button近藤智洋
@ 三軒茶屋グレープフルーツムーン (22nd Apr '06)

多彩な力を感じてほしい
Tomohiro Kondo
 もっともっと、色んな人に観てもらいたいと思った。このライヴを横目で見て素通りしてしまうのはもったいない。会場を見渡すと女の子が多いのだけれど、男の人にもグッと来るものは必ずあると思うし、「このバンドすっげえ!」と目を見開く瞬間も多々あるだろう。だから、ちょっとでも"近藤智洋"という名前に引っ掛かりを感じた人は、とにかく一度ライヴに足を運んで欲しい。

Tomohiro Kondo  毎月恒例の三茶ワンマンは、城戸くんが立ったまま叩く重たいドラムが響く"Mona"でスタートした。ステージに立つ4人の間にはピンと張ったいい緊張感が見える。まっすぐに前を見据えて歌う近藤智洋を先頭に、感情をたたき込むように頭を振りながらドラムを叩く城戸紘志ら、リズム隊がしっかり後に続く。飛行機のアクロバット飛行をする人たちが「誰かに合わせようと思ってスピードを落としたら絶対に合わない。それぞれが全力で自分のポジションを攻めて、はじめてきちんとしたフォーメーションになる」と言っているのを聞いたことがある。去年の10月から始まったこのバンドは、今まさにそういう状態にあるようだ。

 自然と体が揺れるような気持ちいいテンポのバンドサウンドから、前半の終わり3曲はパーカッション・ピロとピアノ&ギター城戸の3人でアコースティックセット。 Tomohiro Kondo これがまた見ごたえ十分の素晴らしさなのだ。モノクロの映像にピンポイントで色をつけたような風景が頭の中でループする"Colors"、ピアノのフレーズが切なさを誘う"真夜中のコード"、そして"ここから"。この曲では、近藤さんは歌と最低限のピアノの音で世界を表現した。シンプルな構成だからこそ、たくさん伝わるものがあることにハッとさせられる瞬間だった。

 後半を始める前にうれしいハプニングがあった。いつも友達のミュージシャンが遊びに来ると1曲歌って帰るのが恒例となっているのだが、この日は今までで最多人数のゲストが登場。 ジョウミチヲ、篠原信夫、吉村潤、それから毎月1曲オリジナルを歌っている"シンガー"城戸紘志の4人が1曲づつ歌っていった。それぞれに表現する世界は違うけれど、みんな近藤さんが好きでここに来た、という点では共通している。そういう人が集まってくるライヴ、それで気楽に歌っていけるライヴって暖かくていいな、と思う。

 ピアノセットで始まった後半の見どころは"勢い"だった。イントロを聴いただけでぐわっと気持ちが上がる"Your Bike Ride"から、そのままのスピードでギターにチェンジし"走る風のように、落ちる雨のように。"〜"恋に落ちたままで"〜"Bare Foot Diaries"と続いた流れは圧巻。体全体でギターを鳴らし、自分の中のすべてを声にする。歌うことしかできない、音楽をやっていないと生きていけない人の本能みたいなものが溢れ出ているのが見えて、目が離せなくなった。心が震えた。恒例のピロVS城戸のパーカッション対決も、ここでしか観られない、こんなに間近で観られることを幸せに感じずにはいられない、 Tomohiro Kondo ものすごいレベルのものだ。一心不乱にドラムをたたく城戸くんが千手観音に見えたのは私だけではないはず。ラストの"Bambino Step"が終わっても、興奮冷めやらぬまま当然のようにアンコール。本編の激しさから一転、演奏のかわりに"静かな世界へ"のPVで締めくくった。熱くなった頭だけクールダウンさせて、芯の熱は残したまま。

 ストレートなバンドサウンド、心に忍び寄ってくるアコースティック、感情を剥き出しにして突っ走ったラストスパート、静かに流れる映像。あんな顔もこんな顔も観られる展開力のあるライヴだった。ワンマンとはいえ、1本のライヴでここまで違う空気を吸い込めることはなかなかない。今の『近藤智洋』からはいろんな力があふれ出ている。


※ファースト・アルバム 『近藤智洋』6月14日発売! 
詳細はオフィシャル・サイト

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