ア・フラッド・オブ・サークル – 『ズーマニティ』

ついに解き放たれた次世代のブルース
CDレヴュー 『ズーマニティ』 2010.09.16

 2009年4月のメジャー・デビューからわずか1年5ヶ月。ア・フラッド・オブ・サークルが早くも3枚目のアルバムをリリースする。タイトルは『Zoomanity(ズーマニティ)』。動物をモチーフにすることが多い彼らの詩世界にぴったりの秀逸なネーミングだ。一聴して、アルバム全体を覆う濃厚な色気に度肝を抜かれる。先行シングル“Human License(ヒューマン・ライセンス)”で垣間見えていた野生が、牙をむき出しているのだ。

a flood of circle 聴く者の鼓膜に焼き付くような佐々木(ヴォーカル&ギター)の歌、作曲を始めたばかりとは思えないきらめきを見せる渡邊(ドラムス)のメロディ・センス、決してぶれることのないバンドのカラーを担う石井(ベース)の健やかさと朗らかさ。そして何より、独特の詩世界を立体化するブルージーなサウンド。『Zoomanity(ズーマニティ)』は、青くて、泥臭くて、生々しくて、これまでで一番フラッドらしいアルバムに仕上がっている。そこにはもはや、憂いの付け入る隙はない。

 収録曲のうちいくつかはすでにライブでも披露済みで、いずれも好感触。“フェルディナン・グリフォン・サーカス”、“Chameleon Baby(カメレオン・ベイビー)”、“Human License(ヒューマン・ライセンス)”といったアッパー・チューンは、小気味良いリズムがオーディエンスのクラップを誘い、フロアの一体感を高める。今後、ライブを盛り上げる定番曲になりそうだ。一方で、弾き語りとバンドスタイルの二面性を持つ“コインランドリー・ブルース”は、佐々木が得意とする繊細さが前面に押し出されている。ただし、これまでの同様の曲と明らかに違うのは、孤独を受け入れる強さがあるということ。嵐を経験した者は強い。

a flood of circle まだ手探り感のあったファースト・アルバム『Baffalo Soul(バッファロー・ソウル)』、先輩諸氏の手を借りて混迷を勢いに変えた『Paradox Parade(パラドクス・パレード)』、サポート・ギターが固定されたことによって音が安定し、獰猛にさえなれた『Zoomanity(ズーマニティ)』。いろいろな人に導かれ、支えられ、今のフラッドがある。そのことに改めて気づいたからこそ、彼らはこのタイミングで、もっとも自分たちらしい音を鳴らすことができたのではないだろうか。

 短いなりに積み重ねてきた時間の上に存在する『Zoomanity(ズーマニティ)』を、心から愛おしく思う。ライブで彼らが言っていた「一緒に未来を見にいきましょう」という言葉を信じるだけの音と気持ちが、このアルバムには詰まっている。10月からは、全国ツアー「Tour Zoomanity 〜天晴全国百鬼夜行〜」が始まる。いよいよ本性を現し始めたア・フラッド・オブ・サークルのブルースが、世界を塗り替えていくさまを見るのが楽しみでならない。

Text by satori

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