イースタンユース @ 渋谷 クラブクアトロ 2015.12.05

新しいベーシストをライブハウス全部が歓迎する夜、繋がっていく時間。
投稿「新しいベーシストをライブハウス全部が歓迎する夜、繋がっていく時間。」 @ 渋谷 クラブクアトロ 2015.12.05

eastern youth

 コーパス・グラインダーズの激しいライブが終わって、熱気でいっぱい、蒸気もまだ滾るフロア。新しいベース、村岡とともにメンバーが現れた。新しいイースタンユースを、待ち焦がれた観客が迎える。「お帰り!」の怒号が飛ぶ中、「コンクリートの川」のイントロが流れ、フロアに歓声が上がり、笑顔が広がった。冴えたベースがしょっぱなから迫るこの曲から始まったのは、村岡を華々しく印象付けるのが目的なんだろうか。だったら大成功、観客が一気に演奏に集中する。ドライブの効いた村岡のベースの音に、最初、どんな音だろうと覗き込むように聞いていたお客さんたちも、ステージの集中力が増していくにつれて、聞きなれた曲の新しい音に傾注していった。3曲目「街の底」で、完全に引き込まれた観客と「過去、今、未来」が一体となる。
 
 初めて聞いても懐かしい、いつも誰かの景色が描かれた歌詞の中に、今度は新しい音を乗せ、イースタンユースが再度動き出す。「お帰り」何度も怒号が飛んだ。「青すぎる空」で、フロアがバンドと一緒になって歌う。新旧を織り交ぜたセットリスト、時間が交錯する。

 途中、ベースアンプのトラブルで音が出なくなり、それに乗じて吉野が「人生なかなか上手くいかないんですよ・・それがよく分かっている年代の人たちが多く見えますけど」そう言って、彼らをずっと見てきた観客たちも笑う。「(活動を再開するまで)そんなに長い間じゃなかったんだけどな」「(村岡を)ずっと知っていて、声かけたら入るって」気軽そうに、そう言った吉野だったけれど、こうして新しいメンバーを迎え、またバンドの歴史を続けて刻めることになるまでは、長く感じられる時間もあっただろう。歌詞の中では、理性的に感情を言葉にして、景色に感情を映すようにして歌うけれど、今日は言葉を噛み締めて演奏したに違いない。「道をつなぐ」、今までも、これからの時間も映す、時間を超える歌だ。

 当たり前のことかもしれないけど、吉野と村岡は何度も顔を見合わせて、何かを確かめるようにしながら演奏していた。一番嬉しそうに、笑顔を見せながら絶叫していた吉野だったが、今日は、村岡をフロアへと促し、ライブハウス全部で彼女を歓迎しようとするような、温かいライブだった。アンコールで演奏された「テレビ塔」、「砂塵の彼方」。時間の区切りと、これからもまた在り続けるイースタンユース、彼らの曲を自分たちの時間に映し続ける観客が、見えない未来と確かに新しく始まった今を、一緒になって喜んだ。

Text by :Maika Takahashi


— set list —
コンクリートの川 / 街はふるさと / 街の底 / 夜明けの歌 / イッテコイ カエッテコイ / 道をつなぐ / グッドバイ / 浮き雲 / 滾らせ、生き抜け / 青すぎる空 / 細やかな願い / たとえばぼくが死んだら / ドン・キホーテ

— encore —
テレビ塔

— encore 2 —
砂塵の彼方へ

Share on Facebook

Information

Text:
contributor


contributor's Works

Write a comment