PEALOUT @ 札幌 SOUND CREW (4th Oct.'03)
限りなく自由な8ビートのトライアングル -- PART 1 --
|
今回のPEALOUTの札幌公演は、「IN YOUR POCKET」というイベントへの参加、という形になった。札幌を中心に
活動しているギターバンドがたくさん出て、18:00から行われていたのだけれども、PEALOUTの出演は23:00前になってしまった。たぶん、この分だと、ライヴ終了を待たずに先に終電が行ってしまうだろう。でも、さすがに誰も帰ろうとはしていない。
そんなオーディエンスを前に、ピアノ近藤、ベース岡崎、ドラム高橋というフォーマットで、近藤のピアノが鳴らされた。知らない曲だ。新曲だろうか。PEALOUTがアルバムを出したのは02年の6月になる。もう一年近く経過するわけだが、その間にたくさんの曲を作っているだろう。そうした新曲を頭からぶつけてくるというのは、彼らのライヴでもそれほど多いことではない。その新曲にも自信を持っているんだろう。ピアノとベースとドラムで、うねりのある突進力を見せていく。
|
|
近藤のピアノは、とてもグルーヴィーでベンフォールズがベンフォールズファイヴをやっていた頃のプレイを思い起こさせる。もちろん音の体質が全く違うのだけれど、ビートが完全にロック、しかもかなり激しいロックを感じさせるものだ。ピアノを弾くというよりも、叩いて鳴らす、という感じだ。
高橋のドラムは、意外に思われるかも知れないが、バンドの音の展開力を握っているのは実は彼なんじゃないだろうか。PEALOUTは基本的には8ビートのロックバンドというルールの中で、もの凄く自由度の高い楽曲を演奏する。その自由度を支えているのは、彼のドラムなのだ。彼が8ビートを拡大解釈するようなドラムを叩いて、さまざまな展開を見せることができるから、PEALOUTは自由でありうるのだ。
このフォーマットにおいて、ラジカリズムを演出するのが岡崎のベースだろう。彼のベースはオーヴァードライブがかけられていて、それが、このフォーマットにおいて、音の厚みを作り出し、それがアンサンブルの迫力に繋がっていく。そして、ステージで最も自由に暴れまわれるのも彼だ。彼の大きな動きはとても迫力があっていい。
|

|
|
この3つの楽器がトライアングルを形成し、オーディエンスにビート感の強い演奏をぶつけていく。このフォーマットは3つの楽器が3つともビートアンサンブルであり、かつドラムも含めて、3つともメロディアンサンブルでもあるのだ。ロックンロールでトリオの日本のバンド、というと、画一的なイメージを持つ人が多いけれども、PEALOUTはそこを逸脱している。このピアノフォーマットもあれば、ギタートリオもできるし、ベーシストを迎えて4人でも演奏できる。しかも、同じ曲を違うフォーマットで自由に演奏することができる。こんなアンサンブルを持っている日本のロックバンドを他には知らない。
新曲は、これまでのPEALOUTのバウンシーな魅力を失わず、前のアルバム曲よりも影が見え、不穏さが入り込むようなところもある曲だった。これは早くレコーディングして発表してもらいたいところだ。
|
reported by YSMZ and photo by Q-TA
MIDORINO |
|
|