focus on Vocie Osaka 1 feat. 篠原信夫 (ブロンディ・プラスチック・ワゴン)、 フリルズ (あゆ子 from ジェリー・リー・ファント)、 近藤智洋、ジョウミチヲ(ダスク)、O.A喜多寧 (マホロバガクザ) @ 心斎橋クラブ・ジャングル (28th Oct '05)
声の表現者
「Voice」という単語を辞書で引くと、よく知られている「声」という意味のほかに「表現、表明」という言葉がでてくる。"focus on VOICE OSAKA 1"に集まったアーティスト5人は「声の表現者」だった。主催者の2人ジョウミチヲ(ダスク)、篠原信夫(ブロンディ・プラスチック・ワゴン)はいうまでもなく、全員が個性的かつ魅力的な声の持ち主。それぞれが楽器ひとつと声だけで自分の世界を伝えていた。
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会場となった心斎橋クラブ・ジャングルはお客さんも出演者も靴を脱いで入る座敷スタイル。板の間にテーブルが置いてあって、座布団に座って、そこで食べたり飲んだりできる。居酒屋風といえば伝わるだろうか?ライヴハウスに入るのに靴を脱ぐのも初めてなら、靴下で弾き語りをするミュージシャンを観るのも初めてと、なにやら初めて尽くし。そんな場所だからか、お客さんも始まる前からワイワイがやがやリラックスムード。それでも、演者が登場すると、空気がピリッと引き締まった。
オープニングアクトは地元から参加の喜多寧(マホロバガクザ)。ガットギターを抱え、独特の抑揚をつけて唄われる歌は、無視できないというか、一度聴くと気になって仕方がなくなる。バンドでは三味線を弾いているとのことで、そちらも観てみたいなと思わせるのに十分な存在感だった。
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東京遠征組は篠原信夫から。ライヴ前に声を聞いたときは、絶好調とはいえない感じだったが、唄い始めればさすが、の通る声。バンドのライヴでもやっていないというブロンディの新曲から「友達が引っ越すときに頼まれて作った」という曲まで淡々と進めていく。後半の"Lounge"と、弾き語りでは定番となっている曲"バラの花"では、聞きほれる観客の意識がステージただ1点に集中していくようだった。
今回の出演者は普段やっているバンドとは違う、--メンバーがいないとか楽器が1種類とかいう物理的な違いだけでなく--、音楽を聴かせてくれるのも興味深い。3番手に登場したフリルズ(あゆ子 from ジェリー・リー・ファントム)は、ジェリー・リーの楽しくてみんながダンスしていてミラーボールが回っている、というライヴからはかけ離れた音楽性。ヴィジュアルもバンドとは変えてしっとりオリエンタルな雰囲気で歌い上げる。切ない気持ちや、女の子のかわいさが見える歌。そこにはバンドとの違いを出したいという意志が背景に見えてくる。
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この日はオリジナルはラスト1曲のみ、自分が今好きな曲のカヴァーを聴かせてくれた近藤智洋。人の曲とはいえ、オリジナリティがあるし、新しい音楽との出会いにもなるから聞き応えはある。とはいえ、地方のライヴでカヴァー中心というのは珍しいのでは? その理由を聞くと「大阪には8月、9月と来ていて、同じようなことをしても仕方がないから」。
"バンドとの違いを出したい。毎回違うライヴを見せたい。"
フリルズ、近藤智洋、どちらからも「表現者」としてのこだわりを感じるではないか。
素晴らしい表現者たちの最後を飾ったのはジョウミチヲ。この人のライヴを観て思ったのは、いつでもどこでもマイペースだよなということ。東京でも、北海道でも、大阪でも。思いっきり歌い(バンドがいても負けないくらいの大声量)、よく話し(時には笑わせて)、すべてを自分の流れにしてしまう。カヴァー曲すらオリジナルのように聞こえるくらいだ。それくらいのアクの強さを持っているって、アーティストとしてすごいことだと思う。ラストの1曲は篠原さんがギターで参加。この光景は前回の東京でも観たけれど、今回はさらにいい感じ。リハもあまりできない状況だったのに。ライヴは生き物、これだからおもしろい。
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最後はサイン入りTシャツ争奪ジャンケン大会があったりして、盛況のうちに幕を閉じたfocus on VOICE OSAKA 1。MCでジョウさんが「今回は『OSAKA 1』というタイトルで、なんで1かというと2があるからなんですよ」といっていたとおり、大阪では2回目が、東京では6回目がすでに決まっている。このイヴェントがコンスタントに続く理由は、単純に「いいイヴェントだから」だと思う。篠原信夫とジョウミチヲが創るのは、ただ静かでまったりしたアコースティックライヴではなくて、激しさを感じる曲もあるし、MCでは大いに笑わせてくれたりもする。見終わった後に「楽しかったな、また観たいな」と素直に思えるライヴだ。それから意志。主催者の二人が意志ある音楽を見せてくれているから、そこに同じ気持ちを持ったミュージシャンが集まって毎回素敵な空間を作りだしているのだ。次はどんな人たちがどんな音楽を表現してくれるのか? 次回は東京が1月14日、大阪は1月21日に開催される。
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Set list
篠原信夫
1. Across The Universe/2. 羽根を広げた時/3. 月面/4. 新曲/5. The Way from Home/6. Lounge/7. バラの花
フリルズ
1. 愛の奇蹟/2. Me and him core/3. 桜色の雨が降る/4. ハレルヤ/5. 愛してるもの/6. 赤い月/7. I can believe Soul/8. Darling
近藤智洋
1. To Here Never Come(dip) /2. 愛だろう(Date of Birth) /3. Heaven(D’f) /4. 落とし穴しかない場所(Powder) /5. 36℃(The moonbeam) /6. 走る風のように、落ちる雨のように
ジョウミチヲ
1. Basement Melody/2. New Song/3. Liscence To Sing/4. 三番目に大事なもの(RCサクセション) /5. True Blue/6. Lovecatcher/7. Lake
focus on VOICE 6 @ 下北沢440 2006年1月14日(土)
act:ジョウミチヲ、篠原信夫、吉村潤、新井仁(Northern Bright)
問 下北沢440 TEL03-5481-4143
focus on VOICE OSAKA 2 @ 心斎橋クラブ・ジャングル 2006年1月21日(土)
act:ジョウミチヲ、篠原信夫、吉村潤、新井仁(Northern Bright)
問クラブ・ジャングル TEL06-6268-1120
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photos and report by wacchy
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mag files : the blondie plastic wagon
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