キングブラザーズ (KING BROTHERS) @ 梅田シャングリラ 2017.12.16

確固たる自信
テキストレポート「確固たる自信」 @ 梅田シャングリラ 2017.12.16

KING BROTHERS

 キングブラザーズ2017年を締めくくるワンマン・ライブが12月16日に梅田シャングリラにて行われた。目の前にそびえ立つ新梅田シティでは、移動式メリーゴーランドも設営されたきらびやかなクリスマスイベントが開催されていた。そんな中、一歩会場に入ると1月14日名古屋、2月4日東京のワンマン・ライヴの告知ポスターと共に、白地に印刷された「Wasteland / 荒野」の文字が目に飛び込んできた。来春、満を持して発売されるニュー・アルバムのタイトルだ。

 2016年フジロックフェスティバルのルーキー・ア・ゴーゴーに出演したこともある大阪在住の 50/50’s(フィフティーフィフティーズ)が、オープニング・アクトとして気合いの入ったキレキレのライヴを行なったあと、僅かな転換を経ておなじみのSEが流れると、威風堂々としたキングブラザーズの3人が登場した。普段の彼からは想像もつかない猛々しさのケイゾウ(Vo/G)がマイクスタンドを鷲掴み客を煽ると満員のフロアから歓声があがる。「Big Boss(ビッグ・ボス)」のゾニー(Dr)が繰り出す規格外れの轟音はドカドカと主張しながら高みへと誘い、そこへマーヤ(G/スクリーム)のシャウトと彼の声にも似たメロディックなフレーズが次々と覆い被され、凄みの効いたケイゾウの歌が差し込まれると、傑出したブルース・ロックが完成する。

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 シンノスケ(B)とタイチ(Dr)の脱退直前ワンマン・ライヴが行われたのは4年前。その日の1曲目も「Big Boss」だった。20年前のデビュー時がバンドの第一次黄金期とすれば、華やかさと勢いに満ち、メジャーに返り咲いた4人時代の彼らは、第二のピークだといえるだろう。しかし再びベースレスとなり、ゾニーを迎え入れての現体制の今、どの時期の彼らからも頭抜けた安定感がある。

 2曲目「魂を売り飛ばせ!!」から「Paint It Black! (ペイント・イット・ブラック)」に明示される、いわゆる〜黒っぽい泥臭さ〜は、デビュー当初に目指して追いつけなかった場所なのではないだろうか。歌と歌の間に怒りをぶちまけるケイゾウと、演奏に徹しながら時折笑顔を浮かべるマーヤが、ガレージ・ムーブメントの枠走から次々と脱落していくバンドを尻目に続けてきた20年。録音当初のこれらと比較するにつけ、楽曲本来の輝きを放ち始めた今、鉄壁の布陣がようやく揃った感じがするのだ。

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「KILL YOUR IDOL(キル・ユア・アイドル)」ではマーヤのスクリームが入る直前、3人の打音が揃う小節が長々と演奏され、これでもかと言うほど客は期待を煽られた。続く「Doo Doo Scratch(ドゥ・ドゥ・スクラッチ)の最後には、スライドしながら登りつめる印象的なリフを繰り返し、胸をかきむしるほどの焦燥感を駆り立てた。

 転じて、ポンと目の前で拍子手を打たれような「Song2」の軽快なドラムとインストの「Song3」の疾走感にフロアのあちこちから歓声が上がる。祭式を盛り上げるようなゾニーのグルーヴが悶絶ものの「Sympathy For The XXXXX(シンパシー・フォー・ザ・バツバツバツバツバツ」では、ケイゾウのハープと、キリキリと響き渡るマーヤのギターソロに熱い視線が注がれた。

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「今年もニューアルバム出せなかったんですけど、もう完成してますから、めっちゃ楽しみにしていてください」とノンストップでセットリストをこなす彼らには珍しく、ここでケイゾウのMCが挟まれた。観客からアルバムがいつ出るのかと問いかけられると「え?なんて?」とこれまた珍しくステージ上で会話を続けるケイゾウ。「皆さんが念じれば」という答えに、会場からドッと笑いが起きた。「来年俺たち20周年で、より一層よろしくお願いします。俺の最も信頼する相棒、小山雅史”マーヤ”。ヤツの協力がなかったらここまで来れなかったぜ」「そして名古屋のヤンキー、今は西宮のヤンキーゾニー。ヤツのドラム、俺の知ってる中で世界で一番格好いいと思うんですけど、どうです?」マーヤもゾニーも苦笑いするほど、ケイゾウの口からはメンバーをベタ誉めする言葉が次々と飛び出し、その度に拍手が沸き起こり「俺は西宮の大統領、松尾ケイゾウです」という自己紹介には、大歓声が上がった。

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  美しい旋律が左右のギターから、いつも変わらぬ実直さで胸に突き刺さってくる「69」。ファースト・アルバムに収録されているそれからは、ぐっとテンポが抑えられ、よりドス黒さに充ちた「King Of Boogie」へとライヴは続く。マーヤのスクリームは、どの楽曲においても唯一無二のもので、彼の声こそもうひとつの楽器であり、バンドの世界観を揺るぎないものにしている。そう改めて気付かされていると、突然ステージから獰猛さが消え「ロマンチスト」の切ないギターリフが響き渡った。会場を覆い尽くしていた爆発的な熱気が凪いでいく。筆者が最後にこの曲を聞いたのも、4人のキングブラザーズ最後の日だ。現メンバーでほとんど演奏されてこなかった、いわゆる”聞かせる系”のこの曲が今の彼らの禁じ手ではないこと、3人が声を合わせ歌う姿に意表を突かれ、観客は一心に耳を凝らした。

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 客が呆気にとられていると、容赦なく「ドカドカ」へとバンドは舵をとる。饒舌なゾニーのドラムに乗っかりケイゾウは踊りながら歌い、ギターを掻き鳴らす。「最強の男マーヤが歌います GET AWAY」と紹介すると、ヴォーカルはケイゾウからマーヤへと受け渡される。油断も隙もない展開に、着いてこれるか?と試されているかのようだ。

 続く「NO NO NO」は彼らの住む西宮に唯一あるFM放送局「さくらFM(78.7MHz)」の12月パワープレイ曲として現在MC付きで流れている新曲だ。そして本編は「XXXXXX」「マッハクラブ」の大団円へと続く。「この曲で最後になります、全員がバカになって頂かないと、あそこの扉開きませんから。キングブラザーズのお客さんですよね?しっかり踊ってくれますか?」ケイゾウの前のめりのMCで最速のナンバーが狂犬を引き摺り出す。

 マーヤはギターを置き「最後の曲です、Are you ready? 今年最後のワンマン来てくれてありがとう、最後の曲になりましたが飛び込みたい、待たせたなクソ野郎!今年をぶっとばせ!」と言うや否やこの日初めてフロアに飛び込んだ。金切り声をあげながら担がれたマーヤが会場をかき回す。「お前たちを愛しているぜ」と言うマーヤと「ニ・シ・ノ・ミ・ヤ」を叫び熱気が最高潮のまま本編が終了した。

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 間をあけずメンバーはステージへ。アンコールの1曲目は、なんとこの3人では初披露となる「ROCK」だった。ベースレスバンドに徹していた彼らがベーシストを入れて4人編成になり最初の音源である『GALAXY(ギャラクシー)』の頭に録音した曲。あえてこの曲を選び、見せつけた骨太のロックンロールは、彼らの反撃が再び始まったこと、そして自信の表れに他ならない。

「☆☆☆☆」で「もっとおかしくなってくれ!」というケイゾウの一声でフロアに機材が降ろされ「ルル」が演奏される。ケイゾウが今日この日まで歌い続けてきた「さあ今日は何をする / このくだらない世界で / 退屈している俺は何もかもが嫌になる」という歌詞は、来春リリースされるアルバム「Wasteland / 荒野」の世界へと受け継がれているのだろうか。

 年明けて1月14日(日)名古屋クラブ・ロックンロール、2月4日(日)下北沢シェルターにてワンマン・ライヴが行われ、2月ニュージーランド・ツアーを経て、3月より怒涛の全国ツアーが始まる。彼らの生み出す狂騒の渦は、まだまだ勢いを増す。

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–>フォトレポート


— set list —
Big Boss / 魂を売り飛ばせ!! / Paint It Black! / KILL YOUR IDOL / Doo Doo Scratch / Song2 / Song3 / Sympathy For The XXXXX / 69 / King Of Boogie / ロマンチスト / ドカドカ / GET AWAY / Song9 / XXXXXX / マッハクラブ /

— encore —
ROCK / ☆☆☆☆ / ルル

 


『KING BROTHERS ONEMAN LIVE!!! 2017-2018』
12/16(土) @ 梅田シャングリラ 18:30open/19:00start 
01/14(日) @ 名古屋クラブ・ロックンロール 18:30open/19:00start
02/04(日) @ 下北沢シェルター 18:30open/19:00start
 詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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Photos:
Tomoko "tommy" Okabe
tommy@smashingmag.net

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