ウィルコ・ジョンソン(Wilko Johnson) @ 渋谷クラブクアトロ 2017.10.10

生きているロックンロール
テキスト・レポート「生きているロックンロール」 @ 渋谷クラブクアトロ 2017.10.10

Wilko Johnson

 ギターを弾きながらカクカクと右へ左へ動くだけで歓声が上がる。そして、マシンガンを構えるようにギターをフロアに向けて激しくカッティングするお得意のポーズをすると大歓声。ウィルコ・ジョンソンが元気でギターを弾き、歌うだけですばらしいものをみた気になる。

 4年前、すい臓がんになり、延命治療を拒否してステージに立つ姿には多くの人たちが感銘を受けた。しかし、手術を受けてがんが治ってしまいパワフルに演奏するようになった。会場の人たちを魅了したのは、その不屈のパワフルさである。

Wilko Johnson 渋谷クワトロはほぼ満員。20時スタートは仕事をしている者にとって助かる。軽く食事から会場へ向かえるからだ。入るとキンクスの「ユー・リアリー・ガット・ミー」、イアン・デューリー「ヒット・ミー・ウィズ・ユア・リズム・スティック」などが流れている。定刻にバンドが現れる。

 ウィルコ・ジョンソンとベースの盟友ノーマン・ワット・ロイ、そしてイエスの名ギタリスト・スティーヴ・ハウの息子でディラン・ハウがドラムという近年変わらぬ鉄壁の布陣である。

Wilko Johnson ウィルコのピックを持たずに指だけで弾くギターがキレ味鋭い。ディランのドラムは父親が複雑なフレーズを弾くテクニカルなギタリストだし、ビル・ブルーフォードに習ったというのに、シンプルでタイトなリズムを叩きだす。むしろ複雑なのはノーマンのベースで、シンプルな2人を埋めるような低音がうねっている。何よりも3人のだす音が非常に気持ちがいい。長年作られた老舗の安定感なんだろう。まあ、ソロ明けのヴォーカルの入りで間違って苦笑いというシーンがあったけど。

「オール・ライト」でライヴが始まり、「ロクセット」や「バック・イン・ザ・ナイト」で盛り上げる。本編は「シー・ダズ・イット・ライト」で小気味よく締めくくり、あまり間を開けずにアンコールに応えるため、再びステージに登場し、定番の「バイ・バイ・ジョニー」が最後の曲だった。フロア中が「バイバイ」と手を振り、ライヴの終わりを惜しんだ。

Wilko Johnson ウィルコ・ジョンソンのステージで感じるのは、生と死のはざまで燃焼する姿に人は惹かれるということだ。一方で、ディラン・ハウの弟でミュージシャンのヴァージル・ハウが9月に突然亡くなった。死因は明らかにされず、父親のスティーヴ・ハウは予定されていたツアーをキャンセルしたくらいの予期せぬ悲劇だった。ディランがウィルコのツアーに同行しているのは、ウィルコによってディランも救われているからなのかなと思ってしまう。

Wilko Johnson

Photos by Yukari Morishita

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Text:
Nobuyuki "Nob" Ikeda
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