ワン・デイ・アズ・ア・ライオン (One Day As A Lion) @ 名古屋クラブクアトロ 2010.08.04

真夏に新兵器、襲来
テキスト・レポート「真夏に新兵器、襲来」@ 名古屋クラブクアトロ 2010.08.04

 フジロックでは、ホワイト・ステージに入場規制をかけるほどの人気を見せつけたワン・デイ・アズ・ア・ライオン。レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンの説明不要のカリスマ、ザック・デ・ラ・ロッチャと元マーズ・ヴォルタの超人ドラマーであるジョン・セオドアが密に結びついたこのユニットは、ラップ、ドラム、キーボードで編んだシンプルながらも猛烈なサウンドで苗場を炎上させたみたいだが、この東名阪ハコツアーも非常に熱いものになっている。

 徐々に人の群れがにぎやかになっていった、本日の名古屋クラブクアトロ。満員とはいかないまでも、かなりのお客さんで溢れかえっている。レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのシャツが当然のように目に付く中で(かなり多かった)、フジロック帰りの方もチラホラと目に付く。苗場に続いて2度目の体験をする人は意外と多かったのかもしれない。

 そんな大きな期待をじらすように定刻から20分ほど遅れたところで袖からメンバーがステージに登場する。出てきたのはコア・メンバーのザックとジョン・セオドアに加えて、サポートのキーボーディストの計三人で、ザックを真ん中に三角形を組む感じで陣取っている。ラップ、ドラム、キーボードというシンプルな編成で彼等のライヴは気炎を上げるようだ。そのカリスマ達が姿を見せただけで会場の熱気はグンと上昇したのが敏感に伝わってくる。帽子にポロシャツに短パンといたってラフな格好のザック、対してセオドアは上半身裸で筋肉美をアピール。意気込みがその姿から伝わってくる。

 ライヴは、ワン・デイ・アズ・ア・ライオンとしての挨拶の側面が強いながら、新たな胎動を強く感じさせるものでもあった。比類なき存在感と迫力で会場を牽引。秘かにため込んできた力を存分に感じさせ、会場を狂乱へと陥れた。2年前に発表された唯一の音源であるEP『ワン・デイ・アズ・ア・ライオン』を軸に新曲を交えて展開し、始まりの「オーシャン・ビュー」から、エンジン全開で地鳴りのような重低音が休む間もなく襲いかかってくる。ジョン・セオドアの精妙かつ強靭なドラムが曲をリードし、低音~高音を自在にうねりゆくキーボードが独特の空間彩色を施して、強烈な磁場を形成。そして、なんといってもそこに乗るザックの速射砲のようなラップ、それが鋼をも穿つ強力な武器となる。このトライアングルが放つ怒涛のエネルギーに煽られ、会場はヒート・アップしていく。トム・モレロのギターは、ここにはない。だが、ザックが育んできたワン・デイ・アズ・ア・ライオンという解答は、確実に受け入れられている。

 その後も新曲を挟んだセットで会場は大きく揺れ動く。まだ、数本しかライヴをやってないにも関わらず、このパワーはどっから来るんだってぐらい熱い。カリスマ達の掛け算だけでは成り立たない凄さを、ショウが進めば進むほど感じてしまう。とりわけ、奇怪な電子音が不穏を誘い、激化していくリズムとラップの荒波が強烈に襲いかかる「ワン・デイ・アズ・ア・ライオン」の壮絶なラストには魂が焦げた。自らの名を冠した曲を最後に演奏する辺り、強い決意が感じられる。このユニットの命運はザックの手のひらにあるが、ここまで大きなインパクトを胸に刻みこまれたとなると、短期では終わらないで欲しい願望が浮かんでくる。これから、どう転んでいくのか。本日のステージを体感すると再びの帰還に期待感が膨らんでしまう。ただ、ワンマン・ライヴとしてはかなり短くて、フジと同じ約40分のステージにはちょっと驚き。20時前に終わった時は、「え、もう終わったの?」という困惑の声が続出してた(自分も感じたけど)。それでも、目の前で起こった強烈な出来事を体験した観客からは、満足げな表情が多く見受けられた。

— set list –(原文のまま)
 
Ocean View / Rockers / If You Fear Dying / Swampy / Last Letter / Wild International / Peart Plus / One Day As A Lion
 

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Text:
Takuya Ito
takuya@smashingmag.com
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