モグワイ (Mogwai) @ 名古屋クラブクアトロ 2009.01.13

破格の音圧が導く恍惚
テキスト・レポート「破格の音圧が導く恍惚」@ 名古屋クラブクアトロ 2009.01.13

Mogwai
 自分の中に存在する感覚の全てがモグワイに持っていかれた。そう表現できるくらいに凄まじいライブに身を置いた。個人的にこの日がとっても遅すぎるモグワイの初ライブであったのだが、静寂と轟音が織り成す音楽の奇跡は、まさに未体験の領域といえるものだった。評判通り・・・いやそれ以上。ヘッドフォンを通した感動があっという間に消え去るほど、肌で味わって初めてわかる素晴らしさがここにはあった。

Mogwai サポート・アクトであるリメンバー・リメンバーのやけに面白い30分のステージが終わってから待つことちょうど30分。20時を少し過ぎた辺りで、ついにモグワイの5人がステージに姿を現した。劈くような歓声に包まれる中、本日は「ザ・プレシピス」から始まる。去年発売された新作、『ザ・ホーク・イズ・ハウリング』の最終曲にあたるこの曲は、厳かな佇まいからトリプルギター、ベース、ドラムが静かに音を重なり合わせていく。極限まで膨れ上がったところで一気に爆発。その轟音は大地を揺るがし、空気を震わせ、激しい衝撃となってこの身に伝わってくる。まだ始まったばかり。だが既に彼等の音世界に集中し、聴き入ってしまっている自分がいた。

Mogwai 新作、『ザ・ホーク・イズ・ハウリング』は原点回帰ともいわれているが、静と動の緩やかな押し引きから構築される奥行き深いストーリーに個人的には心を奪われたものだ。轟音に頼ること無く、追求した深遠なる音世界と表現すべきか。本日はその新作からの楽曲を中心にセットを組んでいたので、美しくドラマティックな広がりをみせる曲が多かったように思う。その中でも「アイム・ジム・モリソン、アイム・デッド」が特に印象的だった。ピアノの美麗な旋律と淡いギターが導く感動的なクライマックスに思わず言葉を失う。ライブにおいても、静と動の絶妙なバランス感覚と美意識に長けた表現の巧みさをこれほどまでにみせつけるとは。さすがとしかいいようがない。

 そういった穏やかな側面がやや目立つ中で、随所に盛り込まれた過去の名曲が残すインパクトは大きかった。あの破壊的な轟音を容赦なく浴びせられると、世界が一瞬にして切り替わってしまう。そして、意識は宇宙の彼方へ飛ばされる。5人のエネルギーが究極ともいえる次元で交錯・爆発して生まれる、ある種の神々しさすら纏った取り返しの付かない轟音。それを全身で浴びれることの歓喜・至福。なぜ人々がモグワイを愛するのか。その問いに対する答えが身を持って体験することでわかった気がする。

Mogwai アンコールの2曲はまさに衝撃という言葉を身体に心に刻み込まれる結末であった。壮大な嵐を思わせる凶暴なノイズが空間を飲み込んでいく様は実に圧巻。同時に視覚を奪うように光が眼に突き刺さってくる。今にも会場内の壁を突き破って、天高く昇りつめようと猛り狂う音・眩い閃光の前にただただ圧倒された。最後の「バットキャット」が終わり、その轟音の世界から切り離された時は、一瞬何が起こっていたのか覚えていないほど、全ての感覚が支配されていたのである。しかし、それがモグワイのライブを経験した証であるともいえよう。この場に足を運んでいなかったとしたらきっと後悔していただろう。

 ようやく自分にも『モグワイのライブは凄いんだ!』と胸を張っていえる日がきたことを嬉しく思う。しかし、こんな凄い体験をしてしまうと早くもまた彼等が来てくれる事を切望してしまう。あの至福の轟音をもう一度浴びたい。そんな指令が終演直後にも関わらず脳からずっと発せられるほど、まだあの興奮が冷めそうにない。

— set list —
 
01. The Precipice / 02. Friend of the Night / 03. Ithica 27-9 / 04. Scotland’s Shame / 05. Hunted by a Freak / 06. I Love You, I’m Going to Blow Up Your School / 07. I Know You Are But What Am I? / 08. I’m Jim Morrison, I’m Dead / 09. 2 Rights Make 1 Wrong / 10. Thank You Space Expert / 11. Helicon 1 / 12. We’re No Here
 
— encore —
 
13. Like Herod / 14. Batcat
Mogwai

Share on Facebook

Information

Photos:
Yoshitaka Kogawa
yoshitaka@smashingmag.com
Web Site / twitter
Yoshitaka Kogawa's Works

Text:
Takuya Ito
takuya@smashingmag.com
twitter
Takuya Ito's Works

Write a comment