SUM 41 @ Saitama Super Arena (26th Feb '05)
SUM 41は止まらない
SUM 41日本横断ツアーがスタート。さいたまスーパーアリーナでの公演に行ってきた。しつこいようだけど、初来日をクアトロでやったのがつい3年前。小規模から、一気に中規模のハコをすっ飛ばして、ずいぶん大きな会場でやるバンドに急成長してしまったもんだ。思えば去年のサマーソニックで久々に日本に戻ってきたサムのライヴは、観客を沸かせるどころか爆発させまくっていた。打ち上げ花火のように高く舞うクラウド・サーフィン、ねずみ花火のような勢いで回るモッシュの渦。L/R前方ブロックでアヴリルやグリーン・デイの出番を待っていた人たちは、その爆発ぶりに悲鳴を上げたことでしょう。その渦の中心になるような若さと力溢れるキッズたちが、顔を真っ赤にしながら恐怖に歪んだ表情をしてブロック後方に逃げてきた姿を見て、前方の地獄絵図が想像できた。簡単に足を踏み入れるもんじゃないと、恐れおののいて前に進む足がすくんで、少し距離を置いた位置からのライヴ観覧を余儀なくされた。大トリのグリーン・デイと同じくらい観客を引き付けるパフォーマンスをしてたっけ。
そして、この日のスタンディング・ブロックも、その日の再現のようにぎっしり詰め込まれた人々が、お団子のように固まって、サムが放つ怒涛の激烈サウンドを浴びながら、激しい死闘を繰り広げていた。観客が掲げる拳は、黄色のライトに照らされて、それはまるで田んぼで風に揺られる黄金の稲穂のように見えた。右へ左へとゆったりと揺れている。実際はゆったりとなんて優雅なもんじゃないだろうけど、火の粉を被らないスタンド席から見ていると、拳の動きがスローモーションで見えたりする。その光景は芸術的とも思えるほど。ちょっとその芸術の一部になりたい気持ちもあったけど、中に入れば酸素を求めて上を向き、魚のようにひたすら空気を求めてもがき苦しむのが関の山。たまには誰にも押されることなく、落ち着いて高みの見物っていうのもいいもんだ。
ライヴ初っ端、いきなりスクリーンに映し出されたショート・ムーヴィー。海外のライヴでは、大人たちが目を吊り上げて非難したといういわく付きの映像。でもそんなことは痛くも痒くもないのがサム。お構いなしに日本でもその映像が流された。冗談と笑い飛ばすにはあまりにもリアルで生々しい映像とコメディ・タッチの展開で、観客からは笑いとどよめきが混じる複雑な空気が流れていた。いつまで続くんだ・・・、誰もがそう思っていた頃、血のりのついたエプロンをつけたスティーヴォがチェーンソウを片手にドラムセットに登場。何の演出なんだか。やっぱりおふざけは彼らの十八番。エンターテイナーSUM 41は健在だったのだ。
デリックの喉の不調がニュースで取り上げられて間もない来日だったので、少し不安もあった今回のライヴ。不安を抱いたのが申し訳なく思えるほど、不調も綺麗さっぱり忘れさせてくれる飛ばしまくりのパフォーマンスとデリックの歌声。動きもスピードもさすが豪快。"The Hell Song"から始まり、拳を下ろす暇も、体の動きを止める隙も与えず、歌わずにはいられないサム・パンクは、さすが爽快。乗ってるだけで気分も晴れる、頭も空になる。新作からの"We're All To Blame"では、観客が申し合わせたかのように、オール!トゥー!ブレイム!で見事に息の合ったジャンプをして、その一糸乱れぬ動きは見ていて心底気持ちがイイ。申し合わせるというか、CDを聴いていればライヴの臨場感たっぷりで、飛ぶポイントは全員一致で頭にインプットされていたみたいだった。
新作『Chuck』では、今までにないスローでシリアスな曲が一際目立ち、ソングライティングの成長ぶりを窺わせた。それを代表する曲が"Pieces"。デリックがピアノを弾きながら歌い、今までのサムのライヴからは想像できないパフォーマンスで、新局面を披露。エルヴィスの歌を歌ったりっていうのも、今までにはなかった余興の一つで、なんでそこにエルヴィスなんだかわからないけど、デリックのなりきりぶりが観客の笑いを誘っていた。
アンコールに、まずは『Chuck』から"No Reason"。Introから続くこの曲は、CDを聴いているだけでも、胸が早鐘のように鳴る、ライヴで体験するのと同じ緊張感と高揚が味わえる曲でもあり、サム特有の切なくもキャッチーなメロディとハーモニーが胸に突き刺さる曲。ライヴでも、もちろんCDと比べて遜色なく期待感を煽って盛り上げていった。アリーナからもスタンド席からも、勇ましい掛け声がサムに向けて一斉に放たれた。続けて荒れ狂う"Still Waiting"、そしてこの曲なくしてサムのライヴは終われない"Fat Lip"。花火大会のラストを飾る速射連続花火のようなアンコール。花形ソングの連打だ。これだけ聴きにライヴに行っても大満足できる。忘れちゃいけないスティーヴォの雄たけびファルセットが響き渡る"Pain For Pleasure"がラストを華々しく飾る。誰もがこれがラストと承知していながら、名残惜しさを歓声で消すように一段と盛り上がり、ライヴを締めくくった。サムのライヴは最高に楽しい。ライヴが終わっても、グッとくるメロディと迫力のライヴが忘れられず、飽きることなくCDを聴き続ける日々を送っているのだ。
SUM 41は、容姿も精神面でもずいぶんと大人になった気がする。一番幼く見えたデリックの顔が、骨張って少し憂いを帯びた表情で男らしくなっていて、サマーソニックで見た彼の変化にかなり驚いたのを覚えてる。お気楽爽快で茶目っ気たっぷりだった彼らが、何かしらの使命感のようなものを抱き、音楽を通してキッズのリーダーとなる自覚を持って、新しいCDを出すごとに成長をしてきているように思う。シリアスな曲にも取り組んで、色んなバリエーションの曲を作っていく経過は、グリーン・デイと少しダブる。ステージ上でのデリックの動きは、まさに、ビリー・ジョーの観客を指揮する姿とよく似てたし(今のシングル"Pieces"の曲調とビデオも、グリーン・デイの" Boulevard Of Broken Dreams"と重なる)。メロディアスでかつキャッチーなサム節、ヤンチャぶりと度肝を抜くユーモアのセンスを残しつつ、新しい側面を見せるSUM 41はとどまるところを知らないのだ、これからもきっと。
【演奏曲目】
The Hell Song / My Direction / Over My Head / A.N.I.C / We're All To Blame / Nothing On My Back / There's No Solution / No Brains / Some Say / Machine Gun / Welcome To Hell / Make No Differences / Pieces / The Bitter End / Motivation / 88 / No Reason / Still Waiting / Fat Lip / Pain For Pleasure
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