浅井健一 個展 『フレッド・アンド・スーザン』

浅井健一 個展 『フレッド・アンド・スーザン』に寄せて
投稿 : 浅井健一 個展 『フレッド・アンド・スーザン』に寄せて 2016.04.15

浅井健一

 3月19日に、シャーベッツのツアーを終えたばかりの浅井健一(以下、ベンジー)が、4月28日から新宿Bギャラリーで5年ぶりとなる個展を開催する。ベンジーのアートワークは、身近なものを全て自分の世界に取り込んでしまうかのように、描かれる題材は膨大で、色使いは明るくポップだけれど、どこか素朴で優しく、柔らかだ。繊細に、緻密に描かれた大作があるかと思えば、銃やドクロ、車といったモチーフの、男の子だけが分かりそうな「カッコよさ」を持つイラストがあり(特に車が、こだわった曲線の完璧なフォルムで描かれていて、すごい)、登場するキャラクターは、作品の世界の中で当たり前に過ごしているように、何気ない存在感で描かれている。
 
 アートワークだけでなく、近著の絵本「レッツ・スタディ」は、やはり明るい色使いとこだわりのある車の絵が、大人にとっても魅力的な作品であったが、内容が子供向けであることも話題となった。「好きなことを、好きなようにできるようになるために、そのために勉強するんだよ」そんなメッセージがあたたかく、まっすぐに伝わるストーリーであった。一方で、同じく絵本の「テッド・テックス」は、大人向けのマンガのよう。ベンジーは、アートワーク、ストーリーともに、本当に様々な表現を持つアーティストだ。

 ベンジーの作品といえば音楽の方がお馴染みだが、私にとって、バンドもソロも、あたりが白黒にしか見えなくなるくらいに激しい、強すぎる光のような音楽だと感じることがある。そのベンジーが絵で描く世界はとても色鮮やかで、詩ではない、彼の日常の言葉が聞こえる気がしてとても驚く。

 画集や作品集を見るのではなく、絵画展に行って作品を間近で見ていると、その作者と話をしている気持ちになる。全てを理解するわけではないけれど、線の勢いや細部、筆の置き方などが、もしかしたらその作品のテーマやストーリー以上に、そのときの作者を映しているのではないかと思うからだ。『フレッド・アンド・スーザン』の個展では、音楽で描かれる世界に圧倒されるのとはまた違い、ベンジーの想像力の中を探検するような感覚にもなれるのではないだろうか。新作の作品集『フレッド・アンド・スーザン』は、「奇想天外なアドベンチャー・ストーリー」だという。初めて目にする原画で、アートワーク、ストーリーとともに、どんな驚きが待っているのか、とても楽しみだ。音楽の方の「フレッド・アンド・スーザン」を聴きながら、想像力を働かせて待ちたい。

Text by Maika Takahashi

【会期】2016年4月28日(木)〜6月7日(火)
【開催時間】11:00〜20:00(会期中無休)
【会場】B GALLERY(新宿 / BEAMS JAPAN 5F)
【会場住所】〒160-0022 東京都新宿区新宿3-32-6
【会場連絡先】03-5368-7309

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