朝霧ジャム – イッツ・ア・ビューティフル・デイ! @ 朝霧アリーナ 2015.10.10 – 11

アウトロ – 笑顔は笑顔を産み、勝の連鎖を繋いでいく
特集 – 「アウトロ – 笑顔は笑顔を産み、勝の連鎖を繋いでいく」 in 朝霧ジャム – イッツ・ア・ビューティフル・デイ! @ 朝霧アリーナ 2015.10.10 – 11

朝霧ジャム - It's A Beautiful Day!

 朝霧ジャム、2年目の参加だ。昨年同様にキャンプ用具一式を担ぎ新幹線で新富士駅に降り立ち、バスに乗り込む。13時前後に会場入りしたのだが、昨年と変わらぬAサイトのテントの密集っぷりに「あぁ、今年も帰って来たなぁ…」という感慨にふけってしまった。その光景をバスの窓越しに見た、今年初朝霧ジャムにして初フェス参戦(!)というツレの興奮がひしひしと伝わって来たのが今でも忘れられない。

 朝霧アリーナが、伝説のフジロック初年度翌年にフジロックの候補地としてあがっていたという話は有名だ。ザ・日本の山たる富士山のもと、その名のとおりにフジロックが開催されていたら…と夢想してしまうのを禁じ得ない。ホワイトステージはムーンシャイン・ステージで、フィールド・オブ・ヘブンは、場所も変わり、名前もドッグランからどん吉に変貌したカーニバル・スターかなと思い浮かべるだけでニヤニヤしてしまう。

 今年のフジロックから早3ヶ月。緑、あるいは紫のスタッフ・ジャケットを羽織った関係者が行き来し、選り好みせずあらゆるジャンルの音楽に楽しく揺れるフェス・ラヴァーズであふれている。何とフジロックと共有項が多いことか。この二つのフェス同士の緩やかなつながりが、日本におけるフェス文化をここまで培ってきた所以なのだろう。

朝霧ジャム - It's A Beautiful Day! さて、今年のライヴの話に移ろう。初フェス体験の友人と一緒だったこともあるかもしれないが、ライヴを観ることだけに没頭しなかった。美味しい食事(クイーン・シーバのエチオピアン・プレートはやっぱり最高!期間中に何度も食べてしまった)を食べ、酒を仲間と酌み交わしつつゆったりと楽しんだライヴがほとんど。フジロックで観れるかぎりのライヴを観るぞ!と走り回る過酷な状況(でも振り返ると最高!)とは大違い。逆に新鮮な体験だった。

 初日に立て続けに歓喜の踊るステージを繰り広げてくれたザ・ゴー!・チームチック・チック・チックは取材しライヴ・レポートを書いたので詳細はそちらをご覧いただきたい。まずここで触れたいのは、坂本龍一主催の反核イベント、第1回ノー・ニュークスにおける自由奔放なセッションに圧倒されて以来ずっと観たかった七尾旅人。のっけから「暗い曲しか今日はやらない!」と宣言し、繰り広げられためくるめく七尾ワールドには異次元に飛ばされたかのような衝撃を受けた。ローリン・ローリンでの盛り上がり前の混沌とした音世界にはオーディエンスは立ちつくすしかなかったのだ。

 初日の終演後から派手に降り続くなか幕をあけた2日目。「怪獣」と自ら称する奇天烈な自作帽子で登場したフロー・モリッシーも凄かった。と、アコギもしくはキーボードというミニマルな構成のもと、紡ぎ出される美声と音の塊。雨のなか居合わせたすべての人が真剣に聞き入っていた。信じられない力量だ。まだ20歳そこそこの彼女。先行きが楽しみでしょうがない。

T字路s そして、お宝級の発見がT字路sだ。今年のフジロックのステージも最高だったみたいだし、かねてから「最高!」と方々から耳にしていて、ようやく観れたという感動もあるが、何より超好みのいぶし銀満載の和製ブルーズをこれでもかと披露してくれた。憂歌団並みの酔いどれ感、そして有無を言わさずグイグイ来る強靭なグルーヴ。雨なんて忘れて大はしゃぎするオーディエンスが何よりの証拠だ。この日の感動を共有した連中は、必ずや彼らのワンマン・ライヴに足を運ぶことだろう。

 青春時代ど真ん中な音を今も奏でるサニーデイ・サービスに涙し、ザ・シー・アンド・ケイクのメンバーであるサム・プレコップ・ウィズ・アーチャー・プルウィットがモジュラー・シンセサイザーで形成する異空間に酔いしれ、スペシャル・アザーズの演奏中に見せたわずかの晴れ間に、自然に対する畏敬の念がこみ上げてきた。酒を飲み赤ら顔で、仲間と談笑しながら観た今年のライヴはどれも最高だった!何て幸せな時間なんだろう。そう、仲間の写真家が総集編で述べていたとおり「ここは天国なんじゃないか」と思わずにはいられなかった。

Räfven 帰りのバスの出発が18時だったため、途中でテントをたたみつつ観るはめになったレーヴェン。フジロックでもあまり目撃できなかったこともあり、がっつり観れなかったのは残念だったが、Aサイトから俯瞰する客とバンドの掛け合いは、ここ一番のヴァイヴを醸成しているのが見て取れた。レーヴェンの終演後、後ろ髪を引かれる思いでバスに乗り込み、会場を後にした。2日目トリを務めたクロマニヨンや、カインドネスの貴重なDJセットは目撃できていない(観たかったなぁ…)。

 笑顔は笑顔を産むのだ。フジロックも、朝霧ジャムも一緒。みんなが安心して音楽を楽しめるこのありがたい環境を維持するため、音楽とフェスティヴァルを心底愛する我々が声を上げ、想いを伝え、守っていかなかきゃならない。いつになくそんな熱いことを感じながら筆を置くこととする。

 これでスマッシング・マグの今年の朝霧ジャム特集は幕を下ろす。姉妹サイトのfujirockers.orgには今後も様々な楽しい記事がアップされていくはずだ。スマッシング・マグとfujirockers.orgのスタッフが一丸となり、企画し練り上げていった今年の朝霧ジャム特集。現地に足を運んだみなさんも、今年は残念ながら行けなかったみなさんも笑顔になっていただける内容と自負している。ぜひとも楽しんでいただきたい。では、来年また朝霧の地で!

朝霧ジャム - It's A Beautiful Day!

Photos:Shinya Arimoto / Masahiro Saito / Miyuki “Sam” Samata / Natsumi Arakawa / Taio Konishi ※上から順

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小西泰央編 / 齋藤允宏編 / 佐俣美幸編 / 荒川菜摘編 / アリモトシンヤ



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Takafumi Miura
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