花房浩一写真展:リコ・ロドリゲスの素晴らしい世界 @ 中目黒クイーンシバ 2015.12.13 – 31

リコでつながる語らいの場
コラム 「タイトル」花房浩一写真展:リコ・ロドリゲスの素晴らしい世界 @ 中目黒クイーンシーバ 2015.12.13 – 31

Rico Rodriguez

「写真展のフライヤー、配りますよ。飲みに行くついでですけど」

 こんな、ずいぶん軽い気持ちで配ってみたら、あれよあれよと600枚超がはけてしまった。もちろん、音楽好きの集まるバーなどが中心だ。フライヤーに笑顔で収まっているリコ・ロドリゲスのことは、店主は言わずもがな、店に集まるお客さんも知っていた。

「この写真、いいよねぇ(いいねぇ)」

 という感想のあとに、かなりの人が、

「日本人が撮ったの?」

 ……と続けた。おのずと撮影の背景を説明をすることとなるのだが、いつのまにか、リコその人の話となって盛りあがってしまう。もちろん、当事者が常に、「在廊」する会場では、さらに深い部分でのやりとりが生まれることとなる。

 写真展に行けば、リコとの出会いから、仲良くなったきっかけ、音源のプロデュースにいたるまで、現場の声が届けられることだろう。根底にあるのは、リコの写真に囲まれて、残された音源に耳を傾けつつ、好きな者同士で語り合おう、というもの。コーヒーや紅茶、はたまたビールを飲みながら……といった、ゆるい雰囲気のなかで、リコの音楽や歴史はもちろんのこと、プライベートな話にも飛び火したりと、なにからなにまで、一般的な、「写真展」とは一線を画している。そして、写真よりも話そのものが面白いと気づくのだ。

Koichi Hanafusa 花房本人は、「カメラマン/フォトグラファー」ではないという。あくまでも、「ジャーナリスト」として生きているからで、スタジオでの撮影経験は、今回の写真展でメインに扱われているアルバム、『ワンダフル・ワールド』のジャケット用に撮影したものだけだ。だが、経験がないことが、このポートレート写真を特殊な作品にさせた。リコが笑っているのだ。当初、リコは笑うことを固辞したというが、花房は、撮影中にひたすら会話をし、笑いを引き出すことに成功する。ジャケットに使用されたポートレートは、モノクロの写真が中心となっているが、カラーの作品もある。これは、「今でも、『生きている』ことを演出したかった」との理由だそうだ。

 他にも、国内のスカ・バンドがサポートをつとめたライヴ写真が19点。スカフレイムスに、クール・ワイズ・マン、石川道久セッションなどなど、リコに憧れ、影響を受けた、「日本の子どもたち」ともいえる面々の嬉々とした表情が映り込んでいる。これらはすべて、カラーとなっている。リコが音を紡いでいる瞬間を切り取った作品群は、サポートのミュージシャンがリコという人物に対して尊敬や憧れの目線を向けているものが多く、そこにはしっかりと、「ライヴ=生」のやりとりが刻み込まれている。 

 今回の展示において、花房がもっとも意識したのは次のようなことだろう。ポートレイトは「目の前で話しをしているかのような」もの、ライヴ写真ならば、「演奏が聴こえるような」もの。それを、フォトグラファー、ミッチ・イケダ氏の調整を経て、紙に焼き付けている。

 花房は、カメラマンとしては「プロではない」かもしれないが、日本で最もリコと深い友人関係を築いた男で間違いない。「リコへの恩返し」の場が、この写真展となっている。そこでは、濃い裏話が聞くことができるので、わずかでも興味があるのならば、足を向けることをおすすめする。

Rico Rodriguez

今後の予定(詳細はリンク先へ)

花房浩一写真展(Photo Exhibition) : Wonderful World Of Rico Rodriguez
1/9 – 1/15 @ 岡山 KAMP(トークライヴ:15日)
1/16 – 1/30 @ 大阪 Bigcake(トークライヴ:30日)

live photo by Koichi Hanafusa

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Photos:
Taiki "tiki" Nishino
taiki@smashingmag.com
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Taiki "tiki" Nishino's Works

Text:
Taiki "tiki" Nishino
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