ミーカ (Mika) @ 渋谷NHKホール 2016.02.18

終わらないパーティー
テキストレポート「終わらないパーティー」@ 渋谷NHKホール 2016.02.18

Mika

 音楽ライブという域を大きく越えた、見事なエンターテイメント・ショーだった。主役であるミーカの歌唱と躍動感あるパフォーマンス、仕掛けいっぱいの舞台セット、そして茶目っ気たっぷりのMCや観客とのコール&レスポンス。そういったすべての要素が組み合わさって夢のようなショーを創り上げていた。

 全編通じて一番感じたのは、ミーカと観客との強い一体感。ミーカがマイクを向けて合唱を促せば客席は大きな声で応えるし、アップテンポな曲ではミーカと一緒に手を挙げて体を揺らし、彼がMCで何か語りかければそれに対するリアクションや彼の名前を呼ぶ声が次々起こる。ミーカは「どうしたらお客さんが楽しんでくれるか」を全力で考えているし、観客からも「ミーカに日本でのライブを楽しんでほしい」という気持ちが溢れんばかりに伝わってくる。アーティストと観客がここまで相思相愛なライブを見たのは久々で、その場にいるだけで幸せな気持ちになる2時間だった。

Mika 開演時刻を10分ほど過ぎ、観客が期待でそわそわしはじめたところで、きらびやかなタキシードに身を包んだミーカが颯爽と現れた。舞台を隠す幕の前、ぽつんと置かれたピアノに腰掛け静かに歌い始めたのは「ポールセリン」。ピアノの一音一音、声の一つ一つを、きちんと届くように丁寧に奏でていくミーカ。そこにバンドの演奏と美しいコーラスが加わり、会場が一気に熱を帯びてくる。
 
 時おり顔を客席側に向けて観客とコンタクトを取りながら、流れるように「ノー・プレイス・イン・ヘヴン」「マイ・インタープリテイション」と繋いでいく。「トーク・アバウト・ユー」で客席の多くの人が立ち上がり、「待ってました」とばかりに踊り出した。座席のある会場なのに、皆が両手を挙げて踊りまくる様子はさながらライブハウスのようだった。

 大盛り上がりの「グレース・ケリー」の途中、ピアノに置いてあった箱からカラフルな紙テープが勢いよく噴射され、大歓声とともについに幕が開いた。ステージ中央には「HEAVEN」の文字が並ぶネオンサイン、バックに複数のビルを描いたパネル、左手にはワゴンを模したセットが見える。バンドはベース、ドラム、パーカッション、ギター、キーボード、そしてミーカを入れた7人編成だ。

「グッド・ワイフ」「ビッグ・ガール(ユー・アー・ビューティフル)」と盛り上がる曲を立て続けに披露し、一転クールでアダルトな雰囲気の「ブーン・ブーン・ブーン」、コーラスが美しく響く「グッド・ガイズ」へ。こういった聴かせる曲ではあらためてミーカの歌唱力に感嘆してしまう。綺麗なファルセットから拳の効いた歌い方まで表現の幅が広く、歌手として圧倒的な技量を持っていることがわかる。

 この日のハイライトは中盤の「ステアリング・アット・ザ・サン」だった。ミーカが客席に降りてきて、歌いながら観客とハイタッチして回ったのだ。もみくちゃになりつつ笑顔で歌うミーカはまさにみんなのアイドル!ステージに戻った彼の手は客席で受け取った花やキャンディーでいっぱいだった。

Mika その後も全く疲れた様子を見せず、右へ左へ走り回り、思うままに美声を響かせるミーカ。「ラスト・パーティー」の力強く感情を揺さぶってくる演奏からはひと時も目が離せなかったし、「ハッピー・エンディング」のラストのアカペラは圧巻の一言だった。観客の方のテンションも上がる一方で、「ロリポップ」「ウィー・アー・ゴールデン」などのパーティー・ナンバーはNHKホールを完全にダンスホールに変えた。特にアンコールのダンサブルにアレンジされた「ラヴ・トゥデイ」には観客総ノリ。「ラブ、ラブ、ミー!」の大合唱がくりかえされ、この日一番の盛り上がりを見せた。最後、ミーカの「ワン、ツー、スリー!」のカウントで両サイドからカラフルな紙テープが盛大に噴射され、ショーのラストを鮮やかに彩った。

 終わってみれば全21曲のうち最新作「ノー・プレイス・イン・ヘヴン」から9曲、ファーストアルバム「ライフ・イン・カートゥーン・モーション」からも7曲が演奏されており、ファン歓喜の鉄板セットリストだった。そしてミーカの「お客さんを楽しませたい」というエンターテイナーぶりも相変わらず超一流だった。「ビッグ・ガール」では客席の女の子をステージに上げて一緒に踊り、「アンダーウォーター」では観客に携帯電話のライトを点灯させNHKホールを満天の星空にしてみせた。マジシャンよろしくジャケットの胸元からゴールドの紙テープを溢れさせ、「何着あるんだ」とつっこみたくなるほどの衣装も披露してくれた。

 そしてファンにとって何より嬉しかったのは、彼が日本語でたくさんコミュニケーションをとろうとしてくれたことだろう。「今日はみんな上品でいてね」「愛してるって言って!」「(名前を呼ぶファン達に)今忙しいからちょっと静かにして!(笑)」などお茶目なおしゃべりで大いに笑わせてくれた。そんなミーカに、この日は客席からもサプライズが。有志のファンが事前に配った「ARIGATO」と書かれた紙を、カーテンコールの際に会場中みんなで掲げたのだ。このサプライズに気づいた時のミーカは本当に嬉しそうだった。

 前回の来日公演から1年と空けずに帰ってきてくれたミーカ。今度はいつ来てくれるかな、07年以来久々のフジロック登場なんて素敵だな、そんなことをあれこれ妄想しながら幸福感いっぱいで家路へ。ミーカがくれた楽しい時間はいつまでも続いたのだった。

Mika

— set list — (原文のまま)
 
Porcelain / Toy Boy / My Interpretation / Talk About You / No Place in Heaven / Grace Kelly – Kabuki(Verse2after‘what you think’) / Good Wife / Girl Girl / Boum Boum / Good Guys / Origin / Relax / Promise Land / Staring at the Sun / Lollipop / Underwater / Elle Me Dit / Happy Ending / Last Party

— encore —

Love Today

※2曲目「Toy Boy」は演奏されず、15曲目に「Hurts」、19曲目に「We Are Golden」を追加で演奏
※実際は「No Place In Heaven」⇒「Talk About You」、「Staring At The Sun」⇒「Promiseland」の順で演奏

Photos(2〜4枚目) by Official Photographer

Share on Facebook

Information

Photos:
Keiko Hirakawa
keco@smashingmag.net
Facebook / twitter
Keiko Hirakawa's Works

Text:
Nozomi Yamamoto
nozomi@smashingmag.net
twitter
Nozomi Yamamoto's Works

Write a comment