モップ・オブ・ヘッド(Mop of Head) @ 六本木ヴァリット 2017.09.30

開かれたステージへ
テキスト・レポート「開かれたステージへ」 @ 六本木ヴァリット 2017.09.30

 六本木はたまにしかいかない街なので、この日が土曜だと気づいて、夜の喧騒のすさまじさに面食らう。「なんか祭でもやってるのかな」という上京したての人が持つ感想を持ちながら歩いていたのだけど、実際、なんかのイベントがおこなわれていたようだ。会場の六本木VARIT(ヴァリット)は六本木交差点から歩いて数分、いつ着くのかなと思ったら飯倉の交差点近くまできたところでようやく会場の入り口だった。

 MOP of HEAD(モップ・オブ・ヘッド)は、新しく『Aspiration(アスピレーション)』を発売して、その記念としてツアーをおこない、その最終日が東京だった。ゲストにUCARY & THE VALENTINE(ユカリ&ヴァレンタイン)、向井太一を迎えてのライヴである。

 UCARY & THE VALENTINEはキュートでクールだった。女性ヴォーカルに打ち込みのサウンド。そこにやたら迫力ありタイトな生ドラムが印象的だった。叩いていたのはデトロイト7などで活躍する山口美代子だった。向井太一はバックにモップ・オブ・ヘッドのメンバーを迎い入れ、エレクトロ風味なサウンドにソウルな声が乗っていた。

 そしてモップ・オブ・ヘッド。基本的にエレクトロなサウンドを人力で演奏するバンドである。生ならではの迫力とグルーヴを作りだす。

 ライヴは「Galactic(ギャラクティック)」から始まる。シームレスで「S.A.」につながる。疾走するバンド。エレクトロなアレンジがさらに加速させる。サンプリングされたレオ今井の声が乗る「Wannadie(ワナダイ)」に「Retronix Symphony(レトロニクス・シンフォニー)」がつながっていく。「Good Time(グッド・タイム)」は向井太一が登場し伸びやかな声を聴かせてくれる。モップ・オブ・ヘッドは歌物をいくつかだしているけど、この曲と次の次でUCARY & THE VALENTINEを迎えて演奏された「dear sad big laugher(ディア・サッド・ビッグ・ラファー)」で次の段階へ飛躍している感がある。「dear sad~」の可愛らしさを持ちながら、ラウドで凶悪でかつ、クールに駆け抜ける完成度の高さはもっと評価されていい。

「Istanbul(イスタンブール)」でMC5の「キック・アウト・ザ・ジャムズ」の冒頭のアジテーションをサンプリングしてからブラーの「ソング2」を人力でマッシュアップしたところなんか、おれがこのバンドが好きな理由をそのままやってくれて、それはThe KLFが好きな理由と重なるんだよなぁと思った。音楽がどこまで自由になれるのか。形式や文化や機材の制約はあるのだろうけど、せめて発想だけでも自由でありたいと思う方向を示してくれる。

 本編を「Prism(プリズム)」で締めて、あまり間髪を入れずにアンコール。UCARY & THE VALENTINEや向井太一も再び登場してフロアを盛り上げる。再度のアンコールに応えて「S.A.」。キーボードのジョージは「フロアが主役だから」と強調していたように、踊ることが基本でありながら音楽的な冒険をおこなっている。新譜がそれまでの集大成になっているように思える。今後はフェスなどに打ってでてほしい。……とこのように素晴らしいライヴだったのだけど、仕事帰りでずっと立ちっぱなしで足腰にダメージがきた。次はもうちょっと余裕のあるところでお願いします。

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Text:
Nobuyuki "Nob" Ikeda
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