インビシブルマンズデスベッド @ 下北沢251 (1st Feb '04)
人間の過剰な部分
デスベッド君は無駄な動きが多い。多すぎると言っていい。それは人間の過剰な部
分を表しているかのようだ。「ほどほどにしておけよ」というのは彼らの辞書にはな
く、止めなれない衝動が行き場を失い、もがくようにデスベッドは動き続ける。
この日、最近のライヴでは定番になっている"歪め表情"で始まる。相変わらずギ
ターの鳴りがいいバンドだなぁと思う。リードギターの武田はモニタースピーカーの
上に乗ったりして暴れつつも、しっかりとした音を出してくる。別に速弾きのソロを
やるわけでもなくて、オーソドックスなコード弾きが中心なのだけど、相手の快感の
ツボを探るように、良い響きのポイントを探しているようだ。対して、ヴォーカルに
専念することもあるのでギターを持つのは半々くらいのデスベッドは、ギターを弾く
というよりはギターをいじるという表現が合うようなプレイ。指で弦をまさぐりなが
ら「クチュクチュッ」みたいな音を出すのは何の隠喩であるかは、みなさんもお分か
りだろう。ベースとドラムがビシビシと決まり、インビシブルマンズデスベッドが出
す音の気持ち良さの半分はこのリズム隊が貢献しているのだ。リズム隊がしっかりし
ているゆえに、フロントの暴れる2人を支えている。この日フロアの前方の男子率が高
くて"デリー"や"接触"の反応なんかを見ていると、そのうちモッシュやダイヴも起き
るんじゃないかと思える。
デスベッドはいつものように暴れまくり。「あああぁんっ」とよがり声を上げなが
らフロアと楽屋に行く通路を隔てるカーテンを剥ぎ取ったり、物販のTシャツを強奪
して着たり、ドラムセットを破壊してタムを担ぎ上げて鼓みたいに叩いたり、やりた
い放題だった。そして最後はガムテープをステージの端から端まで貼り巡らせ、デス
ベッドがテープを口にくわえながら平行移動というパフォーマンスだった。
人が抱え込むモヤモヤとした衝動、どう表していいのか分からないものをデスベッ
ドは、その変な動きとして全身で表す。その衝動は、言葉で整理をすることが出来な
い部分、つまり、性的な暗喩に満ちていて、笑いと狂気の境目に存在するものに見え
るのだ。その動きを行っているとき、デスベッドの表情は、悲し気にも、苦しげ気に
も、気持ちよさ気にも見えるけど、決して得意気ではない。悲劇にも喜劇にも通じ、
その果てに快楽を夢見ること、それこそが彼らがグラムロックから受け継いでいると
ころだろう。インビシブルマンズデスベッドは、人間が抱える「ヘン」なモノにいろ
んな表情を与え、ただ直視することを要求する。
-- setlist --
歪め表情
もっと複雑に
踊るオンナ
君の性癖とある感触
熱い戯れ
限りないギター
デリー
最後の季節
星に願いを
星の屑
交わる吐息
いつも壊されたい部分
蠢動
摩擦
接触
破砕
墜落スル感情ヨリ
真昼の経過
16秒間
君を隠して |
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