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フジロックに出演した際、GUMXには有難いような有難くないようなキャッチフレーズが付けられてしまった。「韓国のハイスタ」。これが彼らのイメージを限定してしまったところがあるのではないだろうか。この韓国のバンドの音について想像をめぐらせるときも、どうしてもそのことを考えてしまう。 しかしながら、このGUMXが音を鳴らし出したとたん、そんなキャッチフレーズ云々は吹き飛んでしまった。そのタイトに疾走する磐石なグルーヴに思い切り心を掴まれてしまったのだ。このバンドのアンサンブルは本当に素晴らしい。ハードコアバンドは数あれど、音のやかましさはともかく、そのアンサンブルは実は緩く、エッジがないというバンドが山ほどいるような気がするが、GUMXには、そういうところが全くない。ビートに合わせて繰り出させる一つ一つの音のダイナミズムが聴き手の気持ちを揺り動かす。それは生ハンパな演奏力ではできない。 |
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![]() 彼らの素晴らしいアンサンブルの強力なエンジンになっているのは、ドラムのリー・ケイだ。彼の生み出すビートは高速になっても、ほとんどフラつくところがない。こういうドラマーがいるのは本当にバンドにとって心強いだろう。バンドのグルーヴに推進力を与えるベースのリーヤングのサウンドもどっしりしていて安定感があるのに、疾走感を失わないという見事なビートを演出する。そして、ヴォーカルとギター、一人でバンドの旋律を鳴らすのはリー・ウォンだ。彼が一人でそうした役割を担えるのも、リズムセクションの安定があるからだろう。そして、そこから歌われる歌の力強さはバンドの強烈なグルーヴに劣ることがない。ギターもいわゆるテクニカルな方ではないかも知れないが、曲の方向性、そしてバンドのグルーヴというものをしっかり掴み、それを十分自覚した上で鳴らされている。これは、バンドで曲を演奏するという意味においては、もの凄く技術、感覚が求められる。 3人が3人ともバンドの音に対してとても献身的だし、そのバンドの音を作り上げるのに相当これまで3人で演奏してきたのではないかと思った。後で調べてわかったことだが、すでに1000回以上のライヴを韓国でこなしていたらしい。これほどの音を出すには、相当の努力が、やはりあったということなのだ。 |
そんな彼らの鳴らす音は、やはりというか、ジャンルでいうならハードコアパンクということになってしまうのだろう。しかしながら、曲が一本調子にならず、さまざまな展開を見せる。その展開の仕方にポップなところを感じるし、ハードコアパンクという枠だけでは捉えきれない、彼らの音楽的な素養の高さを感じることができる。自分としては、タイプはかなり違うかも知れないけれど、去年、幕張で見たFOO FIGHTERSのような、曲の良さとバンドアンサンブルの凄みを見せつけるような、そういうバンドになっていけるような可能性を感じる。あまりハードコアパンクという枠自体にこだわっているようには、音からは感じられないし、そういう広がりを追及していくなら、このバンドは本当に面白いことになっていくんじゃないだろうか。 ただ、パンクな曲の疾走感と力強さにも彼らの魅力がたっぷり詰まっている。リー・ウォンの書くメロディが素晴らしいということもあるけれど、いい曲に素晴らしいグルーヴがあって、一気に畳み掛けるように突進していく音で、聴き手も体を動かさざるを得ない。 |
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reported by YSMZ and photo by Q-TA |
Part 1 / 2 |
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GUMX : TOYS FACTORY ARTIST INDEX - GUMX |
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