ザ・ストライプス (The Strypes) @ 新木場スタジオ・コースト 2015.11.12

ここが踏ん張りどころ
テキスト・レポート「ここが踏ん張りどころ」 @ 新木場スタジオ・コースト 2015.11.12

The Strypes

 例えば、高校生で150キロの速球を投げるピッチャーをみたときにでてくる「すげぇ……」という言葉が、ステージの上にいるザ・ストライプスをみたときにもでてくる。若くして成し遂げてしまえることに対しての畏敬や羨望が入り混じった感情を抱く。ストライプスにはそうした「すげぇ」という一方で、速球を投げていた高校生がプロに入り、活躍していく様子をみるような成長の過程を体験できる存在として惹かれるものがある。

 新木場スタジオコーストのフロアに足を踏み入れると、男女比は女性がやや多めながらも、男のお客さんは、自分よりも年上が多くて妙に安心してしまう。開演前には、トム・ペティイアン・デューリーシン・リジィブームタウン・ラッツジ・エネミーザ・クラッシュエアロスミスプライマル・スクリームブラーと流れて、ザ・フーの「ババ・オラィリィ」が大音量でかかる。メンバーがまだ10代であるバンドの始まる前に「ただの10代の荒野じゃないか」と歌う曲。この演出に関心してると、曲が終わると同時に客電が消えて、19時11分にザ・ポーグスの「ダーティー・オールド・タウン」と共にメンバーが登場した。

The Strypes とにかく絵になる4人だった。チェックのズボン、黒いシャツというヴォーカルのロス、カジュアルなジョシュ、きちんとネクタイを締めたピート、サングラスをかけたエヴァンという4人の絶妙な違いは、初期のみんなジャケット姿のときと比べて、それぞれが自由に成長しているのだと感じる。そしてどの曲だったかフロントの3人が中央のマイクのところにスッと集まって、ライティングのおかげでシルエットになっている立ち姿のかっこよさをみると、演奏だけでなくステージでの立ち振る舞いも天才的なんじゃないかと思った。

 ライヴは「エイティー・フォー」から始まり、わざと音を小さくするという変化球を投げ込んでくる「ホワット・ア・シェイム」と続く。新譜『リトル・ヴィクトリーズ』からと前作からの曲もバランスよく、切れ味よく充実した演奏が楽しめた。

 ジョシュのレスポール・ギターは吠えまくり、ピートは力強いベースを弾き、エヴァンは安定したリズムをたたきだす。そして、堂々としたロスのズッシリ手応えのある声をライヴで発揮できるのはすごい。これで10代ですよ。ロスの声を聴いているとリアム・ギャラガーに通じる道を歩いているような感じだ(悪いことは真似しないように)。

The Strypes ジョー・ジャクソンの「アイム・ザ・マン」のカヴァーや疾走する「スリー・ストリーツ・アンド・ア・ヴィレッジ・グリーン」、ピートとエヴァンの作り出すリズムがグルーヴ感をもたらす「クィーン・オブ・ザ・ハーフ・クラウン」とバンドができることの領域を広げていっているのだなと実感する。

 終盤の「ミステリー・マン」から畳み掛けるロックンロールはすさまじかった。「スカムバッグ・シティー」で一旦ペースを落とすのだけど、「ブルーカラー・ジェーン」「スティル・ゴナ・ドライヴ・ユー・ホーム」「「アイ・ニード・トゥ・ビー・ユア・オンリー」」と本編を締めくくるまで、フロアを揺らし続けたのだった。

 アンコールは、「キック・アウト・ザジャーーームズ! マザーズフ◯◯カーーーーーー!!!」とロスが絶叫して、MC5のカヴァーで「キック・アウト・ザ・ジャムズ」、ハンボーン・ウィリー・ニューバーンローリン・アンド・タンブリン」、ボ・ディドリーユー・キャント・ジャッジ・ア・ブック・バイ・ザ・カヴァー」で駆け抜けたのだった。

 ジョシュやピートはすぐステージ上を動き回り、フロアに向かって拍手を求めたり、ジャンプさせたりする。ライヴの経験を重ねたベテランのバンドのように余裕を持ってお客さんとのコミュニケーションをとる。アンコールの「ユー・キャント・ジャッジ・ア・ブック・バイ・ザ・カヴァー」では、サビを歌わせたり、完全にフロアを掌握する術には長けている。

 しかし、親が子どもの成長を見守るような会場内の空気はわれわれのような年齢の者からすれば、好ましいものかもしれないけど、少年たちが気合を入れて熱演しているのだから、相応のパワーでフロアからもその熱を返してあげないといけないのではないかとも思う。やっぱりバンドと同世代の10代後半や20代前半の人たちにもっともっと観てもらいたい。同世代同士がステージとフロアで出会って起きる化学反応をみてみたい。また、傑作と感じた新譜もUKあたりではあまり評判はよくないようだ。変化を恐れず歩き出した彼らには逆風なのかもしれない。ここが踏ん張りどころなんだと思う。踏ん張った分、さらに大きなステージに立てるだけのスケールは持っているのだから。

The Strypes

— set list —  

Eighty-Four / What a Shame / Best Man / What the People Don’t See / Cruel Brunette / I’m the Man / I Don’t Want to Know / Three Streets and a Village Green / A Good Night’s Sleep and a Cab Fare Home / Now She’s Gone / Queen of the Half Crown / Get Into It / Mystery Man / Hometown Girls / Scumbag City / Blue Collar Jane / Still Gonna Drive You Home / I Need to Be Your Only

— encore —

Kick Out the Jams / Rollin & Tumblin / You Can’t Judge a Book by the Cover

–>フォトレポート

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Text:
Nobuyuki "Nob" Ikeda
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