ザ・ストライプス(The Strypes) @ なんばハッチ2015.11.9

これぞ現在進行形世界最高のガキんちょロック!
テキストレポート – ザ・ストライプス(The Strypes)「これぞ現在進行形世界最高のガキんちょロック!」 @ なんばハッチ2015.11.9

The Strypes

 アイルランド産世界最強のティーンエイジ・ロックンロール・カルテット、ザ・ストライプスのお出ましだ!開演までまだかなりの時間があるにもかかわらずフロアはパンパン状態。明らかにストライプスのメンバーがセレクトしていると思しきご機嫌なナンバーがスピーカーから鳴り響き、会場は汗が滴り落ちるほどの熱気でムンムンなのだ!大勢のストライプスに近い年齢層のオーディエンスは「もう待ちきれないっ!!」って感じでブラーの「ソング・2」が流れるとお決まりの”Woo – hoo!!”と騒ぎ、ロイヤル・ブラッドの「フィギュア・イット・アウト」のヘヴィなリフにヘドバンし盛り上がっているのだ。

 10代の荒野を高らかに歌い上げるザ・フーの名曲「ババ・オライリィ」が終わるとフッとステージが暗転し、ザ・ポーグズの「ダーティー・オールド・タウン」が流れると、オーディエンスは割れんばかりの歓声と一斉のハンドクラップでメンバーを向かい入れる。真っ暗闇の中メンバーが姿を見せ、各自の楽器からノイズをまき散らしながら「エイティー・フォー」のビートを小刻みに出力するフレーズを奏でると、きらびやかな照明がリズムに合わせ点灯し、フロアのテンションを上げていくのだ。グルーヴィーなベースで有無言わさず踊らせる音運びにアークティック・モンキーズ(中でも特に5thアルバム『AM』)の影響を強く感じさせる。本セットの中盤に披露された新譜『リトル・ヴィクトリーズ』のリード・トラック「ゲット・イントゥ・イット」でも感じたが、芯にディープな”黒い”ヴァイブが注入され、楽曲が一際セクシーでダンサブルなものになった。もはやザ・ヤードバーズやドクター・フィールグッドの子供達的な存在に留まってはいない。それもそのはず。「ゲット・イントゥ・イット」はギタリストにしてソングライターのジョシュ・マクローリーが昨今好んで聴いているという90年代ヒップホップの影響のもと、作成したドラム・ループを中心にメンバーでセッションして練り上げていったそうだ。のっけから前回の大阪公演で感じたソングライティング面に対する一抹の不安をブッ飛ばす成長っぷりをまざまざと見せつけてくれた。

The Strypes 久しぶりに浴びたガキんちょ4人組が奏でる音は、やっぱり最高だ。何が最高かって、各自のパートの音が立っていて、はっきりと耳に届くのだから。ちゃんとそれぞれの見せ場を用意し持ち味を際立たせるアレンジ。決まり過ぎのシャウトからの入り、所狭しと吹き荒れるハーモニカがキマリ過ぎな「ホワット・ザ・ピープル・ドント・シー」はフロントマンのロス・ファレリーのためにあるような曲だし、シングル『ゲット・イントゥ・イット』に収録されていたジョー・ジャクソンのカヴァー「アイム・ザ・マン」や「ホームタウン・ガールズ」をはじめとしたパンク汁溢れる曲はドラマーのエヴァン・ウォルシュに任せとけ!って感じだ。ドラマーズ・グローブを手にはめ、チンピラなきらめくグラサンに短髪と見た目もよりパンキッシュに変貌したエヴァンがビシバシ叩きつけるビートにフロアは終始やられっぱなしだったことだろう。バンド一番の演奏スキルの持ち主のベーシストのピート・オハンロンも、随所でナルシスト全開にソロをきめまくるジョシュも持ち味たっぷりに演奏を楽しんでいる。そして、印象的な入りでグッとツカミを入れ、サビやピーク時における各自の音のぶつかり合いから、要所要所で緩急をつけつつラストでバンッと一斉に音を吐き出しキレ良く締める進行。この絶妙なアレンジと進行には彼らの確固たるオリジナリティーだと断言できる。ピートはこう語っている。「ほんと仲がいいから、別にずっと一緒にいても“ヤツを殺したい”なんて思わないし(笑)、とにかくウマが合うんだ」と。4人の仲の良さが音に表れていると思わないかい?文句無しのカッコよさってのはバンドの良い関係性の中でこそ産まれるのだ。

 中盤で投下されたジョシュによる金切声のようなチョーキングに合わせる軽快なセッションから繰り出された「ナウ・シーズ・ゴーン」。間奏部でブンブンとファンキーに暴れまわるピートのベースと、ギターを後ろに回し、腰の辺りでセクシーに繰り出されるソロとパフォーマンスに痺れたフロアのファンから「ロックンロール!」というロック・コンサートならではの歓声が飛んだ。それにロスが「彼に捧げるよ!」と笑顔で応えて、ジョシュがリフを奏で「クイーン・オブ・ザ・ハーフ・クラウン」へとつなげる。それにしても、スリムな体系に変貌したピートはよく動くなと思わず感心してしまった。そして、北アイルランドのハードロック・バンドのジ・アンサーを思わせる疾走感溢れるフレーズが心地よい「アイ・ニード・トゥ・ビー・ユア・オンリー」。腰にビンビン響くこの曲でアンコール前のセットを爽快に締めくくった。英国印が刻印されたハードロッキンなこの3曲は、彼らの楽曲面とパフォーマンス面における格段のレベルアップが感じられ、本セットのハイライトとなった。

The Strypes 鳴りやまないアンコールの求めに、メンバーはすぐにステージに戻って来て、ロスが”Kick out the Jams, motherfxxkers!!”とどでかい雄叫びを上げたのを合図にデトロイトのレジェンド、MC 5の超名曲「キック・アウト・ザ・ジャムズ」を投下した。これだよ、これ!ザ・プレジデンツ・オブ・ザ・ユナイテッド・ステイツ・オブ・アメリカのカヴァー・バージョンをベースに製作したという新作のボートラ音源では省かれていたが、やっぱりこの冒頭の絶叫なしでは「キック・アウト・ザ・ジャムズ」は成立しないのだ。今夜はご本家MC 5顔負けの堂に入ったロックンロールっぷりで魅せてくれた。ラストはデビュー曲にしてウィリー・ディクソン作、ボ・ディドリーのカヴァーの「ユー・キャント・ジャッジ・ア・ブック・バイ・ザ・カバー」でフロアを熱狂の渦に叩き込み、幕引きを行った。

 ストライプスの4人はこれからも世界各地へツアーに次ぐツアーを続け、各自のミュージシャンシップに磨きをかけ成長しサウンドをどんどん深化させていくことだろう。是非とも途中で止まることなく行くところまで突っ走ってほしい!終演後に何度も「めっちゃやばかったー!」とか「おかしなりそうやった!」と騒ぎ立てている少女たちがいた。どうやら今夜もロックンロールの持つ魔力にやられた人が続出したようだ。ストライプスのようなバンドがこの世に出現し続ける限り、ロックンロールはタイムレスで魅惑的な音楽であり続けることだろう。

The Strypes

— set list — *ライターメモ
Eighty-Four / What A Shame / Best Man / What the People Don’t See / Cruel Brunette / I’m The Man / I Don’t Want To Know / Three Streets and A Village Green / A Good Night’s Sleep And A Cab Fare Home / Now She’s Gone / Queen Of the Half Crown / Get Into It / Mystery Man / Hometown Girls / Scumbag City / Blue Collar Jane / Still Gonna Drive You Home / I Need To Be Your Only
— encore —
Kick Out the Jams / You Can’t Judge A Book By the Cover

THE STRYPES JAPAN TOUR 2015

11/4 (水) 札幌 – Penny Lane 24
11/6 (金) 福岡 – Drum Logos
11/7 (土) 広島 – Club Quattro
11/9 (月) 大阪 – Namba Hatch
11/10 (火) 名古屋 – Diamond Hall
11/12 (木), 13(金) 東京 – Shinkiba Studio Coast
11/16 (Mon) 仙台 Rensa

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Photos:
Fabiano Kai
fabiano@smashingmag.net

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Text:
Takafumi Miura
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