グラストンバリー・フェスティバル (Glastonbury Festival) in ピルトン・サマーセット (Pilton, Somerset) 2016.06.24 – 26

観客の感じるグラストの魅力、現地で起こった悲劇:Part2
特集- 「観客の感じるグラストの魅力、現地で起こった悲劇」:Part2 @ ピルトン、サマーセット 2016.06.24 – 26

グラストンバリー・フェスティバル

2016年グラストは悲劇的な幕開けをした
 2016年8月24日、グラストの会場内はまさに今日から3日間、天国のような楽園が続くそんな日を感じていた朝、フェスティバルの会場内に激震が走った。イギリスが欧州連合から離脱することを決めたのだ。離脱の是非を問う国民投票が行われ、予想外の結果に混乱が続いていた。離脱が51.9%、残留が48.1%という僅差の結果だったが、再投票を求めるデモがロンドンの国会議事堂前で繰り広げられていた。
 
 その頃会場ではジ・オーケストラ・オブ・シリアン・ミュージシャン・ウィズ・デーモン・アルバーン&ゲストが900あるグラストのアクトの幕開けを行った。イギリスの国民的バンド、ブラーのボーカルであるデーモン・アルバーンはこの日、MCでこう語った。「民主主義が我々を裏切った」今年の一発目のアーティストで、これほど今年の全てを物語る言葉は出ないだろうと確信する一言だった。皆がこのことを考えていた。今年のグラストは最終日のコールドプレイのクリス・マーティンに至るまで、様々な場所でミュージシャンや観客、パーフォーマーが言及していた。

グラストンバリー・フェスティバル EU残留を主張し、投票前に殺害されてしまった労働党のジョー・コックス英下院議員を追悼するライブも行われるなど政治的なメッセージの濃い年となった。初日の夜、その日のラスト、シガーロスのステージ撮影を終えて、政治的なメッセージを込めたアートを掲げているアンフェア・グラウンドに訪れた際にも、アート集団のミュートイド・ウェイスト・カンパニーによるメッセージを見つけることができた。「ごめんね、ヨーロッパ」「我々は君を愛し続けるよ」そう書かれたボードを写真で撮ったり投票の結果について話をする観客の様子は、ことの大きさを感じる瞬間でもあり、国民が議論を重ねるには十分な理由があった。
グラストンバリー・フェスティバル

 主催者側であるマイケル・イービスも声明を発表した。この記事冒頭に表示されているパネルの写真がそれだ。このパネルはメイン・ステージに午前中に掲げられ。その後、我々プレスが待機するテントに置かれた。プレスとしてこの表明を自国に伝えて欲しい。ということだった。イギリス人らしく、皮肉たっぷり込められたこの文章は瞬く間に世界のメディアが報じた。以下、訳文。

言葉が見つからないとみんな言うけれど、
言いたいことなら山ほどあるよ。
夜明けと共に舞い込んできたニュースは、
テントで眠る人を興奮で呼び覚ました。
「うそだろ?ありえないだろ?」
本当なんだよ。
こんなに自分が英国人じゃないと感じた日はない。
優雅にイングリッシュ・ブレックファーストなんてできる訳もなく、
みんな朝からワインを開けて「反乱だ!」と次々に叫び出した。
ちょっと安心したのは、ここにいる誰もがこの結果に驚いて戸惑っていること。
だからみんなで泥まみれになりながら、進もう。
そして抗議の歌を高らかに歌おう。
国は分裂した。自分が属していると思っているこの土地さえも。
Glastonberryでの時間を一瞬たりとも見逃すな。
この場にいる同志は、あなたと同じ気持ちを歌おうとしている。
さらば、旧友よ。
さびしくなるな。
Our little mate the EU.

 我々日本人としても考えなくてはいけない問題だ。イギリスがEUを離脱したことが正解になるのかは今後の話、どちらが正しいかも各々の判断になる。ただ、若者は数年にわたって不安を抱えながら未来の見えない日々が続くかもしれない。希望を消されたと嘆くかもしれない。そこで立ち止まらずに政治に関心を持ちミュージシャンや周りの人と対話や情報を得ることが大事なんだと今回の一件で思えた。イギリスほど直接的で多くの人が政治に言及しない日本。「音楽フェスに政治を持ち込むな」、「エンタメを汚すな」は大きく歪んだ考えに思えてしまうのだ。彼らにとって音楽も政治もアートも身近な存在であるという文化を目の前で繰り広げられ、目の前で見せてもらえる貴重な体験だった。

 なお、このフェスでなければ集まらないであろう名だたる豪華なミュージシャン( コールドプレイ、ミューズ、ベック、シガーロス、イヤーズ・アンド・イヤーズなど )のライブ・レポートは今後、順次掲載予定なのでそちらもお楽しみに。

–>観客の感じるグラストの魅力、現地で起こった悲劇:Part1

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