原始神母~ピンク・フロイド・トリップス(Pink Floyd Trips) @ EXシアター六本木 2017.12.29

今、聴くべきピンク・フロイド
テキスト・レポート「今、聴くべきピンク・フロイド」 @ EXシアター六本木 2017.12.29

Pink Floyd Trips

Pink Floyd Trips

 ついに、ここまできた。ピンク・フロイドを愛するミュージシャンたちで活動している原始神母が六本木のEXシアターでライヴをおこなうのだ。バンドのメンバーには武道館やスタジアムでのライヴ経験のある人もいるけれども、バンド自体は、小さなライヴハウスからこつこつやってきていて大きくなるというサクセスストーリーは若いバンドだけでなく、おじさんたち(失礼)のバンドにもあるのだ。

Pink Floyd Trips もちろん今年でいえばフジロックにもでたし、徐々に話題が広まってきたおかげである。お客さんは外国人も目につく。英語やスペイン語らしき言葉も聞こえる。会場に流れている音楽はずっとピンク・フロイドだ。

Pink Floyd Trips まずはシド・バレット・セット。60年代末のサイケデリックな雰囲気が充満するステージだった。ステージ背後にはオイルペインティングが映しだされ、宇宙とか深海とかいろんなイメージを喚起させる。メンバーは、下手からキーボードの三国義貴、コーラスでラブリー・レイナ、コーラスとパーカッションで冨田麗香、テレキャスターのギターに木暮シャケ武彦、センターにヴォーカルのケネス・アンドリュー、その奥にはドラムスで柏原克己、リッケンバッカーのベースで扇田裕太郎、そして上手にキーボードで大久保治信である。衣装も合わせてサイケデリックになっている。特にラブリー・レイナと冨田麗香の2人はセクシーで華やかだった。

Pink Floyd Trips ロンドンのアンダーグラウンドででてきて、サイケであり、ポップでもあり、実験的でもあったピンク・フロイドを再現していた。「星空のドライブ(Interstellar Overdrive)」で始まり、「ルーシファー・サム(Lucifer Sam)」でリードヴォーカルのケネスが登場。この曲や「アーノルド・レーン(Arnold Layne)」ではポップで切れ味ある疾走感、「マチルダ・マザー(Matilda Mother)」「パウ・R・トック・H(Pow R. Toc H.)」「第24章(Chapter 24)」ではアヴァンギャルドな浮遊感をもたらし、「シー・エミリー・プレイ(See Emily Play)」では再びポップに、そして迫力の「天の支配(Astronomy Domine)」、「星空のドライブ(Interstellar Overdrive)」に戻るという構成だった。

Pink Floyd Trips シャケのMCによるとこのセットはバンド名「夜明けの口笛吹き」として独立するとのこと。シド・バレット時代の曲のカヴァーでライヴをおこなう。このセット最後は、楽しい童謡のような「バイク(Bike)」で締める。

Pink Floyd Trips 20分の休憩をはさんで第2部。まずは意表をついて「シープ(Sheep)から始まる。緩急がついたドラマティックな展開で圧倒していく。柏原の迫力あるドラミングが印象的な「神秘(A Saucerful of Secrets)」。そして『狂気(The Dark Side of the Moon)』の全曲再現コーナーへ。

Pink Floyd Trips 今回は、ゲストとしてコーラスに山根麻衣、サックスに阿部剛が招かれた。山根麻衣が加わった「虚空のスキャット(The Great Gig In The Sky)」は、メンバーであるラブリー・レイナと冨田麗香のスキャットが毎回のハイライトになるのだけど、今回はさらに迫力を増していた。阿部剛のサックスによって「マネー(Money)」と「アス・アンド・ゼム(Us and Them)」に奥行きを与えていた。

Pink Floyd Trips もともと力量があるミュージシャンたちではあるけど、さらにパワーアップした編成で演奏された『狂気』の曲たちは、新たな生命が与えられたのと、ここで歌われている「時間」や「お金」などは、不安や疎外感をもたらしていまだに我々にとって問題であることを教えてくれる。決して懐メロでなく、今でも演奏されるべき音楽なのである。

Pink Floyd Trips『狂気』コーナーが終わっても興奮は冷めない。『狂気』をさらに先鋭化した「クレイジー・ダイヤモンド(Shine On You Crazy Diamond)」や「アナザー・ブリック・イン・ザ・ウォール (Another Brick in the Wall)」、一転して「あなたがここにいてほしい(Wish You Were Here)」でアコースティックギターの音色でシド・バレットへの思いを歌い上げる(ロジャー・ウォーターズは、シドのみに向けた曲ではないといっているけど)。再びコーラスに山根麻衣が参加して「原子心母(Atom Heart Mother)」、扇田のベースが活躍する「吹けよ風、呼べよ嵐(One Of These Days)」で本編が終わる。

Pink Floyd Trips アンコールは、「コンフォタブリー・ナム(Comfortably Numb)」シャケのストラトキャスターのギターがいい音で鳴りまくる。そして、この曲ならということでミラーボールが降りてきて光を放つ。EXシアターのミラーボールは光を反射するだけでなく、中にLEDライトみたいなのが仕込まれていてそれ自体が光っていた。最後は恒例の「ナイルの歌(The Nile Song)」。ゲストも含めてメンバーひとりひとりがソロを回して楽しいライヴの打ち上げのような雰囲気だった。

 2017年はフジロックにもでたし、こうした現代でも演奏されるべき音楽は継続して活動されることを望む。フジロックのもう少し大きなステージでもう少し持ち時間を長くしてほしいし、朝霧JAMなんかふさわしいステージだと思うし多くの人たちに聴かれてほしい。

Pink Floyd Trips

— set list —

Interstellar Overdrive / Lucifer Sam / Matilda Mother / Arnold Layne / Pow R. Toc H. / Chapter 24 / See Emily Play / Astronomy Domine / Interstellar Overdrive / Bike

Sheep / A Saucerful of Secrets / Speak to Me/Breathe / On The Run / Time / The Great Gig In The Sky / Money / Us and Them / Any Colour You Like / Brain Damage / Eclipse / Shine On You Crazy Diamond / Another Brick in the Wall / Wish You Were Here / Atom Heart Mother / One Of These Days

— encore —

Comfortably Numb / The Nile Song

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Photos by Koichi Morishima

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Photos:
Official Photographer


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Text:
Nobuyuki "Nob" Ikeda
nob@smashingmag.com
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