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今日はSKATALITESの前座ということだったのだが、彼らが登場するとステージ前の熱が一気に上がる。それもそのはずだろう。彼らは7月にカバー曲を中心としたアルバム「SUMMER JAMBOREE」をリリースしているし、単独でツアーが行われても全くおかしくないくらいなのだ。だから、この登場での盛り上がりはある意味当然と言えるものなのかも知れない。だいたい、SKATALITESとROCKING TIMEが一緒に観れるなんてのは、かなりお得な感じがする。 その盛り上がりに対して、バンドはポジティヴなヴァイヴを放ちながら、気持ちのいいバックビートを鳴らしていく。ヴォーカル今野英明のパフォーマンスがそのポジティビティを代表していると言えるかも知れない。彼の笑顔、元気のいいMCが会場の雰囲気をアッパーでポジティヴなものにしていく。 |
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そして、バンドのアンサンブルは基本的にはタイトなものだ。レゲエやロックステディのバンドというのは、緩やかなヴァイヴが求められるので、どうしても緩いということに囚われがちなのだけれども、ROCKING TIMEは、しっかりとタイトなビートを鳴らして、音の隙間とのコントラストをつけている。そのせいで、音の強さがキープされて、強いグルーヴが生まれていくのだ。 ベースの小粥とドラムの森のリズムセクションが、その源だ。ベースは太く、スネアはタイトに、それなのにグルーヴ自体は緩やかな上昇感を描いていくのだ。そうしたグルーヴはなかなか手に入れようと思って、手に入れられるものではないと思う。時折スネアにリヴァーヴがかけられ、ちょっとダブの要素を感じる瞬間もあった。そこにギターの山本と小林、キーボードの津村が彩りのある旋律を奏でていくと、まさにパラダイスとも言えるROCKING TIMEの音の空間が生まれるのだ。 |
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「昔の日本の島歌をやります。知ってる人は歌ってください」とMCされて流れてきたメロディは、島崎藤村の詩に旋律をつけられた「椰子の実」。「名も知らぬ 遠き島より」という誰もが知っているあの曲だった。これが素晴らしく良かった。「へえ」ボタンを連打したくなるような驚きがあったし、なによりROCKING TIMEの鳴らす音の空間にぴったりきていたからだ。昭和初期の日本の音楽には本当に優れたメロディが多いので、結構、いろんなアーティストがカヴァーしたりしているけれど、ここまでバンドと曲の雰囲気が合致したケースはそれほどないと思う。これはやはり自分たちがどんなバンドであるか、どういう音を鳴らすのかということについて、明確なイメージを持っているからこそできることだろう。そうしたカヴァー曲の選曲のセンスも見事だと思った。 |
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後半はレゲエナンバーも披露して、優しくて緩やかだけれども、強いグルーヴを放ち続けていった。。外は既に気温が10度以下だったと思うが、この会場の中は、まるで夏のリゾートのようだ。みんな、ちょっと汗ばんでいるけど、楽しそうな笑顔ばっかりだ。ステージ前のオーディエンスによって掲げられた多くの手は、彼らに対する賛辞を示していたと言えるだろう。ちょっと寒くなってきた札幌で、ROCKING TIMEは一瞬、あのさわやかな夏を思い起こさせてくれた。 |
reported by YSMZ and photo by Q-TA MIDORINO |
ROCKING TIME: http://www.rockingtime.com/ |
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