかさを盛り込みながら、コーパスのステージは「おもしろい」だけでは終わらない。

 名越が冷静に奏でる重低音にみなぎる凄み。ステージ奥に鎮座するツインドラムの迫力。汗しぶきを飛ばしながらギターノイズを繰り出し、吠えるゼロの存在感。このバンドが15年の休止期間を経て復活したきっかけも、観客は決して忘れることはないだろう。コーパスが音に込めて放つ、衝動の一点突破。爆音で全面展開する、圧倒的なパワー。それが生音はもちろん、冒頭で紹介したライヴ盤でも存分に味うことができる、コーパスの真髄である。

 この長い眠りから覚めた怪獣のようなバンドを、地下のハコに押しとどめておくのはもったいない。多忙なメンバーを抱えるため、1年で片手で数える程度しか観られない貴重なライヴ。もっと多くの人の前で披露される機会があったらいいのに。と思っていたら、10月24日に新木場ファースト・リングで行われる「プロレス×バンド」の異種格闘技音楽イベント「キープ・オン・スマイリング 2015」に出演するという。コーパスとプロレスの組み合わせ、想像しただけでワクワクしないだろうか? 今後の予定もコーパスのツイッターで告知されるだろう。要チェック。

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— set list —
PULSE GHOST / Ne/H/eL / COBRA / MONEY / PARANOGUN / J / rock’n'roll / SILVER / 血まみれ / Grind Musik / ANSWER

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