アラバマ・シェイクス (Alabama Shakes) @ 新木場スタジオコースト 2016.12.12

大阪の人たちに告ぐ
テキスト・レポート「大阪の人たちに告ぐ」 @ 新木場スタジオ・コースト 2016.12.12

Alabama Shakes

 もし、オーティス・レディングやマーヴィン・ゲイなど伝説級の人が生きていて、絶好調の状態でライヴをやるっていうなら、ぜひ観たいとおもうでしょう。だから大阪の人はアラバマ・シェイクスのライヴにいったほうがいい。今回、アラバマ・シェイクスの来日ツアーでは唯一ソールドアウトになってないのは大阪だけなのだ(12月12日現在)。大阪の人にいいたい。こんなすばらしいライヴを見逃したら一生の不覚である、と。

 アラバマ・シェイクスのアルバムを聴いたとき、昔のソウルやR&Bの名盤かと思ったのが第一印象だった。ブリタニー・ハワードの歌いかたが、数々の名シンガーたちを彷彿させることもあるし、音の作りかたも、昔のマナーに則っていたからだ。だけどもよく聴くと、60年代ではだせない音もあって、やはり2010年代に生きる人たちが作っていることがわかる。では、ライヴはどうなのか。すでに欧米ではヘッドライナークラスにまでなっているバンドを新木場スタジオコーストのスケールで観られるのは今しかないということで足を運んだ。

Alabama Shakes ソールドアウトが伝えられた会場。2階席までぎっしりと超満員だけど、年齢層高めのせいか落ち着いた雰囲気である。音量小さめに古そうなR&Bやカントリーなどが流れている。20時5分ころデヴィッド・アクセルロッドの「ジ・エッジ」が流れてメンバーたちが登場する。ヴォーカルとギターのブリタニー、ベースのザック・コックレル、ギターのヒース・フォッグ、ドラムスのスティーヴ・ジョンソンに加えてサポートでキーボードを担当する人が左右に1人ずつ。バックコーラスは3人いて、1人は男性、2人女性の計9人の編成である。

 まずは「フューチャー・ピープル」で始まる。サビでブリタニーとバックコーラスが合わさったときの迫力にまずやられた。4人の声が合わさってできた音がズシンと手応えのあるものとして、こちらまで迫ってきたのだ。手を伸ばせば形になりそうなくらいの実在感だった。ブリタニーを支える演奏陣は、ブリタニーを生かすために考え抜かれ磨かれたもので、ライヴではブリタニーが主役だった。ブリタニーという音楽とともに生まれ、音楽とともに育ち、その愛情に溢れ、過去のレジェンドたちに肩を並べ類ような巨大な才能に出会える場所がライヴの会場なのだ。ついでにいえばブリタニーが弾くギブソンSGも歌っているかのようにいろんなフレーズを繰りだしていた。

Alabama Shakes 中盤に披露された壮大なバラード「ハートブレーカー」にしても、アンコール2曲目で歌われた「ユー・エイント・アローン」にしても、まるでオーティスが魂を震わせた名曲を今、ここで体験しているかのようだった。「オーティス」と書いた固有名詞は「アレサ・フランクリン」でも「ジャニス・ジョプリン」でもいい。発せられた声が心を掴み、震わせる力があるのだ。「今、ものすごいものを観ているんだ」という思いが何度も頭をよぎる。途中、演奏ミスもあったけど、ステージもフロアもそんなことに拘泥しない。ライヴの全体で判断すべきであることはみんなわかっている。

 本編最後の「ジェミニ」のポスト・ロック的な音響やアンコール1曲目の「サウンド&カラー」の余計なものを削ぎ落とした洗練はやはり60年代のものだけを聴いていてできるものではない。ザ・エックス・エックスなどと同時代に生きるバンドなんだということを感じる。アンコール3曲目は「オーヴァー・マイ・ヘッド」だった。フロアから沸き起こる手拍子、そして美しいコーラスで約1時間半のライヴを締めくくったのだった。

Alabama Shakes

–>フォトレポート

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Text:
Nobuyuki "Nob" Ikeda
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