button 朝日美穂プレゼンツチョコパニックvol.5
feat. 朝日美穂、堀込高樹 & オオヤユウスケ
@ 吉祥寺スターパインズ・カフェ (10th Feb. 06)

甘い幸せ、チョコパニック


朝日美穂
 朝日美穂が主宰するバレンタインデーイベント、題して「チョコパニック」。5回目を数える今年は、キリンジの堀込高樹とポラリスのオオヤユウスケという豪華ゲストを迎えて開催された。会場は吉祥寺にあるスターパインズカフェ。天井が高く青い大きな柱に囲まれた店内は、深い海の底を思わせる。ミラーボールがゆっくり回り、丸くて白い光が一面に輝く。開場と同時に流れ込んで来たお客さんは、アートが好きそうなセンスのいい女性客が圧倒的に多かった。年齢層は意外に幅広く、いわゆる通好みといわれるラインナップだけに音楽への愛情が深いリスナーが集まってきたようにみえた。

オオヤユウスケ  18:30。定刻通りに朝日美穂が登場。素朴な笑顔に客席がほころぶ。簡単な挨拶をすませると、客電が落ちてトップバッターのオオヤユウスケがギターを手に現れた。深海にぼんやりと漂う光のような、やわらかなスポットライトの中、ポロンとギターの音がこぼれる。ポラリスの曲、「檸檬」を1曲目に歌い終わると「いーねー!一人で歌うって自由だね」と満足そうなMC。2曲目からはすっかりオオヤユウスケ節のいろんなカバーソングを披露。「カントリーロード」では甘く懐かしい歌声で郷愁を誘う。ohanaからの曲や、ライブで時折やるというフィッシュマンズの「ウォーキングインザリズム」が演奏されると、フワフワした心地いい浮遊感に癒される。そして最後、「ジョイ」での空気に溶けいるような儚い歌声は、じんわりと身にしみていった。

 続いては堀込高樹がキーボード、ドラム、ベースのサポートと共に登場。客席を見据えると、「きょうは、僕だけが歌う」と宣戦布告。キリンジでは主に弟の泰行がヴォーカルをとる事がほとんどなだけに、本日は気合がみなぎっているようだ。オープニングから勢いよくギターをかき鳴らし、「自棄っぱちオプティミスト」を熱唱。歌い終わった途端、急に緊張してきたと水を飲み、焦り気味な様子がなんだか、かわいらしい。滅多に聴く機会のないお兄ちゃんのヴォーカルを聴こうと客席は真剣なのだが、次から次へと飛び出すマニアックなトークに笑わせられっぱなし。しかし演奏は、複雑なメロディーと難解な歌詞の曲だけに、綱渡りのような緊張感でドキドキしてしまい、終始まったく目が離せない状況に。最後にキメたのは、友達の結婚式で歌ったという「クレゾールの魔法」。“純白のドレスよりマスクが似合うね”の歌詞が結婚式でシュールにマッチしたかと思うと、ますますこの歌が面白く聴こえるのであった。



堀込高樹
 20:30になろうかという頃、今夜のイベント主催者の朝日美穂が登場。グランドピアノの椅子にちょこんと座り、客席を一望すると「気分が悪くなったら近くのスタッフに声かけてください」とパンパンに詰まった会場を心配する。実際、私のそばにも、壁にもたれてぐったりしているお客さんがいたのだが、何度もスタッフが様子を見に来ていて水やタオルを差し入れていた。そんなスタッフの対応のよさや、朝日美穂のさりげない心配りが、このイベントで感じるアットホームなあたたかみであり、5年も続く理由なんだろうなと思った。

朝日美穂  さて、ライブのほうはピアノに加え、ベースとドラムの3人編成。華奢なワイングラスのような薄く透き通る高音で歌が始まると、会場からは、ためいきがうっとりと漏れた。続く「フレンズ」ではピアノの音色が空気を切るようにクリアに響き渡り、背筋がピンと伸びるような瑞々しさ。多面的な楽曲を数曲演奏し、振り幅の広さをうかがわせた。やがてMCに入るとバレンタインの思い出話に花が咲く。チョコパニックのイベントのおかげで毎年スタッフにチョコを贈っているという朝日美穂に対し、「それって義理チョコ?あ、パブリックチョコ?」とのメンバーのコメントで客席は盛り上がった。

 最後のセッションになると再びオオヤユウスケと堀込高樹が登場し、3人勢ぞろい。オオヤユウスケが「2月10日のニートの日に呼んでいただきありがとうございます」とボケると、すかさず堀込高樹が「ドキっとしてる人いるかもしれないよ、オレの日かよーって」と突っ込み。笑い声のたえない客席に向かって、朝日美穂がバレンタインのラブコールを二人に贈ってくださいとアピール。そうしているうちにセッションのカバー曲、シャニースの「アイラヴ ユアスマイル」のイントロが始まった。「懐かしい〜」とざわめく客席。3人は歌詞カードを片手に、顔を見合わせながら歌った。シャイだったお客さんたちも、もう自由にステージへ歓声を送る。場内がハッピーなぬくもりでいっぱいに満たされた頃、イベントは和やかに幕を閉じた。

 帰り際、出口に向かっているときに聴こえてきたBGMで、私はニヤっとほくそ笑んでしまった。ステージ脇で今日のDJを務めた高橋健太郎氏が流したその曲は、朝日美穂がカバーした岡村靖幸の「だいすき」だった。「女の子のために今日は歌うよ」という歌詞のあたりは、まさに今夜のイベントを象徴するするかのよう。今夜の甘いひとときは、私たち女子のひそやかな恋心を喚起させてくれるものだった。

朝日美穂
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