京浜ロック・フェスティヴァル2009 @ 東扇島東公園 2009.10.12

イントロ
特集 – イントロ @ 京浜ロック・フェスティヴァル 2009.10.12

Keihin Rock Festival
 昨年のこと、日本の70年代ロックを代表するバンドのひとつ、夕焼け楽団が再びステージに立ったというニュースをmixiを通じて耳にしたんだが、それを見逃したのがどれほど悔しかったか… おそらく、そのあたり、若い世代には理解できないだろう。すでに50代も半ばにさしかかった筆者のような世代にとって、日本のロック史を考える時、はっぴいえんどやはちみつぱいと並んで、外すことのできない伝説的な存在が彼ら。そんな話が事前に伝わっていたら、なにをしても出かけることになったと思うのだ。
 
久保田麻琴 なにせ、衝撃だったのが1973年のデビュー・アルバム、『サンセット・ギャング』。名義はリーダー、久保田麻琴となっていたんだが、これが夕焼け楽団の実質的なファーストであり、ジャケットにフィーチャーされたゴジラが、雄叫びを上げながら日本のロックに新しい扉を開けてくれたようにも思えたものだ。
 
 さらには、75年の『ハワイ・チャンプルー』で沖縄からハワイ、そして、テキサスからニューオリンズと、懐の深いアメリカ音楽のみならず、新鮮で幅広い世界中の音楽を飲み込みながら、しゃれた言葉と粋なフレーズに、どこかでセクシーなヴォーカルで久保田麻琴と夕焼け楽団が我々を虜にしていくことになるのだ。それ以降、『ディキシー・フィーヴァー』、『ラッキー・オールド・サン』、『セカンド・ライン』と名作を連発して、サンデー・アンド・ザ・サンセッツへと変貌していくんだが、そんな彼らが再び一堂に会してステージに立つことなど想像もできなかった。
 
 ところが、その夕焼け楽団がヘッドライナーとして登場したのが昨年の京浜ロックフェスティヴァルだった。昨年のラインナップをチェックしてみると、彼らの他に顔を見せているのはセンチメンタル・シティ・ロマンスやオレンジ・カウンティ・ブラザーズといった、懐かしい名前の数々。どこかで、2005年と06年に開催されたハイドパーク・ミュージック・フェスティヴァルとダブってしまうのだが、残念なことに、スマッシング・マグがハイドパーク・ミュージック・エキスプレス05ハイドパーク・ミュージック・エキスプレス06という形で現場から速効レポートを繰り広げたあのフェスティヴァルが再び復活するという噂も耳にしなくなっている。そんなこともあり、今年は絶対に見逃せないと開催を心待ちにしていたのがこのフェスティヴァルだった。
 
Keihin Rock Festival 2009 しかも、フェスティヴァルのプロデューサーとしてクレジットされているのは、久保田麻琴とある。夕焼け楽団からサンセッツと70年代から80年代と素晴らしい足跡を残していることは言うに及ばず、世界中の音楽を発掘しながら多くの作品をプロデュース。2年前に発表されたあがた森魚の傑作、『タルホロジー』でも、我々にプロデューサーとしての才能を見事に見せつけているのだ。というので、開催の知らせを受けるやいなや取材申請。この前日、前々日と富士山の裾野で朝霧ジャムを取材した後、今度は港の見える会場へを足を伸ばすことになる。
 
 フェスティヴァルといっても、それほど規模は大きくはない。というよりは、どこか手作り的で、この光景を見た友人は「まるで昔の夕焼け祭りだ」と話していたんだが、それは70年代にめんたんぴんを中心に開催されていたもの。その夕焼け祭りも復活しているようだが、ここで語られているのは、もちろん、ずっと昔のオリジナルだ。残念ながら、それを体験していない我々には想像するしかないんだが、おそらくは、シンプルなものだったんだろう。なにやらあの時代にタイムスリップでもしたかのような会場の一角に用意されていたのはステージ・トラックが2台。その前を扇形にしてオーディエンスが広がるのだが、片方で演奏される間に、もう片方でライヴの準備が行われるという方法を取り入れていることもあり、セット・チェンジを待つことなく次々とバンドの演奏を楽しむことができる。そのせいもあるんだろう、昨年よりも遙かに数多くのミュージシャンが集まっていたのが嬉しい。
 
 オーディエンスにかなり年輩の方が多いのは当然だろうが、同時に、若い世代もかなりいたように思う。それはスカンク兄弟やグッドラックヘイワにキセルといった若手が演奏していることも理由だろうし、同時に、70年代から今も最前線で活動するミュージシャンが以前にも増して大きな影響力を持っていることの証明でもあるんだろう。過去の名曲へのリクエストが飛び出したりと、どこかにノスタルジーがあることは否定はしない。が、時を経ても色あせることのない歌があり、年齢を重ねると同時にますます輝きを増しているのがミュージシャン。それを再確認できたのがこのフェスティヴァルではなかったかと思う。

–>Skunk Kyodai

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