Aniのライヴを見ていて思い出したことがある。
2年ほど前に英国でホームステイした時、ホストファミリーの9才の女の子がドッジ
ーの曲を歌いだした。
日本でもとっても売れた曲だったし、自分もよく知っていたので、インチキ英語で一
緒になって歌った。
「音楽に国境はない」。心底からそれを感じ、熱く感動した瞬間だった。
Aniのライヴはまさにそれだ。客層の半分近くは日本人じゃなかった。
英語でAniがべらべらと喋り始めた時は、英語が完璧じゃない自分にとっては何故会
場盛り上がっているのか分からないことも何度かあったし、歌詞を意図的に変えて歌
っているユーモアもなかなか伝わってこなかったのは辛かったけど、オープニングで
心臓の鼓動のS.E.とともに現れたAniに興奮したのは私だけではないはず。
それだけじゃない。ライヴが進むにつれてあのS.E.がどんな意味を持っていたか、
Aniは昨年だけで3枚のアルバムをリリースしている。それだけでも彼女の凄さが
伝わってくるのだが、
演奏される曲される曲に対し、とても同じ人間が作った楽曲とは思えなかった。「ど
うしてこういう展開を思いつくの?!」そんな奇想天外なバラエティに富んだ曲ばか
りだからだ。
なんてメリハリの利いた歌い方、なんて素晴らしいリズム感、なんて意気のあった
演奏や照明。勢いに乗ったあの時に彼女を止める事なんて誰にも出来なかっただろう
。あんなハッキリと早口でしかも完璧な音程で歌える人はそうはいない。元プリンス
を始めとする数多くのミュージシャンに支持されるのも納得だ。シンプルな構成なの
に圧倒されたのは、そんなAniのプロフェッショナル振りだった。
Aniを始めとするメンバー4人は、演奏を「披露しに来た」と言うよりは、「ただ
自分たちが演奏するを楽しんでいるだけで、たまたまここは日本なんだ」とでも言わ
んばかりに、ステージをにこやかに軽やかにこなしていった。だからといって決して
それが「楽しむ人だけが楽しめばいいのよ」という態度だというわけではない。リズ
ムを感じるままに受け止めるAniの「音楽に対する喜び」は本当に体全体に現れてい
て、それを私達は目で見て、耳で聴いて、何か心を大きく揺さぶられるような衝撃を
受けることで会場が一体となっていったのである。そこでは何もかもが「自然」だっ
た。Aniが音楽を作ることも、私がここにいることも、すべてが自然だった。
生きている間、心臓は鳴り続ける。それは自然に、当たり前に、しかも勝手に行わ
れていることで、それを普段意識して生活しているわけではない。インターネットだ
のが普及している世の中だから、英国人と日本人が共通して知っている歌なんて、五
万と存在していて当然だ。「音楽に国境」なんて元々なくて当然かも知れないし、く
だらないことかも知れない。しかしそんな当たり前のことをふと意識してみたときや
ハッと気づかされたとき、私は感動を覚えずにはいられなくなる瞬間があって、Ani
のライヴでもそれを感じだのだ。強烈な個性を放って音楽を楽しむ彼女の姿を目の前
にして、震える足を抑えられずに参っていた私がそこにいた。
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