スクール・フード・パニッシュメント @ 名古屋クラブクアトロ 2010.06.05

実験性とポップネスを湛えた鮮やかな世界
テキスト・レポート 「実験性とポップネスを湛えた鮮やかな世界」 スクール・フード・パニッシュメント in サカエ・スプリング @ 名古屋クラブクアトロ 2010.06.05

school food punishment
 すし詰め・ギュウギュウの超満員の中で行われたサカナクションのライヴは、今の勢いが本物であることを確信づける精度の高さと強さと郷愁が同居した素晴らしいものだった。それはサカエ・スプリング2日目の中で”ずば抜けていた”と表現しても差し支えないぐらいに初めて見た僕の心を貫いた。しかし、その後のステージで可憐な美しさと瑞々しい力を湛えたサウンドで会場を鮮やかに染めたschool food punishment(スクール・フード・パニッシュメント、以下sfp)も見事としか言いようが無いライヴを披露。ライヴにおける熱さと迫力が肌で如実に感じられると共に、緊張感の糸を引きながら丁寧に紡ぐ豊潤な音空間がとても魅力的だった。

school food punishment sfpはVo&Gの内村友美を中心に結成された4人組のロック・バンド。J-ポップやロックを主軸に据えつつも、ポストロックやテクノ、エレクトロニカといったアプローチを取り入れ、プログレッシヴな展開まで懐に収めた創造的なサウンドが話題を呼んでいるバンドである。09年にメジャー・デビューしてからは、CMソングへの起用やアニメ『東のエデン』とタッグを組んだタイアップ、さらには各フェスティヴァルへの出演によって急速に世間へ存在を浸透させてきた。今年4月に発売された1stフルアルバム『amp-reflection(アンプ・リフレクション)』は、彼女達の勢いを象徴するようにオリコン・チャート初登場9位を記録。この結果は、実験性に高いサウンドを志向しながらも理想的なレベルのポップネスを同時に追求できる彼女達の音楽が、数多くの人たちに受け入れられたことを物語っている。

 当然ながら本日のステージも入場規制がかかるほどの人気。愛知県のラジオ局であるZIP-FMでレギュラー番組を持っていることもあるだろうが、密に人間が詰め込まれた会場を見渡すと、人気の高さを改めて実感する。ちょっと予想以上の人気にびっくりしたが、このサカエ・スプリングのステージでも彼女達は短時間に魅力を凝縮して、観客の期待に応えてくれたように思う。

school food punishment スタートの「goodblue(グッドブルー)」から鮮やかに明滅する照明と共にカラフルなサウンドが会場を魅了。今宵はサポートのギタリストを含めた 5人編成でのライヴであったが、その絶妙なアンサンブルは複雑かつキャッチーという両極端な色合いを持った音楽を巧みに具現化していく。ツインギターがエッジの鋭いリフからメロディアスなフレーズまで往来し、うねりまくるベースとドラムが精妙に支え、キーボード/シンセが空間を自在に細かくデザインする。そういった様々な音の粒子が渦巻いているなかで、独特の柔らかさと凛とした強さが同居した内村友美の歌声が艶やかにポップな部分を浮かび上がせ、”洗練された野蛮”とも評される非常に独創的なサウンドを生み出していた。これには自然と昂揚感も湧き上がってくる。

school food punishment 「future nova(フューチャー・ノヴァ)」、「light prayer(ライト・プレイヤー)」といった濃密ながら流麗に展開していく楽曲を立て続けに披露してライヴはますますヒート・アップ。それに負けじと会場も必死についていく。CDを聴いていると繊細なバンドだと思われがち(実際、自分もそう捉えている部分があった)なのだが、そういった胸に染み入るように広がる情感豊かなメロディを配しつつも、ロックらしい熱気に溢れた演奏ぶりが目立つ。Keyの蓮尾がキーボードの上に乗って観客を煽りまくる、素敵なやんちゃさにも新鮮な驚きを覚えた。美しく・たくましく・アグレッシヴなステージ、これには釘付けにさせられるのも当然だろう。ポジティヴな光が広がる「butterfly swimmer(バタフライ・スイマー)」における最終局面は特に見事で、しなやかで瑞々しいキーボードと切ない歌が胸を打つ冒頭から緻密に重ねられたサウンドと劇的な展開で大きな盛り上がりを見せていた。あっというまに駆け抜けていった5曲約30分ほどの時間。しかしながら、独特の煌きと色彩を放つ sfpの世界が確実に広がっていたステージであった。

 最後のMCで内村友美は『私達は今までこういったイベントで入場規制をかけたことはありませんでした。今日は初めて、イベントで入場規制をかけた記念日です!』と感情的になりながらも力強く言葉にした姿にも印象に残っている。だが、彼女達の勢いはまだまだ加速していくことだろう。新たな音色を獲得しながら強い輝きを増してsfpは人々をどんどんと虜にしていくはずだ。

— set list —
 
goodblue / future nova / light prayer / 駆け抜ける / butterfly swimmer
school food punishment

–>photos

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Photos:
Yoshitaka Kogawa
yoshitaka@smashingmag.com
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Text:
Takuya Ito
takuya@smashingmag.com
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