グリム・スパンキー (Glim Spanky) @ 朝霧アリーナ 2015.10.10

今年初めて富士山が聞いた歌
テキストレポート – グリム・スパンキー (Glim Spanky) in 朝霧ジャム – イッツ・ア・ビューティフル・デイ! @ 朝霧アリーナ 2015.10.10

Glim Spanky

 午後2時、レインボーステージの前に観客が揃った。照明が灯り、「サンライズジャーニー」、何かの始まりを予感させるギターリフからライブが始まる。Vo.松尾レミの落ち着いた声が響き出すと、その声につられるように、その辺を歩いていた観客が足を止めて振り返る。曲が進む度に、一曲が終わる度に、拍手と上がる手、歓声が増えていった。引き寄せられるように、他の観客の間をすり抜けて前へと詰めていく人も次々。テンポの緩急が激しい「焦燥」、低く重く打ち込まれるような「ダミーロックとブルース」、決してテンポの早さだけに乗せられる構成ではないけれど、ひんやりした朝霧の空気の中、ブルースの確かな熱を持ったナンバーが続き、ステージと客席の間でジリジリと上がる熱が「褒めろよ」で漸く開放された。

Glim Spanky クールに5曲歌い上げた後、やっとこの日初めての笑顔を見せるVo.松尾レミ。一旦、熱を冷ますような優しい「夜が明けたら」を演奏した後、ありがとう、気持ちいいです、最高ですと、貫禄たっぷりに観客に魅せつけたGt.亀本のストラップがレインボー柄だったのは、この日を楽しみにしていた気持ちの表れだったろうか。フジロックに言及すると反応する観客に、何度もありがとうと応える松尾。先のライブのチケットがソールド・アウトとのこと。勢いを保ちつつ明るい曲調に転じ、観客に手拍子を促して湧いた「リアル鬼ごっこ」が終わると、今日一番の歓声が上がった。

Glim Spanky その後、「この言葉を、ずっと言っていくと思う」と前置きし、松尾は「日本語で世界に挑戦していきたい」と語った。英語の曲を聴いて自分たちも涙したように、世界にも日本語で聴いてほしい、と。そしてデビュー前から長く歌っているという「大人になったら」を最後に演奏した。ジャニスの再来と言われるその声は、心情を映した景色を鮮やかに歌い上げた。

 確立された技術と類稀なハスキーな声質、その迫力がよく取り上げられる彼女の声だけれど、決してそれだけではない。ギターの音色ともよく調和して、自分で選んだ言葉とともに自分たちの音楽を目の前の観客に届けようとする、素直な丁寧さがよく伝わってくる。駆け抜けるだけではない、一つ一つの曲に込められた思いを、自分が一番上手だからという日本語で、観客に伝えようと一生懸命の、真摯な演奏だった。ライブハウスの密度の濃い緊張感を、朝霧の開けたステージに存分に持ち込み、きちんとストーリーを作り、観客と音楽で向き合った。その意志を、今日は富士山もが聞いた。急激な知名度の上昇中にあって、彼らは観客と日本一の山に向かい、揺るがない信念を堂々と見せつけた。情熱がこもった、パンチの効いた演奏で、朝霧ジャムが目を覚ます。

Glim Spanky

— set list — (原文のまま)
サンライズジャーニー / 焦燥 / ダミーロックとブルース / Gypsy / 褒めろよ / 夜が明けたら / NEXT ONE / リアル鬼ごっこ / 大人になったら

Text by :Maika Takahashi

–>フォト・レポート or ザ・フィン (The Fin.)

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