アウトサイドヨシノ (outside yoshino, 吉野寿) @ 山形 肘折国際音楽祭 2017.03.05

暗闇で燃え上がる真骨頂
フォトレポート @ 山形県 肘折国際音楽祭 2017.03.05

outside yoshino
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 3月4日・5日の2日間開催された肘折国際音楽祭は、山形県最上郡大蔵村にある肘折温泉で行われた。肘折温泉へ東京から行くには、新庄駅まで新幹線で3時間超。そこからさらに、バスで1時間。雪深い山間の、湯治場として知られる温泉街で行われたこのイベントに、国内外から合計12組のアーティストが出演した。ライヴのみではなく、ステージ転換中には郷土料理が振舞われたり、会場近くの旅館の温泉巡りも楽しめるなど、地域の特色を存分に生かした音楽祭だった。

 イースタンユースのギター / ボイス担当、吉野寿によるソロ・プロジェクト、アウトサイドヨシノ(outside yoshino)は、2日目のトリ前、予定の15時20分より少し早めに演奏を開始した。ほぼ真っ暗なステージで、一灯の裸電球の光に照らされた吉野。顔が影になっているため、客席からはその表情をとらえるのも難しい。挨拶も手みじかに、「月の明かりをフラフラゆくよ」からスタート。しみじみとした曲調とともに、観客は暗闇に溶けるように吉野の歌に引き込まれていく。

 ビールの缶をギターの弦に接触させて、軋んだ不協和音を奏でたかと思えば、パッとクリアな音色に切り替わり、「裸足で行かざるを得ない」に入る。テンポを落とし、毅然と歌われるAメロ、ギターでスピード感を加えていくBメロ、サビでの咆哮、激しくギターを打ち鳴らす間奏へと、一曲の中で目まぐるしく表情が変化する。「夜明けの歌」は、噛みしめるように歌う序盤から、叫びが胸に迫る終盤への展開で圧倒した。

 イースタンユースの代表曲2曲をソロならではのアレンジで披露し、吉野はステージ上からスタッフにビールのお代わりを所望。フロアの空気が笑いとともに少しゆるむ。「まさかみなさん、弱いものから順に死んでいって、当然だって思っていないでしょうね?」とフロアに問いかけて「ファイトバック現代」が始まれば、再びピリッとしたテンションが張りつめる。

 二宮ゆき子の「まつのき小唄」、島倉千代子の「人生いろいろ」のカヴァー2連発は、風情たっぷりの温泉街で聴くからか、いつにも増して濃厚な哀愁が漂う。「最後に一発、大騒ぎして帰りますわ」と言い捨てて、ラストは「有象無象クソクラエ」。チューニングが終わるなり、吉野はイントロから爆音かつ攻撃的な音色でギターを奏でる。怒りに満ちた歌は暗い空間を大炎上させ、全てを焼き尽くすような激しさだった。

 この音楽祭では、2日間ともタイムテーブルに、観客が温泉に入るための時間が設けられていた。ちょうど吉野はその温泉タイム明けの出番だった。もし、風呂から上がってリラックスしながらライヴを観ようと思っていた観客が居たとしたら、その強烈な演奏にビックリしたかもしれない。吉野は容赦なく己のスタイルを貫き通し、結果的に出演アーティストのなかでも、異彩を放つことになった。しかし、このブレなさこそが、吉野の真骨頂なのだ。そういう意味では、この日も本領を大いに発揮したと言えるライヴだった。

— set list —
月の明かりをフラフラゆくよ / 裸足で行かざるを得ない / 夜明けの歌 / ファイトバック現代 / まつのき小唄 / 人生いろいろ / 有象無象クソクラエ

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Photos:
Keiko Hirakawa
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