ザ50回転ズ @ 新宿ロフト 2016.12.14

振り返るが、懐かしくはない
テキスト・レポート「振り返るが、懐かしくはない」 @ 新宿ロフト 2016.12.14

50回転ズ

 ザ50回転ズの1stアルバム『50回転ズのギャー』は2006年1月に発売された。2016年の今年、リマスターされて再発となった。あっという間だった。もう10年かという思いがある。それだけロックンロールで疾走していたのだ。そうした彼らが一旦原点に立ち戻るよい機会なのかもしれない。

『50回転ズのギャー』からは現在でもライヴで演奏されている曲が多いので現役感がある。そのためあまり懐かしいとは思わない。10年(レコード・デビュー前から演奏している曲も多いので曲によっては10数年)の歳月があるのに懐かしくないという絶妙なポジションなのだ。バンドが常に鮮度を保っていたということなんだろう。

 先立って、11月17日に渋谷タワーレコード屋上で、『50回転ズのギャー』の再発を記念してアコースティック・ライヴがおこなわれた。屋上なんでこの日は寒かったけど、熱心なファンが集まっていた。アコースティック・ギターを手にしたダニーとドリー、ドラムセットがないのでカホンを叩くボギーの3人が登場。ウォーミングアップ代わりの「ジョニーBグッド」から始まり、あとは『50回転ズのギャー』その他のアコースティック・ヴァージョンを約30分間披露した。

 10年経って思うのは、いまだに現在の彼らの歌になっているということだ。シンプルな歌詞は、作られた時点での状況に依存することなく普遍的なものになっている。それらの曲をアコースティック・ギターを使ってシンプルに歌うと、10年の間に歌声に磨きがかかり、アコースティック・ギターもしっかり弾きこなすテクニック面での成長を感じたのだった。

 ダニーの過剰なコーラスが聞けた「ぬけがらロック」や、恒例の深いリバーブをかけた「天王寺エレジー」、観ている人たちを座らせた「おさらばブギウギ」とインターネットで動画配信されているのも意識して、自分たちをどうみせるのかがわかっているのは、さすがに10年の重みを感じた……と思ったけど、やってることは変わらない。彼らは前から「できる」やつらだったのだ。

50kaitenz そして、ここから本題。12月14日の新宿ロフトは満員だった。『50回転ズのギャー』の完全再現ライヴとして全国を回り、セミファイナルが新宿である。始まる前には、キッスデトロイト・ロック・シティ」やモーターダム「ボールルーム・ブリッツ」やルースターズフェイドアウェイ」やサンハウスキングスネークブルース」などの日本のロックもかかる。

 19時を過ぎると、まず黒い目出し帽をかぶった謎の3人組が登場する。フジサンズと名乗る3人組は、「カリフォルニア・サン」「アイ・ヘイト・ミュージック・スター」「ティーンエイジ・キックス」「シーズ・モッド」とパンク/ガレージの渋い名曲をカヴァーする。謎の3人組はサクっとステージを去り、改めて仕切り直し。いつものようにドクター・フィールグッドの「ライオット・イン・セル・ブロック・ナンバー9」で50回転ズが現れる。そしてすごい勢いで「50回転ズのテーマ」を披露。それから畳み掛けるように『50回転ズのギャー』から曲順通りに演奏する。

50kaitenz ぎっしり埋まったフロアの反応はすばらしく、付き合いの長さを感じさせる盛り上がりだった。演奏前に長い前フリをおこなった「お前のせいだぜ」や「天王寺エレジー」もあったけど、どちらかというと曲間も短く次々と演奏される『ギャー』からの曲は、10年前より音の厚みが増し、スピード感もあり、今の方がよいと自信持っていえるものになっている。それはダニーの「昨日よりもカッコいいだろ?」という言葉に表れている。古い曲をやっても進化を感じさせることができる、ということを証明した。

 一旦ステージを去ったけど、アンコールというより第2部という感じで登場。フェスなどで出演するときリハーサルで演奏することが多い「マイクチェック」、久しぶりな「ダンスのブルース」、続いて「Mr.1234Man」、「海賊たちのララバイ」、「1976」、「放送室のメロディ」と今回でた『50回転ズのギャー』のボーナス・トラックの曲を中心に、久しぶりな曲と定番曲を交互に演奏していった。

50kaitenz そして、なんとこの日2回目の「サンキュー・フォー・ラモーンズ」。バンドもフロアの反応もテンションが全く落ちてない。最後は「おさらばブギウギ」。定番のコール&レスポンスで、この日最大の歓声の大きさを記録して終わる。だけども、高揚したお客さんたちはさらなるアンコールを求める。再びバンドがステージにでてきてRCサクセション「雨上がりの夜空に」のカヴァー、そして「グッバイベイビー」で締めくくった。ここでひと区切りつけた彼らは「古い曲が聴けてよかった」ではなく、このライヴによって「次はなにをみせてくれるのか」の期待感を抱かせてくれたのだった。

— set list —  

50回転ズのテーマ / マブイあの娘 / Thank You For RAMONES / ぬけがらロック / The Ballad Of Iron Eyes Cody / たばこの唄 / お前のせいだぜ / 天王寺エレジー / 少年院のソナタ / 乞食の大将 / 夢ならいいのに / アタイが悪いのサ / Saturday Night

— encore —
マイクチェック / ダンスのブル―ス / Mr.1234man / 海賊たちのララバイ / 1976 / 放送室のメロディ / Thank You For RAMONES / おさらばブギウギ

— encore2 —
雨上がりの夜空に / グッバイベイビー

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Text:
Nobuyuki "Nob" Ikeda
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