buttonピールアウト @ 福岡ドラムサン (11th Jun '05)

ツアー初日、福岡ラストライヴ。とにかくライヴへ行け!

Pealout
「レポートなんて書きたくない」

 見終わった時にそう思った。このライヴがすべてだった。それを説明する言葉なんて本当はない。まだ行こうかどうしようか迷っている人や、東京のツアーファイナルのチケットがとれなかった人は、この後の札幌でも名古屋でも大阪でもいい。絶対に見に行くべきだ。自分がピールアウトからもらいたいと思っている答えのすべてがステージにあるから。
Pealout  "one"のメロディにのってメンバーが現れ、"QUEST"でスタートした"PEALOUT LAST STAND 響音 最後の狂鳴"初日。最初から気合いは十分だし、その振動で床が揺れるほどだったけれど、ステージもフロアもなんとなく堅い。無理もないだろう。福岡では昨年10月以来のワンマン、「待ってました!」という気持ちと、とうとう始まってしまった、これが最後、悔いだけは残さないように_と、いろんな思いが交錯しているのだから。しかし、3曲目"The Way"のイントロが流れると一気に緊張が解け、ライヴが動き出した。ここでおこるすべてのことを見てやろう、とばかりに鋭い視線を走らせながら鳴らす岡崎善郎のギターがステージとフロアの間にあった壁を突き破った。
Pealout
「100人の人がいれば、100人の世界がある」

 完全に火がついて理性がなくなった"心臓が動き出すとき"で、近藤智洋がそう唄っていた。ドラムサンの中はその言葉そのものだ。会場に集まったお客さんは地元福岡はもちろん、大阪、佐賀、岡山、山口、東京など、実にさまざまな地域からやって来ていた。その中には、ピールアウトを観るのは今日が最後という人もいれば、ラストツアーの5ヵ所を全部まわるその1発目という人もいて、ステージを見上げる気持ちはそれぞれ違うものだったと思う。メンバーのあおりに応えてシャウトする時も、グッとくる場面も、思わず涙する曲も違う。けれど「ピールアウトが好きだ」という気持ちは共通していて、だからこそ、それぞれのスタイルで踊って、ジャンプしているはずなのにいつのまにか同じうねりができ上がる。"ROLLS"で感じた、狂喜の渦がすべてのものを巻き込んで立ち登ってくるような感覚。これは、みんな(お客さんとメンバーとスタッフと。その場にいた人全員)の熱が一体になってできたものだった。
Pealout Pealout  笑顔だったり、叫んだり、時には涙を流したり。もう、誰もが包み隠すことなく感情をあらわにしていた。そのなかでも、ひときわいい顔をしてドラムを叩く男、高橋浩司。もともとライヴ中の表情は豊かな人だけれど、いつもの何倍もの笑顔でライヴを楽しんでいる。"PLANET ANIMALS"での絶叫雄鶏ヴォイスはダンス・タイム開始の号砲だし、"爆裂世界"でこの人が立ち上がって指を突き出せば、サビのループもう1回! の合図。ここで会場中の腕がうわっと上がったときは胸がスカッとした。もう、これから何が起こってもいい、やりきった! と思えるような爽快感があった。曲の最後、ドラムがダーン!と鳴らされて本編は終わり_? と思っていたら。近藤さんの「これで終わりだと思うやろ?」という不敵な笑みで始まったのは"Beat For Your Right"。この時のドラムソロは「渾身」という言葉がぴったり。カッコいいよ、高橋さん! 途中でピアノ岡崎、ベース近藤にスイッチなんて場面があったり、ステージ前の柵に上ってつかまる場所のない近藤さんをお客さんがささえたりと、思う存分なんでもやっちゃってください! という自由な空気が、これでもか! とばかりに流れていた。
「岡崎善郎、高橋浩司、近藤智洋、ピールアウト!!」「ありがとう、福岡!」で本編は終わった。でもこれでライヴを終わりにする気はさらさらない。アンコールに応えて戻ってきた近藤さんがついた位置は_。 おぉっ、ドラム近藤!? 福岡スペシャルフォーメーション誕生か? なんて冗談もはさみつつ。それぞれの定位置について近藤さんが言った。「言いたいことは、次の曲ですべていいます」。流れてきたのは"Peace,Energy And Love On Unchained Time"。この曲について説明する言葉を私は持っていない。それじゃあ、レポートにならねえだろ! とお怒りの方スイマセン。だけど、とにかくその目で見て、耳で聴いて、全身で確かめて欲しい。ここで言えることはそれだけ。"Let Me Sink In The Deep Reddish Sky"が終わって立ち去ろうとする3人に「帰るな! まだやれー!!」という声が飛んだ。
 その声に応えてアンコール2回目。"God Knows I'm Probably A Sin"、"YOU"に続いて聞こえてきたのは "C.M.C."だ! 福岡でこれ聴かなきゃ終われないでしょう!! もはやピールアウトのオリジナル。この土地でこの曲をやってこんなにハマるバンドは他にいない。 Pealout
 3回目のアンコール。岡崎さんが「思い描いていた光景より素晴らしい一夜だった。悔いナシ!」と話していたのだけれど、それは観る側も同じだった。同じ気持ちと同じ空間を共有した3時間半。激しい曲も、静かな曲も、懐かしい曲も、新しい曲も。アンコールも含めて全37曲、全部がピールアウトだった。今、3人は同じ方向を向いて走っている。それを見て、自分も同じ方向を向いて走っていることを感じて、大満足したから、客電がついた会場に涙はなかった。みんなすごくいい顔をしていた。

 ライヴ終了後、燃えて燃えて、燃えカスのようになったメンバーの姿があった。福岡では燃え尽きたけれど、火種はまだまだ残っている。目の光は失われていない。何度でも炎上して、何度でも燃え尽きるのだろう。

 ここからは1本、1本全部がラストライヴだ。
Pealout
-- setlist --

1. QUEST / 2. Jet Desire / 3. The Way / 4. New Soul / 5. (When You're)Lost in Hell / 6. April Passenger / 7. Be / 8. Stand / 9. 心臓が動き出すとき / 10. 11:15 / 11. WEAPON / 12. Before Today / 13. 透明の景色 / 14. Lucky Star / 15. FEEL / 16. 旅人の歌 / 17. Universal Heartbeat / 18. 静かな奇跡 Chapter.1 / 19. GOODBYEBLE / 20. ROLLS / 21. Fly High / 22. 15人の漂流者 / 23. HEIDI / 24. LIFE / 25. EVERYTHING / 26. Sunday Rainbow / 27. PLANET ANIMALS / 28. 爆裂世界 / 29. Beat For Your Right

-- encore --

1. Peace,Energy And Love On Unchained Time / 2. Let Me Sink In The Deep Reddish Sky

-- encore 2--

1. God Knows I'm Probably A Sin / 2. YOU / 3. C.M.C.

-- encore 3--

1. PIANOMAN R&R Shake Shake Shakes / 2. Suicide In Youth / 3. AGAINST


report by wacchy and photos by hanasan


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