近藤智洋 @ 福岡クロージング・タイム(15th Jul '06)
いい歌といい空間、いい時間
7月15日の福岡は熱帯地獄だった。ここはきっと日本じゃない…、いや、これがホントの日本の夏なのか…? そんな愚問が頭の中をぐるぐると回ってしまうくらいの暑さ。だくだくに流れる汗をぬぐいながら入った近藤智洋弾き語りワンマンの会場。そこは外の殺人的な熱気を忘れさせるように柔らかく、ゆるやかな空気が流れていた。窓からは灼熱の日を名残惜しむようにゆっくり沈んでいく夕陽が差し込んでいる。スポットライトのような日の光に照らされて近藤智洋はステージに立っていた。場内の温度が"熱"ではなく"暖"なのは、近藤さんが弾き語りの時に持っている空気と、地元での帰郷ライヴという要素が重なっているからだ。北海道シリーズの時はいいライヴを見せたい、初めてみる人たちにも自分の歌を伝えたいという気持ちが強く、良くも悪くもどこか力が入っていたと思う。でも今日は客席に知っている顔も多い中、余計な力が抜けて眉間のしわもなく、表情も穏やかに見える。
「野外でやってるみたいやね」。
リクエストがあったというザ・ルースターズの"She Made Me Cry"から始まって、30分ほど。いい感じに暮れゆく外を観ながらそういって歌いはじめたのは"灯がともる頃"。窓に映る風景と曲があまりにもぴったりで、ステージより外ばかり観てしまったのだけれど、言葉もメロディも自然に周囲に溶け込んで、曲の世界が映像で流れているようだった。そういう歌と瞬間に出会えたことに感謝。
アルバムの曲に加え、最近観た映画のエンディングで流れていたというThe Smithsの曲や、定番になりつつあるジョーン・オズボーンの"One Of Us"とカヴァーを交えながら、表現力の豊かな弾き語りを見せていく。ラスト3曲は身軽な弾き語りだから作れる自由な空間にゲストを迎え、福岡でしか観られない特別なセッションとなった。3月に同じ会場でライウ゛をした時に対バンしたトミー&アジのアジくんが入っての"走る風のように、落ちる雨のように。"、"Barefoot Diaries"、"恋に落ちたままで"。アジくんはウ゛ォーカリストを引き立てる太鼓叩きだ。じっと近藤さんを見つめながら、音と歌の中にある熱を感じ取ってそれに応えようとジャンベを操る。土の匂いがするリズムにのせて、おさえたテンポでうたわれた"走る風のように、落ちる雨のように。"はここでしか聴けないのはいうまでもなく、感覚的にもすごく特別なものとして気持ちを惹きつけられた。ジャンベの大陸的な音のせいなのか、なんだかTVで観たインディアンの集会に参加しているような気分。酋長が歌って、周囲の人たちはその言葉に吸い込まれていく。
ギターとジャンべの音が止んで、夢から覚めた、と思った一瞬。アジくんと一緒に演奏して、すごく楽しかったという笑顔で「ありがとう」と近藤さんがステージを降りていった。こちらも拍手をしながら思わずニコッとしてしまうようなライヴだった。いい歌といい空間、いい時間。近藤智洋はそういう"場"を生み出せるアーティストだ。
"近藤智洋ライウ゛スケジュール"
7月19日:名古屋 クラブ・アップセット
7月20日:大阪 梅田ハードレイン
7月22日:三軒茶屋グレープフルーツムーン(弾き語り)
7月25日:下北沢クラブ・キュー
*詳細はオフィシャル・サイトでご確認下さい。
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mag files : 近藤智洋
いい歌といい空間、いい時間:(06/07/15@ 福岡 クロージング・タイム) :review and photos by wacchy
最初の一歩。:(06/07/10@ 札幌スピリチュアル・ラウンジ) :review by wacchy ,photos by q-ta
photo report:(06/07/10 @ Hall Spiritual Lounge) : photos by q_ta
北の大地に刻む足跡:(06/07/06〜09 @ 北海道) :review and photos by wacchy
photo report:(06/06/24 @ 三軒茶屋グレープフルーツムーン) : photos by wacchy
Interview : 近藤智洋ファミリー:(06/05/27) : interview and photos by wacchy
Interview : 『鳴っている音は自分の中にずっとある。』:(06/05/12) : interview and photos by wacchy
今伝えたいことを、今の声で。:(06/05/10 @ 下北沢 440) : review by wacchy,photos by sam
photo report : (06/05/10 @ Shimokitazawa 440) :photos by sam
多彩な力を感じてほしい : (06/04/22 @ 三軒茶屋グレープフルーツムーン) : review by wacchy photos by izumikuma
photo report : (06/04/22 @ Grape Fruit Moon) :photos by izumikuma
特集:『近藤智洋・ライヴ週間記』: (06/03/16-25 Tokyo,Sapporo,Asahikawa,Fukuoka) : review and photos by wacchy
下北沢のような…、でも間違いなく札幌の空気: (06/03/18 @ Sapporo Spiritual Lounge):review by wacchy photos by q_ta
photo report : (06/03/16 @ Shimokitazawa Club Que) photos by wacchy
Interview : 『もっと唄いたいっていう気持ちは、10年間変わっていない』:interview by wacchy, photos by saya38
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2006
いい歌といい空間、いい時間:(06/07/15@ 福岡 クロージング・タイム)
最初の一歩。:(06/07/10@ 札幌スピリチュアル・ラウンジ)
北の大地に刻む足跡:(06/07/06~09 @ 北海道)
残りあと1回…個性派ウ゛ォーカリストの集い:(06/07/02 @ 心斎橋クラブ・ジャングル)
photo report:(06/06/24 @ 三軒茶屋グレープフルーツムーン)
"楽しい"ってこういうことだ!:Pop Save Us Vol.3(06/06/17 @ Shimokitazawa Basement Bar)
photo report:Lonesome Dove Woodrows(06/06/17 @ Shimokitazawa Basement Bar)
photo report:Dusk(06/06/06 @ Shimokitazawa Club Que)
CD Review:『近藤智洋』近藤智洋
Interview : 近藤智洋ファミリー:近藤智洋バンド(06/05/27)
Interview : 『鳴っている音は自分の中にずっとある。』:近藤智洋(06/05/12)
『今伝えたいことを、今の声で。』:近藤智洋(06/05/10 @ 下北沢 440)
『多彩な力を感じてほしい』:近藤智洋(06/04/22 @ 三軒茶屋グレープフルーツムーン)
声の続きが観たくなる:コントロール・フリーク!!(06/04/21 @ 吉祥寺プラネットK)
CD Review:『On The Street』新井 仁
CD Review:『シルトの岸辺で』Beyonds
『近藤智洋・ライヴ週間記』 : 下北沢/札幌/旭川/福岡 : 近藤智洋(06/03/16-23 @ Tokyo,Sapporo,Asahikawa,Fukuoka)
photo report:Hariss(06/03/19 @ 旭川カジノドライウ゛)
下北沢のような…、でも間違いなく札幌の空気 : In The Air(06/03/18 @ 札幌スピリチュアル・ラウンジ)
photo report : Tomohiro Kondo(06/03/16 @ Shimokitazawa Club Que)
photo report : Beyonds(06/02/17 @ Daikanyama Unit)
楽しくてカッコいい。それがアンダーステイトメンツだ! : アンダーステイトメンツ(06/02/02 @ 新宿ロフト)
進化するアコースティックイウ゛ェントF.O.V : Focus On Voice Osaka 2(06/01/21 @ Shinsaibashi Club Jungle)
2005
声の表現者 : Focus On Voice Osaka 1(05/10/28 @ Shinsaibashi Club Jungle)
三色音色 : 近藤智洋、花田裕之、古明地洋哉 (3rd Oct @ 三軒茶屋グレープフルーツムーン)
夢うつつ : Jude (7th Oct @ 渋谷AX)
「帰れっ!」て言われても帰らない!! : Lonesome Dove Woodrows @ Shimokitazawa Shelter(5th Oct '05)
笑顔の種をもらった夜 : the castanets (19th Sep @ 下北沢クラブ・キュー)
真っすぐにロックする男達 : Bandwagon (17th Sep @ Shimokitazawa Shelter)
Nobuo Shinohara & Michio Joh : Focus On Voice V (2nd Sep @ Shimokitazawa 440)
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はじめまして、あふりらんぽ。また会いましょう、あふりらんぽ! : あふりらんぽ (18th Aug @ 下北沢シェルター)
「PEALOUT LAST STAND 響音 最後の狂鳴」レポートを終えて : ピールアウト (1st Jul @ 渋谷クラブクアトロ)
ツアーファイナル、東京。会場に溢れた"Peace,Energy And Love" : ピールアウト (1st Jul @ 渋谷クラブクアトロ)
大阪は最後まで熱かった! : ピールアウト (26th Jun @ 心斎橋クラブクアトロ)
長くて短かった名古屋の夜 : ピールアウト (24th Jun @ 名古屋クラブクアトロ)
photo report : Pealout (24th Jun @ Nagoya Club Quattro)
「ありがとう札幌!」、「ありがとうピールアウト!」 : Pealout (18th Jun @ Sapporo Bessie Hall)
ツアー初日、福岡ラストライヴ。とにかくライヴへ行け! : ピールアウト (11th Jun @ 福岡ドラムサン)
一生忘れられないツアーになった : 激初期衝動シンポジウム ファイナル feat.スロス・ラヴ・チャンクス、ロスト・イン・タイム、 ファック・ユー・ヒーローズ and ピールアウト (29th May @ 下北沢クラブ251)
場所がなければ自分たちで作ればいい : 激初期衝動シンポジウム Vol.5 feat.ロスト・イン・タイム、 ファック・ユー・ヒーローズ and ピールアウト (27th May @ 大阪サンホール)
PUNK=楽しむための音楽 : 激初期衝動シンポジウム Vol.4 feat.ロスト・イン・タイム、 ファック・ユー・ヒーローズ and ピールアウト (26th May @ 名古屋ハックフィン)
超個性派動物園 : focus ON VOICE feat.ジョウミチヲ(DUSK),篠原信夫(the blondie plastic wagon),浜田亜紀子(GO!GO!7188),TOMOVSKY and オンガシューヘイ(understatements (25th May @ 下北沢440)
旅の仲間 : コンドウ トモヒロ (24th May @ 三軒茶屋グレイプ・フルーツ・ムーン)
"想い"を歌にして : POST5 : feat. ハンサム兄弟、GRiP、ザ・ブロンディ・プラスティック・ワゴン (11th May @ 下北沢クラブキュー)
photo report : ザ・ブロンディ・プラスティック・ワゴン : (11th May @ 下北沢クラブキュー)
column : あの歌が聞こえる : ピールアウト (23rd May)
つながっていく"激ロック"という意志 : 激ロック ファイナル : feat. モーサム・トーンベンダー, ジェリー・リー・ファントム, 花田裕之+ウエノコウジ+楠部真也, ズボンズ and ピールアウト (4th May @ 新宿ロフト)
photo report : ピールアウト : (8th Apr @ 渋谷 O-West)
追う者と受ける者が出会う特別な夜 : ピールアウト : (27th Mar @ 下北沢クラブキュー)
特集『コンドウトモヒロ・歌の色』 : コンドウトモヒロ : (21st Jan @ 札幌サウンド・クルー)
暖かな歌 : リサ・ローブ : (19th Jan @ 渋谷クアトロ)
さらに加速度を増すユダのドライヴ : ユダ : (6th Jan @ リキッドルーム恵比寿)
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