ショウ・ヨンヨンイチ (Show 441) -『ヴィヴァ・ラ・ヴィダ』

喜怒哀楽を詩に乗せて
CDレヴュー:『ヴィヴァ・ラ・ヴィダ』 2015.01.08

Show 441 ロック、パンク、ラテン、レゲエ、ヒップホップ……様々なジャンルを縦断した、「Show 441(ショウ・ヨンヨンイチ)」という唄い手がいる。彼の詩は、まばゆい自然から薄汚れたストリートまで、わけへだてなく、冷静に受け止めたうえで綴られている。理想の中にも現実があり、逆もしかり。だからこそ体温がある詩となって響く。彼には、「地方で出来ないことは都会でも出来ない」というポリシーがあり、今も地元の岩手に住んでいる。ひとりで流浪することもあれば、行く先々で現地の人間を巻き込んだりと、型にはまらない生きかたをしている自由人だ。

 レゲエDee Jay(ディージェイ;ヒップホップで言うところのMC)や、El Skunk Di Yawdie(エル・スカンク・ディ・ヤーディ)などのバンド活動を経た彼が、再びソロとなって発表した全国流通のフルアルバムが『Viva La Vida(ヴィヴァ・ラ・ヴィダ)』。キャッチコピーには、「アコースティックでここまでやるか!!」の言葉が踊り、一曲目の、“Palabras (Free style)”から、キャッチに恥じない、気ままな即興演奏が繰り広げられる。ギターをかき鳴らし、レゲエDJの経験からくる言葉の羅列、予想を裏切る展開がこれでもかと押し寄せる。まるで、「Show 441のライヴ」の延長にあるのがこのアルバムで、そっくりそのまま彼の生きかたを映しているかのようだ。

 アルバムの基本として、激しい曲ではベースラインを這わせ、アコースティック・ギターをかき鳴らし、時にはそれとはまた別のチャンネルでもうひとつ、柔らかなタッチの指弾きでアコギを重ねる。ラテンに寄った曲では、スチール弦とナイロン弦の絡みで魅せる。ジャンル無用かつ予測不能、様々な切り口で演奏できるからこそのやりたい放題っぷりがアルバムのそこかしこで顔を出し、思わず腰が浮き上がってしまう奇抜なアレンジが散りばめられているいっぽうで、彼の真骨頂はバラードにある、とも思うのだ。

 アコギ一本、つま弾いて生み出されるメロディーはどこか懐かしく、詩は決まって、シンプルでわかりやすいものとなっている。これにははっきりと、「伝える」意思が込められている。そして、ヴォーカルの浮き沈みや、喉を使った細かなビブラートによって詩は毛羽だち、聴き手の内側をなぞるのだ。

 最後に待ち構えている、“風凪ぐ場所で”は、聴いた者の中に爪あとを残す、バラードの名曲だ。一度でも聴けば、ふとした時に口ずさんでしまうシンプルなメロディに乗せて、「家族」のことが唄われる。その内容は深く、こちらが軽々しく文章にできるものではない、と思わせるほどの力を持っている。

 兎にも角にもこのアルバムは、酸いも甘いももちろんのこと、人生のすべてを認めようとしている者が創ったということ。「Viva la vida=人生バンザイ!」の言葉が相応しい作品だ。


【2016 “SHOW441 ツアー日程”】
1/10北上@Heg
1/22仙台@VorzBar
1/31盛岡@グランドホテル
2/04(詳細近日)
2/05石巻 @石巻BLUE RESISTANCE.
2/09茅ケ崎@昭和居酒屋ゆず
2/10渋谷@RUBY ROOM
2/12白楽@BGBC
2/13横須賀MOAI&CAPI
2/14盛岡@MUSIC BAR crates
2/27岩手山田町@竹松や

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Text:
Taiki "tiki" Nishino
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