!!!(チック・チック・チック) – 『Strange Weather, Isn’t It? (ストレンジ・ウェザー・イズント・イット?)』

変化、その実態は?

CDレヴュー 『Strange Weather, Isn’t It? (ストレンジ・ウェザー・イズント・イット?)』 2010.07.24.

 何にしても、数日後におこなわれるフジロックでのステージが楽しみである。!!!(チック・チック・チック)の新しいアルバムは、表面的には今までの音に込められた熱があらかた消えて、クールな印象が残るものになった。単に暑いというか暑苦しいまでもハードな印象があり、それはステージの上でもそうであり、疲れた身体に無理矢理覚醒を促すかのような迫力で踊らせるようなところがあった。ところが去年おこなわれたエレクトラグライドでのステージから変化の予感は十分にあった。

Mano Negra そのときのレポートでは「以前のようなハイテンションで、いきなりアッパーな感覚を無理矢理注入するような感じではなくなり、柔らかく、よりファンキーにサイケデリックに、じわじわと上げていって結果的にお客さんたちを踊らせるというようなものに変わっていった。女性ヴォーカルとの掛け合いもあり、音楽的に幅が広くなって懐が深くなった」と書いたけれども、まさにこのアルバムのモードが、すでに当時あったということがわかる。そのときのフロアは、戸惑いも少なく、多くの人たちに彼らの変化が受け入れられたと記憶している。少なくとも自分の周りでも失望して引いていったことはなかった。それは、意表を突くとか大胆な変化というわけではなく、あくまでも、それまでのステージの延長線上で上手くシフトチェンジできたのではないか。

 要するに「あれ~、何か今までと違うなぁ~。でも気づいたらノってたなぁ」というものである。もしかしたら、バンドの中には荒っぽく生々しい音から始まり、徐々に洗練されていくバンドはたくさんいるわけで、今までの歩みを振り返ってみると、チック・チック・チックもそうしたバンドのように変わっていっているのだといえる。もちろん、当然ながら変化の背景のひとつとして、メンバーの脱退や、元メンバーの死ということがあるのかもしれない。

 このようにアルバムとして、記録されるとまた印象がはっきりしてくるものである。ハードな角が取れ、音が整理されたおかげで洗練し、クールな感触でこんな夏(今、真っ昼間で冷房をつけてない部屋で書いている)には心地よいものになった。前作との断層は確かにあって、今までの違いが強く印象付けられ、このアルバムを聴いた人たちが変化を前提にライヴにくるのだ。そうなると、どのような化学反応が生まれるのか。今までの曲とどのように共存していくのか。とても興味深い。変化の実態はステージで明らかにされることだろう。

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Text:
Nobuyuki "Nob" Ikeda
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