ザ・エックス・エックス (The XX) @ 豊洲ピット 2016.12.06

ジェイミーのソロから持ち帰ったもの
テキスト・レポート「ジェイミーのソロから持ち帰ったもの」 @ 豊洲ピット 2016.12.06

The xx

 1月のジェイミーXXのDJを観たとき「あとは、この成果をザ・エックス・エックスに持ち帰るのか、それとも課外活動は別なのか、ジェイミーの今後に注目したい」とレポートに書いたけれども、今回、一夜限りのザ・エックス・エックスのライヴを観ると、持ち帰ったどころでない非常にすばらしい成果をバンドに還元し、そしてバンドをさらなる高みに成長させたのであった。

The xx 豊洲ピットは、新交通ゆりかもめの新豊洲駅近くにある会場である。埋め立て地にあり海からの風が強くて、この日は寒かった。建物自体は、かつてあった渋谷AXやゼップ東京のような倉庫風のものであり、中に入ると、クラブチッタ川崎2個分かと思うくらい広いフロアだった。そんな広いフロアがほぼ満員。ステージにはシンプルに照明機材しかない。ステージ奥は1段高くなっていてジェイミーの機材やドラムセットが置いてある。

 20時6分ころ場内が暗くなり、バンドが登場する。まずは新しいアルバム『アイ・シー・ユー』に入る予定の「リップス(Lips)」から始まる。ロミー・マドリー・クロフトがギターを、オリヴァー・シムがベースを弾き、両者がそれぞれヴォーカルを取る。どちらかだけが歌う曲もあるし、2人で交互に歌ったりユニゾンで歌ったりする。無駄をそぎ落とした音の構造は相変わらず。ダークでクール、そして音のすき間を生かしたサウンドは初めて彼らをみたときは衝撃だった。キャリアを重ね、ジェイミーのソロ活動を経た彼らは、ただミニマルなだけでなく、より開放的に、人々に訴えかける音楽を演奏するようになった。新しいアルバムから先行して発表された「オン・ホールド(On Hold)」を聴いたとき、より普遍的に明るい姿になっていて驚いたものだ。さらに今回のライヴでは、新しいアルバムの曲はもとより、今までの曲も新しいニュアンスが加わり、確実にステージが上がったと感じた。

The xx ジェイミーのソロに収められていた「ストレンジャー・イン・ア・ルーム(Stranger In A Room)」も演奏されたように、ソロの成果を直接バンドに持ち込んでいたのは明らかであったけど、ここまでやれたのか……と感慨も深くなった。しかし、それだけで収まらなかった。圧巻だったのは終盤。「シェルター/ゴッシュ」で、「ゴッシュ(Gosh)」とマッシュアップさせたことによってビートが加わり躍動する曲にアレンジされた「シェルター(Shelter)」。この曲でロミーとオリヴァーがチークダンスを踊ったときフロアの3000人からの歓声はものすごかった。その高揚感のままに、ジェイミーのソロの「ラウド・プレイセス(Loud Places)」に突入したことによってもたらされたフロアの熱狂は、自分の予想を遥かに上回ってバンドは広く、大きい世界に入ったのだということを思い知らされた。ここまで徹底的にソロの成果を反映させるとは。演奏が終わってメンバーがステージから去っても打ち込みのビートはそのままで、ほどなくしてメンバーがステージに戻ってきた。アンコールとして「オン・ホールド」、それこそイントロのギターで大歓声が沸き起こった「イントロ(Intro)」、ラストは合唱まで起こった「エンジェルス(Angels)」で締めくくった。すごいものを観た。今年のベストを観た。という気持ちを抱きつつ、冬空の下、帰路についたのであった。

The xx

–>フォトレポート

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Text:
Nobuyuki "Nob" Ikeda
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