ヨレヨレ @ 市川ザズー (24th Mar. '07)
- ヨレヨレというバンドを紹介します -
市川ZAZOU(ザズー)。そこはフロアに10人ちょっと入れば大入りといった感じのこじんまりとした空間だった。壁にはタイダイ柄の布がかけられ、淡く柔らかな光を発する照明とともに色鮮やかなキャンドルが店内を照らし出す。入り口では手作りのアクセサリーが売られ、その隣にCDの物販があるのだが、どういうわけかこちらは人がおらず無人販売所状態となっていた。小さなハコならではのリラックスした空気が店内に漂い、集まる人々の表情には自然と笑みが溢れている。
DJのかける心地良い音楽に身を任せていること数分、店内の一角に用意されたステージにこの日の主役であるYoLeYoLe(ヨレヨレ)が姿を現した。YoLeYoLeはボーカルのナオ、ギターのコウヘイ、マンドリンのリュウジの3人から成る。ブルーグラスやフォーク、ブルース、レゲエなどといった音楽をルーツに匂わせるが、筋書きのないジャムセッションによってライブごとに表情を変えるため、ジャンルの枠にはめ込もうとするのは少々難しい。アコースティックジャムバンド、個人的にはそう形容するとしっくりくる。
店内にざわめきが残る中、ギターとマンドリンの音が優しく鳴らされ始めた。フェードインするように大きくなっていく音に反比例し、店内のざわめきが収まっていく。2本の弦楽器の音色が静かに響く店内。ゆらめく弦の音にナオの声がのりYoLeYoLeの演奏が始まっていった。挨拶代わりとなる1曲目は美しいメロディーをマンドリンの高音がなぞり、「明かりを灯してよ 孤独が見えるように」と歌われる詩が印象深かい。静かに見守っていたオーディエンスは演奏が終わると共に暖かい声と拍手をYoLeYoLeに送った。オリジナルとカヴァーを織り交ぜた演奏がYoLeYoLeの特徴の1つだ。数曲を演奏してあっという間にファーストセットを締めた。
休憩をはさみセカンドセットへ。ゲストにナオの所属するバンド、MAJESTIC CIRCUS(マジェスティック・サーカス)よりキーボードのメンバーがゲストに入る。探り合うように音を出し合うと、間もなく必然の出会いだったかのように音が重なり合っていった。呼吸を合わせながら演奏は進み、曲はYoLeYoLeのオリジナル、"星降る橋"へ。初めて聴いたときはメロディーの持つ美しさからカヴァー曲かと思っていたのだが、後でクレジットを確認したところオリジナル曲だった。美しいメロディーの中には物悲しさが漂い、刻まれるマンドリンの音色が聴く者の心に染み入っていく。この曲を聴くとついしんみりとしてしまう。
「(曲を)知っている人は一緒に歌ってね」とオーディエンスに語りかけるナオ。"星降る橋"に続いてBob Marley(ボブ・マーリー)のカヴァーで"Redemption Song"(リデンプション・ソング)が演奏される。ナオの誘いに応えポツポツと声を出し始めるオーディエンス。個々の小さな歌声はやがて1つになりバンドの音に絡み始める。原曲の英語詩を日本語に変え、喉を振り絞るようにして声を出すナオ。場の空気に呼応するかのように力強さを増していく2本の弦。全てが溶け合い1つになる…。空気が静かに震え、鳥肌がゆっくりと全身を駆けめぐっていった。
この後さらにMAJESTIC CIRCUSよりベースのメンバーがゲストで参加し、数曲を披露。最後は高田渡の"生活の柄"のカヴァーで演奏を終えた。どことなくゆるさの見えるバンド名とは裏腹に、昨年は90本以上のライブをこなしたというYoLeYoLe。湘南に拠点を置きながらも軽いフットワークで全国をまわっている。同じ演奏は2度となく常に変化していくのが彼らのスタイルだが、その筋書きの無いドラマに今日も新しいチャプターが加えられたようだ。彼らの旅はどこまで続くのだろう。彼らの旅を少し追ってみようと思う。
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