シベリアン・ニュースペーパー @ 梅田シャングリ・ラ (2nd Feb. '07)
オオサカ発、セカイへ
大阪、梅田にあるシャングリ・ラというライブ・ハウス。老舗のライブ・ハウスさえ生き残れないような大阪において、いま最も元気のある会場という印象を持っていたこともあり、どのようなところなのか興味があった。
2005年の夏にオープンしたスタンディングで収容人数が400人というところなのだそうだが、会場に足を踏み入れてまず感じたのが、その「ちょうどよい小ささ」。
例えば、代官山ユニットや原宿アストロホールといったような「来日するけれどトーキョーのみ」というアーティストを見に行った会場で感じた「大阪に足りないもの」がそこにあったという感じ。
好調な理由はそれだけではないのかもしれないけれど、音の聴こえかたに悪い印象はなく、二つの大きなシャンデリアや真っ赤な幕といった会場の雰囲気も名前負けせずなかなかもの。
この日はDown By Lawと題されたイベントで、三つのバンドが出演。シベリアン・ニュースペーパーは二番目に登場したのだが、お客さんの数が一番多かったのは彼らだったように思う。
だが、そのお客さんたち、最前列はもちろんのことステージ近くには誰も近づかず、なぜか遠巻きに見ている。少し面白い光景だった。小さい会場だと、近づきすぎると見えにくいので、当然といえば当然のことなのだが……。
演奏時間は約45分。彼らの熱心なファンには物足りない長さかもしれないが、むしろ今はまだこれくらいのほうがちょうどよいのではないかと思う。
ヘッドライナーとしてツアーをするならおおよそそれくらいの時間。前座でも20分から30分くらい。日本の「対バン」制はどうなのか分からないが、経験上、海外でよくあるライブのパターンとしてはそういう時間配分だ。
前座は見ないという人も結構いる。そのような限られた時間内で、どれだけ多くの観客の心に何かを届けることができるのか、彼らの心をつかむことができるのか。そんなライブを見せることができるのか。
この日の彼らのパフォーマンスを見ていて、彼らにはその能力が充分にあると感じた。前回のヘップ・ホールでのライブは90分間だったということもあり、正直、狭いところでじっと座って見ているのは少ししんどかったのだが、
今回はもちろんスタンディングで、そしてライブそのものもすっきりとタイトにまとまっており、とても良かったと思う。
インストもののバンドに限らず、音楽的知識ゼロの自分にとって、技術的にどうなのかや、どのような音楽なのかを言葉で説明することは悔しいけれどできない。「よい」かどうかは個人の好みの問題なので、自分が直感的に「いいバンドだ」と思ったものは少しでも多くの人に知ってもらいたい、ただそれだけでこうしてあがいてみているだけである。見た目がどうだとか、しゃべりがどうだとか、もちろんそれも「売れる」ためには大切な要因なのかもしれないが、私に言えるのはそういったことも含めて、とても「バランスの良いバンド」であるということだけだ。
この日、最後の曲"柵から逃げだし亡命する軍馬の話"を演奏する彼らを見ながら、「ホント、このままこんなところに置いておくのはもったいないバンドだよなぁ。世界に出て行って欲しいし行くべきだよなぁ。」と強く感じた。
今月(2007年2月)は大阪(2/25)だけでなく、京都(2/5)や神戸(2/22)そして東京(2/19)でもライブを行うそうだ。
「ぜひとも世界へ……」。そう感じているのは私だけだろうか。


-SETLIST-
Slovenian Morning Whalerider Ma Fiancee Aux Gants Verte (緑色の手袋をした私のフィアンセ)
Words Robin Talks Are Gavotte 僕の村は戦場だった
Kathomandu Noir 柵から逃げだし亡命する軍馬の話
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report and photos by miyo
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2007
オオサカ発、セカイへ (2nd Feb. @ シャングリ・ラ) : review by miyo
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2006
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