!!! (チック・チック・チック) @ 朝霧アリーナ 2015.10.10

踊るお猿に見るお猿、同じ猿なら踊らにゃ損々
テキストレポート – !!! (チック・チック・チック)「踊るお猿に見るお猿、同じ猿なら踊らにゃ損々」 @ 朝霧アリーナ 2015.10.10

!! チック・チック・チック
 朝霧ジャム初日も20時をまわり、かなり肌寒くなってきたものの、ステージ前方は踊る気満々といった面持ちのオーディエンスでごった返し熱気ムンムンだ。当然の反応である。これから!!! (チック・チック・チック 以下チック) の煮えたぎるようなダンス天国がはじまるのだから。開演時刻を過ぎたものの、ダンス天国の礎を築くべく入念にサウンドチェックを行うバンドメンバーとスタッフたち。最高のパフォーマンスを届けてくれるならいつまでも待つとばかりに、お馴染みのフレーズが飛び出すだけで、フロアから歓声が巻き起こるのだ。集まったオーディエンスみんなの期待がビシバシと伝わってくる。そう、チックが繰り広げるダンス天国を、そして稀代のフロントマン、ニック・オファーの短パンを!

 ほぼ10分押しでステージが暗転し、バンドメンバーとニックが登場した。ニックは…短パンだ!まずは挨拶代わりに軽めのチューンから。つい先日リリースされた新譜『アズ・イフ』からの「シック・アス・ムーン」 でキックオフだ。ニックがファルセットを心地よく響かせ、十八番の腰振りペンギン・ダンスまで飛び出じゃないか!のっけからオーディエンスの笑顔がはじけるのだ。

 刻まれるハンドクラップとともにポップな佳曲「エヴリー・リトル・ビット・カウンツ」へとなだれ込む。途中でカーディガンを脱ぎ捨てポロシャツ一丁になるニック。フロアから爆笑まじりに「腹出てるぞー!」と歓声が飛ぶ。チックのライヴならではのファニーなやり取りに思わず吹き出してしまった。

!! チック・チック・チック お次は、怪しげな雰囲気が満載の前作『スリラー』からの「エクセプト・デス」を披露。冒頭でゆっくりと誘うようにステージ奥から歩み寄ってくるニック。腹にズシズシ響くベースの重低音がたまらない。終わりのギターの流麗な調べはいつ聴いても最高だ。ニックが、一心不乱に奏でるギタリストを何度も指差し盛り上げていた。本曲を締めた後「ア~リガート、アリアリガット~♪」とフロウをきめながら感謝の意を伝えるニックが何とも愛らしい。

 前作の『スリラー』と前々作の『ストレンジ・ウェザー・イズント・イット?』は、ミニマル・テクノの影響を感じさせるサウンド・プロダクション面は広がりを見せたものの、初期のパンクなスタンスが薄れた感じを受けた。つい先日リリースされた新譜『アズ・イフ』では久しぶりに『ラウデン・アップ・ナウ』や『ミス・テイクス』を彷彿させるパンク魂あふれるチック流ファンクが復活していた。「もし自分たちがモータウンのグループだったら」、「90年代のゲットー・ハウスをパンク様式で鳴らしたら」などの自由奔放なテーマを設定して作成した新譜。そんな奔放さは「バム・シティ」や「オール・ユー・ライターズ」に顕著だ。 本日のセットリストの大半が新譜の曲で占められていたのが、彼らの自信のあらわれだろう。そういえば、あるインタビューでニックが「新しい曲をやる方が、古い曲をやるよりエキサイティングだもの。」と語っていた。ファンがよく知る過去のレパートリーでなくとも、フロアを強制的に踊らせることができるのは、彼ら自身が心底楽しんでパフォームしているからこそだ。

!!! チック・チック・チック チックのステージでは、どうしてもニックのパフォーマンスに目がいきがちだ。「踊ることは、デモ行進や座り込みに代わる美しい表現にしてプロテストだ!」との信念のもと渾身のダンスを披露するのだからしょうがない。でも、フロアのみんなが無条件に腰を揺らすことができるのは、会場に居合わせたみんなが名前と顔が一致しないであろうバックを支えるアラン・ウィルソン、マリオ・アンドレオーニ、ダン・ゴーマン、ラファエル・コーエン、ポール・クアトローンのバンド5名(本日のライヴにおけるメンバーは4名だった)が出力する極上グルーヴがあってこそなのだ。眩しくレインボー色にきらめく照明の中、いとも簡単に一帯をディスコ・ホールに一変させた「フリーダム! ‘15」のうねるような高揚感を思い出してほしい。

 バンドがうねる様なグルーヴ感でたたみかける、驚愕のダンストラック「スライド」の後、いったんニックがはけたが、真紅に染められたステージの中、怪しくビートを響かせ続けるバンド。ニックが戻ってくるや否や「アイ・フィール・ソウ・フリー」で熱狂の渦に叩き込んだ。朝霧高原一帯が絶頂を迎えたのを見届けニックは投げキッスを飛ばし、バンドとともにステージを後にした。照明が明るく点灯しステージに音楽が流れて終演したと思いきや、鳴りやまないアンコールの呼びかけにチック一同まさかのカムバック!小気味好い8ビートが刻まれ正真正銘のラスト「ヤドナス」を投下した。60年代のロケンローな質感の音が響き渡る中、タオルをあらん限りに振り回し向かいあって雄叫びを上げ踊りまくるお猿2名。昨今のEDMなんて目じゃないダンスの楽しさは何だ!?フロアの群衆も雨が降ってきたけどそんなの関係ねぇ!自分をさらけ出せ!とばかりに踊り狂っていたのだ。

 ラスト3曲のステージ前方の熱気は本当に凄かった。周囲にガンガンぶつかりつつも、思い思いのダンスを披露する笑顔あふれる大勢の女の子たち。楽しみすぎてかいきなりステージ前から倒れて来る女の子までいたからね。チックの面々はなんて羨ましいやつらなんだろう。男の存在価値は女の子を笑顔で、踊らせてなんぼだと思う。彼らからすると「してやったり」な一夜となったに違いない。

!!! チック・チック・チック

— set list — *ライターメモ
Sick Ass Moon / Every Little Bit Counts / Except Death / Bam City / All U Writers / Ooo / Freedom! ‘15 / All the Way / Must Be the Moon / One Girl / One Boy / Slyd / I Feel So Free (Citation Needed)
— encore —
Yadnus

–>フォト・レポート

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Text:
Takafumi Miura
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