シベリアン・ニュースペーパー @ ヘップ・ホール (17th Dec. '06)
ザブトン席にて
「整理番号付自由席(オザブ)」。大阪、梅田のヘップ・ファイブという観覧車のあるビル内のイベント・ホールで行われている「アコースティックナイト〜鍋〜」と題されたライブの案内チラシにはそんな文字が……。
なんのことだかよく分からないまま会場に入ると、床の上にずらりと座布団が置かれてある。フロアー正面に位置するステージは客席と同じ床の上。左右はひな壇になっていて、そこにも座布団……。
この日は「アコースティックナイト〜鍋〜」の第五夜ということで、出演したバンドはシベリアン・ニュースペーパーのみ。
彼らにとっては初のワンマン・ライブだったそうだが、約90分間のパフォーマンスは結成されてからまだ2年ほどのバンドだとは思えないようなものだった。
約180席という客席もほとんど埋まっており、何度かイベント等に出演していた彼らのライブを見ている常連のようなお客さんも多かったような気がする。
しかしながら、静かにじっと見ているといった状態になっていたのは、あまりにもバンドと客席の距離が近すぎたせいなのか、狭いながらに座布団にじっと座っていなければいけなかったからなのか、
周りがおとなしくしているから自分もおとなしくしなくてはいけないのかなという空気のせいなのか、私には少し肩の凝るような雰囲気にも感じられた。
シベリアン・ニュースペーパーというバンドにはボーカリストがいない。インストゥルメンタルな曲だけを演奏するバンドである。
主にバイオリンがメロディー部分を担っており、アコースティック・ギターとベース、キーボードとパーカッション、そしてさまざまな民族楽器という構成。
中でも、名前も分からないような民族楽器を間近で見ることができるのは興味深い。鈴の音ひとつにしても、今ならサンプリングされたものを聞くことは多いかもしれないが、人の手によるナマの音はやはり全く違う味わいがあるのだと思う。
もちろんアンプやマイクを使用しているものの、基本的にはキーボードをピアノに代えさえすれば電気がなくてもいつでもどこでも演奏可能な最近珍しいタイプのバンドではないだろうか。
そんな彼らのことを初めて知ったのはほんのひと月ほど前のこと。逆輸入のようなものである。たまたまつけていたBBCのラジオから流れてきた"The Story Of The Exiled Horse That Escaped From The Stockade"と紹介された曲に耳が止まった。
10月末にマンチェスターで行われたショーケース・イベントである「In The City」に出演した日本のバンドのものだということだった。
調べてみると、メンバーは北海道や関東在住者がいるものの活動拠点は大阪であるようで、大阪では重要なイベントである「ミナミ・ホイール」にも過去に2度出演していたらしい。
次に行われるライブがこの「アコースティックナイト〜鍋〜第五夜」だということで、「気になるから試しに見に行ってみよう」というにはふさわしい料金でもあり、こうして普段近づくことのない若者だらけのビルに足を運んだのであった。
正直、まだまだこれからもっと伸びる余地のある可能性を秘めたバンドだという印象である。バンド名や"ボクの村は戦場だった"や"柵から逃げ出し亡命する軍馬のはなし"といった曲名からは難しいことをいろいろと考えてしまいそうになるが、
単に曲が美しいとかドラマティックであるといった言葉では表現できないような何かを感じられるバンドである。使い捨てカイロのような大量消費型の音楽に疲れてきた耳には違った刺激をもたらしてくれるかもしれない。アルバムはダウンロード販売もされているということである。
デジタルな音で聞くのも良いかもしれないが、アナログな音でも味わう機会も大切にしたい。小さなイベント・ホールに座布団を敷いて座って聞くのも良いものだったが、大自然の中で、芝の上に座って太陽か星空の下で聞いてみたいなとも思ったりもした。
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2006
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