The ピーズ @ 札幌Bessie Hall (24th Apr.'04)
8ビートって、やっぱりかっこいいんだあぁ -- part1 --
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あちこちで真夏日を記録してんのに、雪降ってるさ。もう、さすがにうんざり。がっかり。でも、会場前には長蛇の列が作られていた。札幌では8年ぶりとなるTheピーズのライヴなのだ。02年夏に彼らが動き出してから、この日を待ち望んでいた人々が押しかけている。しかも女性がとっても多い。「ザーメン」とか歌ってるバンドなのに不思議だ。
その観客の期待感の大きさは、登場時の大歓声に顕れた。一人一人に向けられる歓声、拍手の大きさが会場を一気に埋め尽くす。ギターのアビさんのキメキメリーゼントに胸をはだけた紫のシャツというルックスがいい。はるはちょっと遅れて登場する。トイレに駆け込んでいたようだ。その歓声に応えるように、ステージ上で、両手を広げてはしゃいでみせる。なぜか安心するような、不安になるような複雑な気持ちになってしまう。
「いくぞホッカイドォー」というシャウトから、「眠る前に一発」が放たれる。ルーズな8ビートだが観客は大きな波となる。
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今回、ドラムを担当しているのはTHE PILLOWSのシンイチロウだが、彼のドラムとはるのベースが作り出すグルーヴが本当に素晴らしい。8ビートのロックンロールってこんなに踊れるかってくらいのノリが観客の大きなうねりを生み出している。何だか、STONESとかDR.FEELGOODとか、そういう本格派を思い起こさせる。腹の底から「踊りたい!」という気分が止まらなくなる。ルーズな8ビートで、こういうノリが作り出せるバンドって、本当にカッコイイよ!とロックンロールの魅力を再認識させられる。
アビさんのギターからは、ルックス通り、ロックンロールのマナーを踏まえながらも、ちょっと垢抜けないフレージングが飛び出してくる。ギターソロとかで、前に出てきて、積極的に弾きまくって、ソロが終わりそうになると下がる、というような、ちょっと古典的でイナたい感じがプレイにも現れている。それが凄くいい感じにハマっていて、観客にもメチャクチャ受けている。
だから、アンサンブル自体がバンドイメージをしっかり表現しているのだ。バンドってこうあるべきだな、と思う。「ブロイラー」みたいにビートのタメが生きるような曲だと、グルーヴの強さが圧倒的な魅力を放つ。なんかもう、曲のテンポとか流れるリズムの形式とかどうでもよくて、どんな曲でも体がノってきてしまう。もう、ピーズのロックンロールに脊髄が支配されてしまっている。
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そして、はるの歌う言葉が、脳に突き刺さってくる時はとても刺激的な瞬間だ。「死にたいやつは死ね」とか「バカはずっと待って/だまっているだけ」という言葉は、こうして文字で書くと、ちょっとひどいなと思うけれども、ピーズのロックンロールの音でこの言葉が放たれると、聴き手それぞれの頭の中で、さまざまなイメージが付加されていく。結果、観客全員笑顔で大合唱という、凄くポジティヴな景色へと変わっていく。矛盾した光景を現出させる刺激っていうのは、ロックの凄く重要な魅力だ。Theピーズの素晴らしさは、それをシンプルな8ビートで、粋にやってみせるところだ。
「日が暮れても彼女と歩いていた」では、はるの言葉が持つロマンチシズムが露になっていく。「気が触れても彼女と歩いていた」という歌声には、かなりぐっときた。はるという人の持つ言葉には、凄いロマンチストな側面がある。それがわかりやすく現出するのが、こうした曲だと思うけれど、そのロマンティシズムは、多くの曲で感じとることができる。
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reported by ysmz and photo by q_ta
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