レーヴェン (Räfven) @ 朝霧アリーナ 2015.10.11

レーヴェンあるところ、賑やかな嵐が巻き起こる
テキストレポート – レーヴェン (Räfven)「レーヴェンあるところ、賑やかな嵐が巻き起こる」 @ 朝霧アリーナ 2015.10.11

Räfven

 ライヴを見る時、「あの曲が聴きたい」といった想いは、少なからずあるだろう。しかし、レーヴェン(Räfven)の場合はそれがない。オーディエンスは、彼らのライヴの全編に漂う「楽しさ」を求めて集まってくる。期待値は高く、タイムテーブルに記載された時間が迫るにつれ、だんだんと歓声は増していく。定刻となり、勢いよく飛び出していったレーヴェンは、のっけから、息もつかせぬ暴れっぷりを見せた。

 モッシュ、ダイヴはもちろんのこと、大きな円を作ってのラインダンスなど、オーディエンスの盛り上がりはとどまることを知らない。送り手と受け手という立場の違いはあるにせよ、それぞれが好き勝手に騒ぐという意味では、ヨナス(ギター)、ヨハン(アコーディオン)、マーティン(サックス)、デイビッド(トロンボーン)、ダニエル(タンブーラ)、ローク(フィドル)の、「フロント6人衆」とオーディエンス、どちらもさして変わらない。

Räfven フロントの6人衆が派手に動き回れるのは、パー(ドラム)とラスマス(ダブルベース)のリズム隊が、しっかり基礎をつくってくれるからこそ。もっとも、パーは、中盤ともなれば、フロントのメンバーと同じく半裸となり、激しさが増してくるいっぽうで、ラスマスは変わらない。笑みを浮かべたり、頭を振ったりはするものの、常に冷静さを保ち、ライヴという生き物をコントロールしている。

 そんな、バンドの頭脳とも言えるラスマスだが、ただの一度だけ主役となる時がある。“Bra Dag För Skägg”における、ダブルベースのソロパートにさしかかると、それまで大暴れしていたフロント6人衆が、「こいつを見てくれ!」と言わんばかりに、指をさしたり、しゃがんだりと、いっせいに引き立て役に回る。ラスマスは、ここぞとばかり、華麗に決める。レーヴェンのライヴ経験値が高い者ほど、グッと来る瞬間だったのではないだろうか。

 レーヴェンの面白みは、様々なところにちりばめられている。ロークのデス声はさすが、「北欧メタルの本場」といったものだし、サーカス出身のマーティンがフラフープを披露しながらサックスを吹いた“Joscha”は、音楽の枠を飛び越えたひとつのエンターテイメントだ。レーベル・スタッフの一員で、リディメイツのトランぺッター、ブチを急遽ゲストに加えたりと、すべてにおいて決まりごとがない。

Räfven メンバーがどんなに暴れても、盛り上げても、ライヴの最後に演奏される、“Hei Helle”のドラマには敵わない。ニューアルバム『よみがえれ!キツネザウルス〜Bring Back The Dinos』の物語を締めくくるこの曲は、ライヴとなれば、レーヴェンの手を離れて、オーディエンスの合唱を主役としてしまう。ロークは、フジロックと同じく、早々に顔を歪めて泣いているし、他のメンバーは笑いながらも泣いている。それを見るオーディエンスも、つられてこみ上げてしまう。一度立ち上がったコーラスは、メンバーがはけても止まず、終わりのない楽曲としてしまうのだ。

 フジロックから二ヶ月ちょっとのうちに再来日を果たしたレーヴェンは、列島滞在中、ライヴがあろうがオフであろうが夜ごと飲みまくり、訪れた店にスペースがあれば勝手に演奏したりと、今回もまた、時差ボケを治すことはなかった。メインのステージで万を越える人間を盛り上げることと、明け方のバーにたむろす数人のお客と触れ合うこと、どちらも変わらない対応をしていた。レーヴェンの行くところ、賑やかな嵐が巻き起こる。だけれども、彼らの最たる強みは、「賑やかさ」ではなく、場を「共有すること」なのだ。

— set list —
Stortrapp / Båsmarsch / Karateklubben / Kajutan Blues / Laika / Colombo Nr 7 / Rebben / Bayram / Ring Rammel / Bra Dag För Skägg / Ale Brieder / T-Fox / Schabrak / En Sträng Kvar / Miljonmarschen / Mustafa / Ale Schwester / Joschka / Hei Helle

Räfven

–>フォト・レポート or カインドネス (Kindness)

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Photos:
Natsumi Arakawa

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Text:
Taiki "tiki" Nishino
taiki@smashingmag.com
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