Bob Log III @ Sapporo Bessie Hall (3rd Feb '04)
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正直言って結構意外だった。どう贔屓目に見ても、この日のお客さんの大半はデキシー目当てだったと思う。トリのBob Log前に大半が帰ってしまうんじゃないだろうかとヒヤヒヤしていたが、帰る人はほとんどいない。いらぬ懸念だったようだ。 そして、誰もが「帰らなくて良かった」と感じたのではないだろうか。
楽屋から出てきた男は、プレスリーが着の身着のまま宇宙へ脱出したような出で立ちである。おまけにビール持ってるし。登場シーンだけ見ると、手の込んだ忘年会の隠し芸のようだ。しかも女子社員がちょっと引いてるくらいの。 |
楽曲は主に、リズムボックスを使ったブルースである。カントリーやロカビリーを感じさせるフレーズが散りばめられた彼のギター・テクはかなり高いのだが、やはり一人でやるには限界と言う物があり、リズムはかなり際どい。だが、そのローファイさがむしろ不思議な存在感を生む。このアメリカ人はなぜこんな格好でこんな事をやっているのだろうか。なんだかちょっとだけ悲しくなる。一曲終わるとハアハア言って、肩で息してるし。シーンとした場内に苦しそうな息遣いだけが響く。言葉が通じないから妙な間も生まれて、妙に侘しくなる。バカだが、深い。本当のバカとは、我々に難解な問題を叩きつけるものだ。 |

こんな書き方をしていると、全然盛り上がらなかったかのようだが、そんな事は断じて無い。「Enybody girl! (have) Question? ・・・(沈黙)・・・ Question time is over!!」や、「カンパーイ!(メットを持ち上げてビールを飲む)・・・オイシーイ!」などのやり取りではドッカンドッカン盛り上がっていた。
唐突に「Oppai in My Scotch (whisky)!!」と叫び、観客の女の子にコップを渡しておっぱいを搾らせる(もちろんフリだけです。念のため)。今度はそれを飲みながら一人一人、「うーん、君は22歳だね?」だの「うーん、君は青いホンダに乗ってるね?」だの言い出す。黒電話の受話器をぶち込んだようなヘルメットをかぶって。 |
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その後もチューニングに失敗しては「Oh No!! Oh Shit!!」と唸り、ピックを失くしてオロオロし、そして「ヒザニ ノッテ クダッサ〜イ」である。この日ヒザに乗った二人の女の子は、以前にも乗った事があったそうだが、それにしちゃスカートが短すぎやしないか。見てるほうはハラハラしたよ。バスドラ乱打のたびに。
それにしてもこの物体は何だ。2人の日本人と一人のアメリカ人と楽器で構成されるその物体は、まさにキメラのようだった。
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しかし冷静に戻ってプレイを見てみると、そのテクに脱帽する。だって、普通こんな状況じゃ弾けないよ。加えて足元もろくに見えない状況でこれだけ叩けて踏めるのは、絶対に尋常じゃない。なのに曲が終わった後、女の子から「おっぱいキーホルダー」をもらい、それをスコッチに入れて飲み出す。時折ギターヒーローに見えたり、ただのバカに戻ったりする。これは左脳では理解しがたい。
アンコールでは豆を撒いたが、「福は内」が言えなかった。ラストではリズムボックスを使わず、純粋にギターとバスドラ、ハイハットのみでの演奏を披露。ただのお笑いミュージシャンじゃないんだよ、という所を存分に見せてくれた。
使える楽器が限られているため、どうしても似たような楽曲が多く、純粋なライヴとして見ると、やっぱり物足りない事実はあった。けどそんな事は二の次だ。物凄くバカなのに考えさせられる、けど最後には思考を停止させられる、Bob Log Worldを堪能せよ!!
reported by SHUUMA NOGUCHI photo by Q-TA |

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