ザ・ストライプス (The Strypes) – 『リトル・ヴィクトリーズ』

成長する少年たちをみられるのは今だけ!
CDレヴュー『 リトル・ヴィクトリーズ』 2015.11.08.

 絶賛来日中のザ・ストライプス、すでに札幌福岡、広島のライヴを終えて、いよいよ東名阪、そして仙台のライヴとなる。7月のライヴでも素晴らしいステージをみせてくれたストライプスが、多くの人たちの前で成長した姿で演奏することを想像するとワクワクした気持ちが抑えきれない。

The Strypes 確かに1stアルバムはかっこよかった。だけど、まだ10代の彼らが同じことを続けるのだろうか? とも思った。古いロックンロールやブルースをアイルランドの少年たちが勢いよく演奏する、それだけで価値があった。そしてそれが絶賛された。そうしたらウケたことを繰り返すようなアルバムを作るのか。

 ブルースみたいな音楽は同じスタイルを続けることに価値を見いだしてしまうところもある。老いたブルースマンが何10年と同じ演奏して賞賛される。だから、ザ・ストライプスもそっちのほうにいってもよかった。「現代にブルースを継承する」というふうに伝統芸能の保存者になるのかもしれないと思った。

The Strypes だけども、それは裏切られた。しかも、うれしい方に裏切られた。もしかしたら、おれは彼らを舐めてたのかもしれない。2ndアルバムは、前作で彼らを好きになった人たちをがっかりさせることなく、ロック史的に正しく進化した傑作になっていた。

 ざっくりいうと、前作が50年代から60年代だとすると、今作は60年代後半のロックがさまざまなものを吸収して進化していた時代のものに加えて現代のロックンロールが持つ新しさ、雑食性が感じられる。

 跳ねるようなポップさも感じられる一方で、ザクザクとしたギターが入り、間奏のハーモニカが唸りを上げる「ゲット・イントゥ・イット」。

 ブロンディの「コール・ミー」のようなリズムでテンポを上げて、フロアを踊らせる光景が目に浮かぶ「アイ・ニード・トゥ・ビー・ユア・オンリー」。

 グッと抑えて、サビのメロディで盛り上がりそうな「ア・グッド・ナイツ・スリープ・アンド・ア・キャブ・フェア・ホーム」。

 ダイナミックなイントロから、印象的なサビへ向かう「エイティ・フォー」。

 70年代ハードロックを思わせるギターにロスのヴォーカルは実はラップじゃないかと思わせる、ストライプス流のミクスチャー・ロック「クイーン・オブ・ザ・ハーフ・クラウン」。

 哀愁のあるイントロで始まるバラード「(アイ・ウォナ・ビー・ユア)エヴリデイ」。

 キレのあるギターで爽快に疾走する「ベスト・マン」。

 オアシスの「ワンダーウォール」にターボチャージャー取り付けて加速させたような「スリー・ストリーツ・アンド・ア・ヴィレッジ・グリーン」(また「ヴィレッジ・グリーン」という単語に反応してしまう人もいるだろう)。

 ハードなギターのリフと渋いスライドギターのソロがうまくブレンドされた「ナウ・シーズ・ゴーン」。

 リズムが頻繁に変わるなどの試みをおこない、ストライプスの表現を押し広げた「クルーエル・ブルネット」。 

 もしかしたらこの曲が前作のイメージに一番近いのでは?「ステイタス・アップデート」。

 明るい曲調でストライプスに新たしいイメージをもたらした「スカムバッグ・シティー」。

 このように充実したアルバムに伴うツアーで成長の途上を感じることができるのだ。というわけでまだ間に合う。急激な変化を遂げつつあるアイルランドの少年たちをみられるのは今だけ!

JAPAN TOUR

11/9 (Mon) 大阪 Namba Hatch
11/10 (Tue) 名古屋 Diamond Hall
11/12 (Thu) 東京 Studio Coast
11/13 (fri) 東京 Studio Coast
11/16 (Mon) 仙台 Rensa

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Text:
Nobuyuki "Nob" Ikeda
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